FNN記者のイチオシのネタを集めた「取材部 ネタプレ」。今回は、FNNソウル支局・仲村健太郎記者が伝える北朝鮮の夏「暑い!そうだ洞窟行こう!」。
北朝鮮はこの夏、例年以上の猛暑が続き干ばつなど作物への被害が懸念されている。
夏の暑さをしのぐため、慢性的な電力・食糧不足に苦しむ北朝鮮の人たちはいったいどうしているのか。
暑さをしのぐ食べ物は「ドジョウと犬」
FNNソウル支局・仲村健太郎記者:
北朝鮮メディアは、7月下旬以降猛暑に見舞われているとのニュースを繰り返し報じてきました。最高気温は連日35度を超えて、2021年北朝鮮は例年に比べて暑いということです。

その結果、農村地帯では干ばつが発生しており、給水車を出して畑に水を撒くなど被害を抑えるための対策も再三アピールしています。

ただ、どんなに暑くても感染対策のマスクは欠かせない。そんな北朝鮮の夏ですが、暑さをしのぐ方法は日本と大きく異なります。
まずは「食べ物」編です。
日本ではやはり土用の丑の日、ウナギを思い浮かべる方が多いと思いますが、北朝鮮ではドジョウと犬なんです。

ドジョウに関しては、韓国でも同様のドジョウ料理があるので私もいただいてきました。
チュオタンというドジョウ汁です。日本のドジョウ鍋とは違い、ドジョウを骨ごとすりつぶして煮込んでいてとっても栄養が豊富なんだそうです。

印象的だったのはざらっとした食感です。味は見た目ほど辛くはないですが、濃厚な味噌味でいかにも精がつきそうだなという味でした。

続いて犬です。
北朝鮮にはこのようなことわざがあります。「犬の脂が1滴足に落ちただけで元気になる」とそれだけ夏に食べる食べ物、滋養強壮の食べ物として非常にポピュラーなのです

熱帯夜は“洞窟”や“川”で雑魚寝
FNNソウル支局・仲村健太郎記者:
食べ物の次は、「熱帯夜対策」編を見ていきます。北朝鮮の場合は、慢性的に電力の供給が止まるので、エアコン、クーラーに頼ることはできません。では、どうするのかと言うと、なんと洞窟に行って寝る人がいるそうです。

実は北朝鮮には洞窟が多いです。というのも、元在日脱北者・金柱聖さんへの取材によると、1980年代以降北朝鮮は「全国要塞化」というスローガンが掲げられて、いたるところに洞窟が掘られたそうなんです。
そこに戦車だったり高射砲などが隠されていたわけですが、洞窟からは涼しい風が吹いてくると言うことで、みなさんそれを目当てで自宅から枕を持って出てきて、洞窟の前で雑魚寝をしていたんだそうです

榎並大二郎アナウンサー:
涼の取り方のスケールが違いますね。
FNNソウル支局・仲村健太郎記者:
ただこの洞窟に寝るというのは、あくまで地方の話です。平壌には洞窟はありません。
そこで、平壌市民が出向くのは、もっぱら川だそうです。

川風も涼しいので、みなさんやはり枕を持ってきて雑魚寝をするというわけですが、川ですので蚊が多いということで「蚊帳」が必需品となります。
そして川の規模によっては、小さな川で明かりが全くない真っ暗なところでは、皆さん大胆に裸で水浴びをしてから寝ていたそうです。
最後がストレス解消「レジャー」編です。北朝鮮にもレジャーがあります。平壌には紋繍(ムンス)遊泳場という巨大な施設があります。

FNNが取材した時の映像です。ウォータースライダーが実に13本もあるそうです。
特権階級だけではなく、一般市民も利用できるということで夏はかなりの人が集まります。

この遊泳場、以前は電力不足のためにプールの水が交換できなかったり、プールの床が割れて水が漏れたりとトラブル続きだったそうですが、現在の金正恩総書記が実権を握ると速やかにリニューアル工事に乗り出して、市民の心をつかんだという経緯もあります。

北朝鮮では例年夏になると、こうしたプールだったり海水浴場に人が集まってにぎわってますよというニュースが風物詩のように流れますが、2020年と2021年はやはりこの新型コロナのためか、こうしたレジャーのニュースはあまり見かけません。
コロナのせいで窮屈で苦しい夏を過ごしているのは、日本も北朝鮮も同じだということです

干ばつによる食糧難も懸念されている
榎並大二郎アナウンサー:
住田さん、独特というかどう思いましたか?
住田裕子弁護士:
北朝鮮というと金総書記の姿で恰幅のいい姿しか見てないので、庶民の暮らしを初めて見てすごく興味深かったですね。

榎並大二郎アナウンサー:
涼の取り方が独特ですけれども…
住田裕子弁護士:
衛生面とか治安とかでやっぱり安心できないと困りますよね。
榎並大二郎アナウンサー:
裏には電力供給などもあり、複雑ですけれど、さらに冒頭にもありました干ばつの食糧難が懸念されているという状況ですから、そういうことも本当に気になります

(「イット!」8月18日放送より)