これまでに50人以上の集団感染が発生している新潟・魚沼市の小出病院。
新型コロナウイルス患者を受け入れていない病院で、なぜ感染が拡大し続けているのか。

小出病院・布施克也病院長:
まさか当院の職員から出るとは、初めは信じられなかった。あっという間に非常事態になった

この記事の画像(12枚)

新型コロナウイルスの脅威を語ったのは、小出病院の布施克也病院長。
4月24日に職員の感染が初めて確認された小出病院。
5月19日までに病院関連の感染者は50人以上に上り、県内最大規模の病院クラスターとなった。

"無症状"患者から始まったクラスター

小出病院・布施克也病院長:
もしかしたらこの方が発端だったかもしれないと言う方は、発熱とか咳とかそういった風邪症状とかはありませんでした

無症状者もいる新型コロナウイルスの特性が病院にもたらした危機。
一体なぜ、ここまで感染が広がり続けているのか。
2021年2月、小出病院の院内を取材していたカメラが捉えていたのは、激しい入退院の対応に追われるスタッフ。

看護師:
ちょっといま本当に満床状態で、ご飯食べる全介助の人がほとんどなんですよ

入院患者の平均年齢が80歳を超える病院では、生活のすべてで介助が必要な患者も多く、密接が避けられない看護の実態があった。

看護師:
「万が一コロナになったらどうしよう」とか、「コロナを持ち込んだらどうしよう」という危機感を持っているところに、入退院の激しさとか加わってきているので

不安が現実となったいま。
感染者が相次いだ病棟ではゾーニングし、スタッフもゴーグル・マスク・キャップを身につけて患者の看護に当たっている。それでも、看護の状況が変わることはない。

小出病院・布施克也病院長:
厳密な感染管理下であっても、その業務は避けられないので。親密な関係性をもとにした地域医療の現場の体制は、コロナの前では一定の脆弱性があった

偏見の目とも闘う職員たち

そして、スタッフが闘っていたのは病院内だけではなかった。

小出病院・布施克也病院長:
小出病院に対して少し過剰に反応されるかなと心配されることもある。車中泊をしようと、家族とも1週間会わないという職員も出てきたりします

新型コロナウイルスが県内で発生して1年以上が経っても偏見はなくならず、家族に会わない職員もいる。

その現状を井口看護部長は…

井口峰子看護部長:
外にいると怖さを感じる。もしかして、いろんな目で「あの人、小出病院の職員だから近寄らないでおこう」とか、そういう目で見られているんじゃないかとか、そういう思いはずっと持っている

偏見の目にさらされながらも入院患者を守るため、そして病院を守るため、使命感を持ってスタッフは対応に当たっていた。

井口峰子看護部長:
本当にこんなこと言うと涙がでるんだけど、本当にありがたい。頑張ってくれているのは看護師という役割と、小出病院の職員だというところがあると思う

新型コロナウイルスに対峙し、その脅威といまも闘っている小出病院。

小出病院・布施克也病院長:
地域の小規模病院でも、ウイルスが入ってきたらこれだけ大きな影響がでるんだなと。各現場の経験を共有して、県内の医療現場の経験値を直接的・間接的に上げていくことが必要なんだなと

教訓をほかの施設にも…

感染が拡大した要因には、介助が必要な患者が多いということで、患者と密接に関わらなければいけない点が挙げられる。
病院では、ほかにも教訓として水際対策を挙げている。
布施病院長は、「無症状者もいるという新型コロナウイルスの特性を把握し、すべての入院患者に対して検査を徹底する必要があった」と話していた。

一方で、ワクチンの有効性についても指摘している。
今回陽性だった職員10人のうち、ワクチンを接種していなかった職員1人は酸素吸入が必要な状態となったが、1回目のワクチン接種を終えていた残りの9人は、無症状だったという。

感染拡大のリスクは、県内どの病院や高齢者施設でも起こりうる。
今回の教訓を県内の様々な施設で共有すると共に、ワクチンの早期接種が求められる。

(NST新潟総合テレビ)