2020年は例年の2倍以上のはやさで過ぎ去った

セイコーホールディングスが6月10日の「時の記念日」に合わせ、『セイコー時間白書2021』を発表。その中で、2020年の“時間の体感速度”が例年の約2倍であることがわかった。昨年は多くの人が「時間の経過がはやい」と感じていたのだ。

(出典:セイコー時間白書2021)
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調査は2021年4月28日~5月10日に、全国の10代~60代の男女1200人を対象にインターネットで実施した。

この調査で、「2020年を振り返って、それまでの年に感じていた時間の速度を1倍速としたとき、2020年の時間の速度はどのくらいに感じたか」を聞いたところ、2020年の体感速度は平均で2.03倍という結果になった。

年代別で見ると10代が2.66倍、20代が2.31倍と若い世代の体感速度がはやく、学生は2.57倍だった。

例年を速度1とした2020年の体感速度(出典:セイコー時間白書2021)

また、「何もしない時間が増えたかどうか」を聞いたところ、全体の33.7%が「そう思う」と答え、約3人に1人が時間の使い方を持て余していたことが分かる。また、学生の55.7%が「そう思う」と答えていた。

これについて、セイコーホールディングスは「これからどうすればいいのか、今どう過ごせばいいのか、時間の使い方が分からず、呆然自失となっている様子がうかがえる」と分析している。

一方で、“何もしない時間が増えた”ということは例年より時間が過ぎ去るのは遅いと感じたのでは、とも思ってしまうが、逆に時間が過ぎ去るのがはやいと感じたのはなぜなのか?

セイコーホールディングスの担当者に話を聞いた。

“例年の2倍のはやさで過ぎ去った”と感じた理由

――2020年の体感速度は平均で2.03倍。例年の2倍のスピードで過ぎ去ったと感じている。理由としてはどのようなことが考えられる?

日本時間学会の会長で「時間学」を提唱されている、千葉大学大学院の一川誠教授によりますと、思い出に残ることが極端に少ない時間を過ごすと、その時は長いと感じても、振り返ると、あっという間に感じがちになるとのことです。

2020年は、コロナ禍で様々なイベントや機会が失われてしまいました。振り返った時に、人々の中で「思い出」として認識される記憶が、例年に比べて少なかったことに起因する結果だと考えられます。

千葉大学大学院・一川誠教授(出典:セイコー時間白書2021)

――年代別で見ると、若い世代の体感速度がはやく、とくに学生は2.57倍と非常にはやく過ぎ去ったと感じている。こちらの理由としては、どのようなことが考えられる?

本来、学生は学校行事や友達との時間、イベント参加など、人生の中でも、より濃密な時間や思い出を作る時期を過ごします。

新型コロナウイルスの影響でそうした時間に制約がかかり、振り返った時に「思い出」として、本来、想起されるべき記憶が、他の世代より極端に少なくなってしまったのだと考えられます。


――年を重ねるごとに時間経過ははやく感じるようになると言われているが、今回の結果は逆。年齢が若い学生の体感速度がはやい。これは肯定的に受け止めてよい?

体感速度がはやく感じるのは“思い出に残る経験”が少ないためだと考えられます。

一方で、自己の生活において「自由な時間が増えたことを歓迎」する学生は約66%おり、また、「自由な時間を得るということは、自分で負う責任が強くなるという事だと思う」と感じる学生も63.5%います。

外因的な要因により、結果として体感速度ははやまりましたが、コロナ禍を機に、改めて自分の時間の使い方を見つめ直した学生が非常に多いことも事実です。その部分においては、肯定的に捉えられるのではないかと考えております。

(画像はイメージ)

学生は“代替が利かない時間”が多い

――学生の半数以上が「何もしない時間が増えた」。この理由としてはどのようなことが考えられる?

今回の調査で理由を聞いていないため、正確な回答はできません。ただ、新型コロナウイルスによる外出自粛の影響で、様々な時間が減少していると考えられます。

あくまで推察となりますが、特に学生の過ごしている生活には“代替が利かない時間”が多いと考えられます。

社会人生活において多くの時間を占める「働く時間」には、「リモートワーク」という代替手段がありますが、本来、学生たちの生活は、「友達と過ごす時間」といった、誰かと何かをする時間の比重が多くを占めていると思います。

人との接触を避けなければならないご時世において、「日々の生活における失われた時間」の影響が大きかったのは学生であった、と考えられます。

コロナ禍で友達と過ごす時間が減少した(画像はイメージ)

体感速度がはやかった理由は、コロナ禍の制約の中で思い出に残ることが極端に少ない時間を過ごしたからではないかということだった。

『セイコー時間白書2021』の中で一川教授は「(コロナ禍の)今しか経験できないことが、“豊かな時間”と“ポジティブな人格形成”につながる」という見解を示している。
つらい経験だったとしても、その中で思い出すことがあれば、その後の自分の人格や生活につながっているとポジティブに捉えられ、豊かな時間と感じられるのだという。そう思えるように時間の使い方を見つめ直すことも必要かもしれない。
 

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