モデルナ製の新型コロナウイルスワクチンに異物が混入した問題で、異物は金属片の可能性があることがわかった。使用見合わせはおよそ163万回分にのぼり、接種スケジュールにも影響が出そうだ。

職域接種が急きょ中止…中川翔子さんも

六本木にある国立新美術館では8月26日、文化芸術関係者への職域接種が行われる予定だったが入り口には中止と書いてある張り紙が貼られていた。

文化庁の職域接種で使う予定だったワクチンの製造番号が異物混入が判明したものと一致したため、急きょ接種を中止に…

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今日26日、この会場でワクチン接種を予定していたタレントの中川翔子さんも、生出演した情報番組で、マネージャーから電話で突然接種が中止になったと報告を受けたことを明かした。

波紋はSNS上にも…

「文化庁の接種中止でまた“ワクチン難民”になりました」
「予約取り消しどうしよう。うちの地域はまだ50歳までしか予約ができないんだよな」

異物は「金属片の可能性」

モデルナ社のワクチンへの異物混入は、東京・埼玉・茨城・愛知・岐阜の5都県8カ所の接種会場から報告された。

このうち茨城県の県立医療大学・阿見会場では今月23日、薬剤師がワクチンを注射器に分ける作業中、黒や茶色の小さな粒が混入していることに気が付いたという。

厚労省の幹部は異物は金属片の可能性があるとしている。

この事態を受け、厚労省は3つのロット番号「3004667」「3004734」「3004956」のワクチン、およそ163万回分の使用を見合わせると発表した。

医師「混入していたら準備中に気づくはず…」

ワクチン接種にあたっている医療現場を取材すると…

東京ビジネスクリニック 内藤祥医師:
箱ごとにロット番号が振られている。これから予定している接種のものすべて(使用見合わせの)対象外でしたので予定通り接種を続けています

異物が混入していないかどうかの確認は、ワクチンを解凍してから接種するまでの間に再三にわたり行うという。

東京ビジネスクリニック 内藤祥医師:
液面を吸うと透明な液体が(注射器に)入ってきますので、それをずっとこう注意して見ながら準備をしていますのでまず気づかないということはなかなか考えにくいかなとは思うんですけれども…

異物混入が確認された会場でも異物が見つかった容器のワクチンで接種を受けた人はいないというが、使用停止となったロット番号のワクチンの一部は、すでに各地の接種会場で使用されていた。

実際使用見合わせとなったロット番号のワクチン接種を都内の会場で受けたという男性は…

使用見合わせのワクチンを接種した男性:
入ってるかもしれないっていうのはちょっと怖いですよね。(副反応の)他に異常が出たりするのは不安ですね

大阪大規模接種センターでも同じロットを使用

厚労省は今のところ健康被害の報告はないとしているが、職場接種を取りやめる企業が出ている。

使用見合わせ対象のワクチンを接種していた全日空では、26日と27日の羽田空港での接種を取りやめた。また日本航空も一部の社員への接種を見送った。

さらに今回異物の混入が報告されたモデルナ製のワクチンは、東京・大手町の大規模接種センターでは該当するロット番号のワクチンは使われていなかったが、同じ自衛隊の大阪大規模接種センターでは8月6日~20日の間に使用されていたことが確認された

大阪大規模接種センターで接種を受けに来た20代女性:
心配にはなったんですけどでも早く打ちたいなと思ったたので来ました

大阪大規模接種センターで接種を受けた60代女性:
朝聞いてびっくりしたんですけど、異物混入自体は不安でありましたけど、接種を受ける方を選びました

菅首相「大きな影響を与えるものではない」

ワクチン接種を感染対策3本の柱の一つに掲げている菅総理、ワクチン接種をめぐる新たな混乱も懸念される中、26日午後に墨田区の接種会場を視察した後、この問題に言及した。

菅首相:
また結果的な具体的なことは報告を受けてませんけれども、ただそんなに接種に大きな影響を与えるものではないという報告は受けております

接種済証シールのココを見れば確認可能

加藤綾子キャスター:
こちらが異物混入のリスクが否定できないとして厚生労働省が発表したワクチンのロット番号です

該当するロット番号
Lot.3004667
Lot.3004734
Lot.3004956

加藤綾子キャスター:
「私はどうだったかな」と不安になった方は、接種済証に貼られたシールの番号で確認することができます。ただこの番号のワクチンをすでに接種した人に対して個別の連絡はないそうなので、厚労省はもし体調に異変があれば医師に相談してほしいと呼びかけています。若い方へのワクチン接種がなかなか進まない中でこういったニュースがありますとさらに不安を感じる人も出てくるかもしれませんね

コメンテーター・松丸亮吾氏:
ワクチンについてはどうしてもネガティブな情報が拡散されやすい、そういった情報に対して本当に真実の情報なのか、誤った情報なのかを確認する“ファクトチェック”がすごく重要だと思います。ネガティブな情報が流れるけど、もちろん打った方がいいメリットもたくさんあるので、そういったものを踏まえて正しい情報で打つべきかを考えてほしいなと思います

加藤キャスター:
「なんとなくの不安」を払拭できるような丁寧な情報発信というのが大切になってきそうです

(「イット!」8月26日放送より)

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