東京五輪は成功した

満身創痍の東京五輪が無事終わった。一部野党やメディアは「命と五輪はどっちが大事か」と中止を求め、コロナの陽性者が増えたために無観客となり、開会式の演出担当が土壇場になりスキャンダルで辞任や解任に追い込まれた。しかし才能ある若者達のひたむきな戦いや、彼らの涙や笑顔を見ていると、まあいろいろあったけどやっぱり五輪をやってよかったなと多くの日本国民は思っただろう。

開会前には五輪によるコロナの感染拡大を心配する人がいたが、実際には海外から来る選手や関係者はほとんどがワクチン接種済だったし、日本側も非常に厳しい感染防止策を取ったので、五輪による直接の感染拡大はほぼゼロだった。

フランスに到着した五輪旗
この記事の画像(4枚)

これは実は重要な事実であり、IOCにとっても、来年冬季五輪を開催する中国、3年後の夏季五輪のフランス、さらにはすべてのスポーツビジネスにとっても「東京モデル」が確立した意義は大きい。

内閣支持率は下がった

東京五輪は成功したのだ。しかし菅政権の内閣支持率はさらに下がった。週末の世論調査では各社とも2-10ポイント下がり、いずれも過去最低を更新した。ただ各社とも五輪の成功は6割が認めている。下がった理由はコロナの陽性者が増えたからだろう。コロナ禍の1年半、内閣支持率は常に陽性者の数と負の相関がある。

陽性が増えている理由は、高齢者の接種が進み死者の数が減ったところまではよかったのだが、接種済の高齢者と一緒になって未接種の若者が街に出て感染しているからだ。しかもデルタ株で感染率も、重症化率も上がっている。

都内の感染者が5000人を超えた際「必要な医療体制は確保している」とコメントする菅首相

であれば菅政権のやるべきことはわかっている。若者にワクチンを接種し、まだの人はおとなしくしてとお願いする、それだけだ。一方でもうワクチンを打った人には少し自由を与えるべきだ。でないと経済も疲弊するし、人心がもたない。

ただ最大の問題は若者にはワクチンを打とう、あるいは打たないならおとなしくしていよう、というインセンティブが働きにくいことだ。同年代の友人に死者や重症者が少ない、彼らにとってはただの風邪だからだ。だから彼らには経済的なインセンティブを与えるしかないと思う。

自民党の政治家は高市早苗を見習え

自民党内では「東京五輪では政権浮揚しなかった」「菅さんでは選挙は戦えない」として菅おろしの声が出ているという。ただしほとんどがオフレコで記者に語った言葉である。もし自民党の人達が本当にそう思っているなら、人前でオンレコで言うべきだ。そういう意味で高市早苗前総務相が菅さんについて「発する言葉からは自信も力強さも伝わらなくなってしまっている」とはっきり批判して総裁選に出馬表明したのは立派な態度だと思う。

出馬表明した高市早苗氏

「菅さんに歯向かって負けたら干される」とか「みんなほんとにわたしのこと担いでくれるのかしら」などと心配になるのはわかるが、いずれ2-3カ月のうちに総裁選も総選挙も行われる。自民党の政治家は陰でコソコソ菅さんの悪口を言ってないで、国民に対して自らの意志をきちんと示した方がいいと思う。

【執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫】