夜の街での感染拡大を防ぐため、歓楽街の関係者を対象にしたワクチンの集団接種を行う案が、政府内で浮上していることが分かった。

また、そうした集団の中でのパーティションなどによる感染対策。場合によっては逆効果で感染の原因になるかもしれないという。

“夜の街”で働く人対象の集団接種案

複数の政府関係者によると、夜の街が感染拡大の一因になっているとして、東京・新宿や渋谷などの歓楽街で働く人を対象とした、ワクチンの集団接種を行う案が浮上していることが分かった。接種会場を設け、“モデルナ製”のワクチンを使うことを想定している。

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一方、職場・職種ごとの接種の本格化に向け、菅首相と関係閣僚による初めての協議がこの後行われることも分かった。一般への接種をどのように進めていくのかも、合わせて検討する見通しだ。

パーティションが換気能力の低下の原因に

そうした繁華街や職場では、飛沫が飛ばないようにアクリルパネルやビニールシートでの感染対策が定着しているが、気になる研究結果が発表された。

実はこうした物の設置の仕方によっては、逆に“感染の原因”になってしまう恐れがあるという。

左:アクリルパネル 右:ビニールシート
左:アクリルパネル 右:ビニールシート

実際に宮城県内でクラスター感染が発生した職場の見取り図。

向かい合った席を隔てるように、床からの高さ1.6メートルまでビニールシートのパーティションが設置されていた。この仕切りによって5つのエリアに分かれていたという。

分断されていた感染対策を取っていたにも関わらず、このうちの2つのエリアで小規模なクラスター感染が起きてしまったという。

これはなぜなのか?

電気通信大学の石垣陽特任准教授らの研究チームが、宮城の職場クラスターを再現した実験映像では、空気中にマイクロ飛沫に見立てた特殊な煙を漂わせたところ、ビニールシートがあることによって、右側のエリアだけに煙が溜まってしまっているのが分かる。

実験開始直後
実験開始直後
実験後半の様子
実験後半の様子

パーティションの上から天井まで約80センチの隙間はあったのだが、これでは空気が流れるのには不十分で、結果、換気能力が低下してしまったということがわかった。

気をつけるべきはパーティションの“高さ”

では、パーティションを設置する際に何に気をつけなければいけないのか?
それが“パーティションの高さ”

研究チームによると、パーティションの高さは、高ければ高いほど良いというわけではなく、椅子に座った状態で頭ぐらいの高さまでで十分だという。

必要以上に高くしてしまうと、空気の流れが先程の実験映像のように遮られてしまい、感染リスクが逆に高まってしまう恐れがあるという。なお立ち仕事の場合などには、少し高い方がカバーできるので、それも良いという。

加藤綾子キャスター:
良かれと思って高さを増して感染対策していたけれども、そうではなくて、しっかりと上も開いている状況じゃないといけないということですよね。

榎並大二郎キャスター:
冬も換気がなかなかしづらいということありましたが、これからさらに暑さも厳しくなってくると、どうしても換気がおろそかになりがちです。


ただ「30分に1回は冷房をつけていても、窓を数分間全開にするのが望ましい」ということでした。そして、「部屋の廊下や通路の方向に扇風機などを向けて空気を押し出す」と、空気の流れ道ができて効果的だということで、その際に押し出した先の非常口が開いているとなお良しというわけです。

加藤綾子キャスター:
やっぱり換気は大事ということですね。

榎並大二郎キャスター:
感染対策と換気はセットだということですね。

(「イット!」5月31日放送分より)