土石流発生から72時間 安否不明者29人

土石流発生から4日目を迎えた静岡・熱海市。

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生存率が急激に下がるとされる発生後72時間が経過する中、新たに発表された安否不明者は29人。

現場では土砂やがれきで埋もれた場所を中心に1100人態勢で捜索が続けられている。

1100世帯で断水 生活用水が足りない

熱海・伊豆山地区では住宅など122棟が被害を受け、約580人がホテルや小学校に避難。

また1100世帯で断水が続くなど、住民のライフラインにも影響が及んでいる。

FNN取材団・雨宮帆風:
伊豆山神社前には給水所が設置されています。

これまでに地区の6カ所に飲料水用の給水タンクが設置されたが、洗濯やトイレなどに使用する生活用水が足りない状況が続いている。

この状況に住民は…

地域住民:
今トイレの水がなくなったもので今運んでいますよ。

現在も土砂災害警戒情報が出されたままの熱海市。

安否不明者の氏名公表が自治体でバラバラの理由

懸命の捜索が続けられている中、安否不明者の氏名公表の方針をめぐっては対応が二転三転した。

7月5日の夜、静岡県の藤原学危機管理監が「7月5日のうちの公表は見送る」という方針を報道陣に説明している最中に静岡県の難波喬司副知事が「公表しないなんてダメだ」と割り込みストップをかけ、その後公表されることになった。

安否不明者の氏名公表をめぐって混乱する背景として氏名公表の判断がそもそも具体的に明記された法律がなく、個人情報保護の観点などから公表については各自治体の対応がバラバラという事情がある。

今回氏名を公表した理由は、静岡県や熱海市などは住民基本台帳をもとに不明者の確認を進めているが、熱海は別荘が多く、実際に被害を受けたのか、それとも連絡が取れないだけなのか、安否確認ができないことを理由に氏名、性別の公表を決めた。

氏名公表に懸念点も

さらに全国知事会が6月、人名を公表する判断の参考となるガイドラインの案を出していた。
そこでは氏名公表のメリットとして、氏名を公表し、対象者が名乗り出て救助活動の効率化を図ることができ、効果的な活動が期待できるとしている。

ただ一方で懸念点もある。
氏名公表にあたってはストーカー、DV被害者などの保護を指摘する声もあり、所在情報を隠す必要がある方を保護するために氏名公表の判断にあたっては本人の安全確保に配慮することが必要としている。

今回はしっかり配慮した上での氏名公表に至ったが、公表の判断は各自治体の裁量に委ねられているのが現状で判断が遅れないように基準を定めることが重要だとしている。
 

(「イット!」7月6日放送分より)