テーマは“昭和の熱気”

新型コロナウイルス感染拡大の逆風が吹く中、遊園地が昭和レトロをテーマにリニューアル。その勝算に迫った。

2020年11月の休園から約半年。西武園ゆうえんちが、5月19日にリニューアルして帰ってきた。

この記事の画像(13枚)

来園した人A:
やっぱり昭和生まれだからその風景を見たくて。

来園した人B:
映像の中に入った感じ、昭和の。

テーマは“昭和の熱気”。1960年代、高度経済成長期の日本が再現された商店街では、昔懐かしいレトロな店舗がずらり。

店先に並ぶLPレコードや…

喫茶店のクリームソーダにナポリタン。

ダイヤル式の赤電話など、細部にまでこだわり、なつかしの昭和を再現している。

この商店街には、さまざまな仕掛けがある。

威勢のいい呼び込みで客を引きつける店主も、実はライブパフォーマンスの一つ。

店主:
さあ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい。ここに広げし果物や野菜、さばくのはこの私。上から読んでも下から読んでも、やおや、やおや、やおや!

商店街では、こうしたさまざまなパフォーマンスを間近で楽しむことができる。

さらに、園内では昔のお札を再現した専用通貨も用意され、よりリアルに懐かしの昭和を体験できる。

「ゴジラ」や「鉄腕アトム」のキャラクターエリアも

今回のリニューアルでは、古いアトラクションをあえて残した一方で、映画「ゴジラ」をテーマにしたアトラクションも新たに登場。

キングギドラが目の前に迫るなど、臨場感いっぱい。

アトラクションを体験した人:
3分の1は目をつぶってました!結構すごかったですよ、本当に。

また、手塚治虫さんの人気作品「鉄腕アトム」や「ジャングル大帝」などのキャラクターが登場するエリアも新しく作られた。

西武園ゆうえんち・高橋亜利マーケティング課長:
コロナ禍だからこそ、人とのつながりといったところを実感していただけるといいなと思う。

1950年の開業から70周年を迎えた西武園ゆうえんち。

全国で遊園地が苦戦する中、「懐かしくて新しい」を武器に再生を図る。

3世代で楽しめる施設に

三田友梨佳キャスター:
このニュースについて、マーケティングアナリストの渡辺広明さんに聞きます。昭和レトロなテーマパークに生まれ変わりましたが、どうご覧になりますか?

マーケティングアナリスト・渡辺広明氏:
マーケティング目線で見ると、手堅いところを狙ってきたという印象です。としまえんが閉園したように、乗り物をメインとした遊園地は苦戦を強いられています。そのため、明確なテーマ設定と象徴的なキャラクターがポイントで、それがないと来園客を引きつけるのが大変難しいです。

西武園の設定は昭和レトロということで、懐かしさやぬくもりがあったり、世代を超えた居心地の良さが体験できることが素晴らしいし、象徴的なキャラクターという点では世界的に人気のゴジラを持ってきているのが強いです。

三田友梨佳キャスター:
具体的にはどのような来園者から支持を集めることができるとお考えですか?

マーケティングアナリスト・渡辺広明氏:
少子化が進んでいるので、子供対象の遊園地は先細りが間違いないんです、残念ながら。そのため祖父母や両親世代を昭和の懐かしさで集客して、子供が一緒に行って新鮮でリピートしていくところが狙いだと思います。

コロナ感染が収束したら、必ずインバウンド客が戻ってきます。外資系のテーマパークではなく、日本にしかないゴジラのアトラクションが集客の目玉になるのは間違いないと考えます。

三田友梨佳キャスター:
西武園ゆうえんちの70年の歴史の中には、多くの方のたくさんの大切な思い出が詰まっていると思うので、国内の様々な遊園地が廃業を余儀なくされる中、大規模なリニューアルという選択に嬉しく思っている方は多いと思います。

今回の試みでどれだけ集客力を回復できるのか、「懐かしくて新しい」という新たな挑戦の成果が注目されます。

(「Live News α」5月19日放送分)