7月から福井県で開催される全国高校総体(インターハイ)。
ウエイトリフティング競技で地元・福井からの出場を目指すのは、杉谷優太選手(17)。

2021年3月に開かれた「全国高等学校ウエイトリフティング選抜大会」で、大会新記録を樹立して優勝した杉谷選手。
彼が通うのは、星槎国際高校・若狭ものづくり美学舎という通信制の高校だ。
高校に入学するまでには大きな苦悩があり、2人の恩人と共に乗り越えてきた。
“日本一力持ち”の高校生 杉谷優太選手
わずか1.5秒。バーベルを持ち上げるのにかかる時間だ。
その一瞬に、これまでの全てを懸けるのが、ウエイトリフティングという競技。

杉谷優太選手、17歳。いま、日本で一番力持ちの高校生だ。
ーーウエイトリフティングは楽しい?
杉谷優太選手:
楽しい。去年の順位より、これだけ上がったと目に見えて(成長が)分かるので

杉谷選手は小学5年生から競技を始め、小浜市内にある練習場で、福井国体を間近に感じながら力を磨いてきた。
その才能が花開いたのが、この春の選抜大会。

全国大会では、自身初となる優勝。おまけに大会新記録も打ち立てた。

ウエイトリフティングは「自分の全て」
指導するのは、福井県ウエイトリフティング協会の山本恒博副会長。
杉谷選手を支えた恩人の1人だ。

ーー彼の強みは?
県協会 山本恒博副会長:
この子は、きちっと練習ができる。他のことに興味を持つことがないので、真剣に取り組む姿勢がある

彼が競技を始めてから8年間、マンツーマンで指導に当たってきた。
ーーここまで成長するとは思っていたか?
県協会 山本恒博副会長:
全然!彼がウエイトリフティングを始めた頃は、体重は40kgくらい。(身長も)160cmもなかった。今では、わしより体が大きくなって…
ただ、ここまでの歩みは順調なものではなかった。
ーー杉谷選手にとって、ウエイトリフティングとは?
杉谷優太選手:
まだ17年しか生きていないけど、今は自分の全部だと思っています。これがなかったら、どうなっていたか分からないので…

不登校に…ウエイトリフティングが進学のきっかけに
彼は、走ることが苦手だ。
それは、並みの苦手意識ではない。
杉谷優太選手:
体育の1km走が嫌すぎて、中学校もあんまり行ってなかった。不登校だったので…

そんな中でも、毎日ウエイトリフティングの練習は続けていた。
杉谷優太選手:
自分は学校に行っていないし、“ウエイトリフティングを頑張ろう”という気持ちだった。
ウエイトをやっていたおかげで、上田先生とつながって、高校に入れたので。それがなければ、将来を考えられないくらいだったと思う
その杉谷選手にとってのもう1人の恩人が、星槎国際高校・若狭ものづくり美学舎・上田俊彦監督。杉谷選手が通う高校に勤めている。

以前から山本さんとつながりがあった上田さんは、悩む彼の存在を知り、高校進学を支援した。
2人の恩人のために…視線はインターハイへ
実は上田さんは、福井県ボート協会の副会長を務めている。
その経験を活かし、杉谷選手の体力トレーニングをサポートしている。
星槎国際高校 若狭ものづくり美学舎・上田俊彦監督:
意識していこうな。頑張れ!頑張れ!頑張れ!いいね~

心掛けているのは、練習に前向きに取り組めるような声掛けだ。
ラダートレーニング中も、声をかけ続ける。
星槎国際高校 若狭ものづくり美学舎・上田俊彦監督:
ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!よし!

そのかいあってか、杉谷選手が苦手としていた「走る」トレーニングも、積極的にできるようになった。
星槎国際高校 若狭ものづくり美学舎・上田俊彦監督:
昔から想像すれば、すごい成長だと思います。なかなか表に出すことができない子だったけど、この頃ようやく自分を出せるようになってきたと思いますね。インターハイが楽しみです
彼はいま、日本一を取ったフォームの改良に取り組んでいる。

視線の先には、地元・小浜市で開催されるインターハイがある。
彼にとっては、恩返しの舞台だ。
杉谷優太選手:
2人は8年間ずっと応援してくれて、勝手に親くらいに思っていますね。完全優勝で圧倒的な差を見せて、思い切り2人と握手ができたらいいなと思います
(福井テレビ)