国内で1000万人超が1回目の接種終了

企業と行政と大学が、ワクチン接種の加速に向けて動き出した。

6月2日、大阪府では新たに213人の感染が確認されるなど、全国の新規感染者は3035人。東京都は487人で、20日連続で前の週の同じ曜日を下回った。

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こうした中、日本国内では1日までに1回目のワクチン接種を終えた人が、少なくとも1000万人を超えたことがわかった。

東京・墨田区では2日、16歳から64歳の区民、約17万5000人宛てに接種券の配達を開始。64歳以下への接種券の配達は、島しょ部を除き都内では初めて。

日本郵便・山本さん:
きょうは全部で9万2000通お預かりしているが、そのうち4万7000通を届ける予定。土曜までには完全に終わる予定です。

墨田区民:
こんなに早く来るとは全然思っていなかった。びっくりしました。副反応が怖いところもありますが、予定を見ながら早く予約できたらと思う。

予約の受け付けは、6月14日から基礎疾患のある人などを対象に開始。その後、年齢で区切り、対象範囲を拡大していく。

商社・航空・鉄道・国立大学でも

一方、6月21日から始まる職場での接種に向け、大手企業でも動きが加速している。

伊藤忠商事では21日から、国内勤務の社員など約6000人のうち希望者全員に接種を行うと発表。

また、事業所内の保育所の運営を委託するポピンズの保育士など約1500人にも、希望すれば接種できるという。

航空会社では、日本航空が6月21日から実施する方針で場所などの調整を進めているという。

全日空でも詳細を調整していて、国際線のパイロットや客室乗務員を優先的に接種を受けさせる方向で検討している。

鉄道会社では、JR西日本が契約社員を含む約2万7000人を対象に大阪鉄道病院などでの接種を検討しているが、開始時期は未定だという。

また、JR東日本も「準備を進めている」としている。

一方、大学を会場とした学生への集団接種に関して、政府は東北大学や広島大学など7つの大学で接種を先行して実施する方向で調整に入った。

いずれも国立大学で、政府の調査に対し、速やかに対応することが可能だと回答している。

産学官の連携により、準備が加速するワクチンの一般接種。今後もさらなるスピードアップが求められる。

誰も取り残さないワクチン接種が必要

三田友梨佳キャスター:
市場の分析や企業経営に詳しい、経済アナリストの馬渕磨理子さんに聞きます。ワクチン接種の加速によって経済が回復に向かっている欧米の例を見ると、日本も早くそのあとに続きたいですね。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
そうですね。国内でワクチン接種経験が6月1日時点で、累計1300万回と発表されました。これは、単純な人口比で8%を超えてきている状態です。この8%という数字は、実は経済の再開に向けて大きな意味があるものなんです。

三田友梨佳キャスター:
大きな意味とはどういうことでしょうか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
株式市場は実体経済を先取りする形で株価が反応します。アメリカの例を見てみると、ワクチン接種率が8%を超えたあとに、経済再開で恩恵を受ける企業の株価がそろって再度、上昇トレンドに入っています。

具体的には、ボーイングやデルタ航空、あるいはマリオットホテルなどの航空、宿泊業の株価が上昇しています。接種経験が8%の段階に差しかかった日本でも、最も感染拡大のダメージが大きい百貨店や航空業界の株価が、感染収束の期待感を材料に足元では上昇し始めています。

三田友梨佳キャスター:
飲食、サービス業を中心にぎりぎりの状態にある事業者は多いですから、ワクチン接種をばねにした経済回復が待たれますね。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
ウイルスは、勤務先が大企業か中小企業か、また、働き方の形が正社員かアルバイトかは区別しません。職域接種では、同じ職場で働く仲間である派遣スタッフやパートアルバイトなど、誰も取り残さないワクチン接種が求められます。こうした思いやりや優しさが、経済を回す大きな力になります。

三田友梨佳キャスター:
もちろん課題はまだまだありますが、ワクチン接種は以前よりも加速して広がっています。現場で頑張っている医療従事者や自衛隊、自治体の皆さんには心から感謝したいですし、経済のためにもこのまま順調に進むことを期待したいと思います。

(「Live News α」6月2日放送分)