コーヒーチェーン店「スターバックス」で目にする黒板の絵。そのデザインは従業員4万人のうち16人しかなれない、特別な人が描いていた。こうした手書きの黒板は「お客を呼ぶ」と注目されている。

FNN記者のイチオシのネタを集めた「取材部 ネタプレ」。今回取り上げるのは、経済部の冨田憲子記者が伝える「黒板が苦境の飲食店を救う?」

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47都道府県フラペチーノを描く「GAHAKU」とは

経済部 冨田憲子記者:
スターバックスの47都道府県のフラペチーノ。ご当地の味が楽しめるということでとても人気になっているんですが、実は隠されているものがありまして。ホームページを見ると写真と一緒に絵が掲載されていまして、そこには「JIMOTOを知るGAHAKUが個性あふれるフラペチーノを描きました」という風に書いてあるんですね。

経済部 冨田憲子記者:
スターバックスに行くと手書きの看板があると思うんですけれども、実はこのGAHAKU(ガハク)は看板のお手本を描く人たちで、特別に雇っているわけではなく、従業員の中から選ばれた16人が描いているんです。1年に1度審査が行われ、募集をかけるんですけれども、倍率はなんと30~50倍と多くの人が応募してくるものなんです。

加藤綾子キャスター:
美術とかもともとやっていた人なんですか?

経済部 冨田憲子記者:
そういう人もいるんですが、絵が好きだということでやっている人もいて。そのうちの1人の方に取材してきました。こちら描いているのは「スターバックス さいたま新都心店」に勤務する高橋幸香さんです。

経済部 冨田憲子記者:
スタバが決めた11色だけの水性ペンを使って描いていくんですけれども、手でこすったり、綿棒など使いながら黙々と描き進めること1時間半。普段は20~30分位で描き上げるのですが。この日は1時間半かかったんですけれども、埼玉県のフラペチーノの絵が完成しました。

加藤綾子キャスター:
うわーきれいですね。こういう方って字も上手なんですよね!

経済部 冨田憲子記者:
「遠くから見てどうかな」とかいろいろ調整しながら描いているそうで。高橋さんは以前はキャビンアテンダントとして働いていたそうですが、出産後にアルバイトでスターバックスに勤めるようになり、絵が大好きだとのことでGAHAKUに応募し、選ばれたということなんです。

加藤綾子キャスター:
選ばれし者ですもんね。黒板を見る目が変わりますよね。

経済部 冨田憲子記者:
GAHAKUのお仕事は、月に1、2枚お手本を描いてコツなどを社内で共有するそうなんです。そのお手本を基にそれぞれのお店で従業員の方が描いていると。ガハクが描いてあるものもあれば、従業員の方が描いてあるものもあると。スターバックスとしては「人間味あふれる温かみを感じてほしい」とこの黒板アートにはとてもこだわっているんですが…

コロナ禍で黒板アートが販促ツールに

経済部 冨田憲子記者:
実はコロナ禍で黒板に描くことが販促ツールとしてとても注目を集めています。2020年はこんな活動がありました。苦境に立たされている飲食店を救うため「黒板マーケティング研究所」の書き手、藍田留美子さんが無償で鎌倉のお店40店舗に、テイクアウトのメニューやコンセプトを描いたものを出したそうなんです。

経済部 冨田憲子記者:
そうしたところ非常に効果があって。実際に描いてもらったお店「Sare」の荒井オーナーによると、テイクアウトを始めたもののどうやって売り出していいかわからなかったときに、ピザの絵を描いてもらったそうなんです。その結果売り上げもアップして、しかも客層も広がったとかなり効果を感じたそうなんですね。

経済部 冨田憲子記者:
コロナ禍でこういった黒板に描いてほしいという発注が、飲食店から1.5倍に増え、売り上げを増やしたいと講座の受講に来る人もいるそうなんです。気になるお値段の方もご紹介すると、藍田さんにお願いした場合、四川料理店(画像左)のは4万4000円、もう一方は3万3000円ということなんですけれども。小さいものだと1万5000円からあるそうです。

一般の方もチャレンジしてみては

経済部 冨田憲子記者:
こうしてプロの方にお願いする手段もあるんですけれども、黒板なので描き直しがきく、いろんな色を使えるということで、一般の人も誰でもチャレンジできるということなんですね。大事なのはお店のメッセージ・コンセプトを描いてくださいと。上手とか下手とか躊躇している人がいるけれども、飲食店のみなさんは売り上げアップにつながることもあるので、ぜひチャレンジしてほしいということです。

加藤綾子キャスター:
柳澤さんは絵はどうなんですか?

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
絵は全然だめです。「えっ!?」っていうくらい。でも手作り感、温かみがあるんですね。僕は学生時代に食堂に行って食事するとき、入口に「きょうのメニュー」といってアジフライあります、鯖の味噌煮ありますと、手書きなんですよ。チョークで描いたやつで。それは温かみと同時に文字を見ただけで味が出てくるような感じがあるんですよね。

加藤綾子キャスター:
そうですよね。特にデジタルな時代だからこそ、手書きの個性とか温かさっていうのが人をひきつけるのかもしれないですよね。

(「イット!」7月29日放送より)

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冨田 憲子
冨田 憲子