FNN記者のイチオシのネタを集めた「取材部 ネタプレ」。今回取り上げるのは、社会部宮内庁担当・宮崎千歳記者が伝える「令和のご養蚕を支える生き物愛と家族の絆」。

初めてのご養蚕に陛下が同行し写真撮影

社会部宮内庁担当・宮崎千歳記者:
初夏を迎えた皇居では、皇后雅子さまが蚕の飼育を始められました。
令和のご養蚕を支える生き物愛と家族の絆についてご紹介します。

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まずは、皇后さまのお仕事と現場での引き継ぎについてです。
皇居でのご養蚕は、明治天皇の皇后である昭憲皇太后が絹産業の奨励のために始めたもので、その後 大正・昭和・平成・令和と皇后陛下のお仕事として引き継がれているのです。

皇后さまも上皇后美智子さまから2020年に受け継がれて作業を始められて、2021年が2年目になります。

蚕は病気に弱い、とても繊細な生き物で、さらに今回は退位による代替わりであったことから、美智子さまはご自身の経験を踏まえて、最後の年のご養蚕の作業に雅子さまを招いて少しでもプレッシャーや不安を和らげるために現場での引き継ぎをなさいました。

私が初めてご養蚕の取材をしたのは16年ほど前のことですけれども、当時とても慣れた手つきで慈しむように作業されていた美智子さまの職人のようなお姿がとても印象的でした。

皇后さまによる令和のご養蚕は2020年に始まりましたが、そこでは陛下のサポートを垣間見ることができました。

折しもコロナ禍での作業となり、万全の感染防止策が求められ、作業に立ち会うのは専門家ただ一人です。飼育する蚕も日本古来の蚕である「小石丸」一種に絞っています。
実は、初めて作業に取り組まれる皇后さまを気遣って、陛下が同行された日がありました。

職員によると、陛下は愛用のカメラを持参されて、作業の様子とか蚕の姿などを撮影されていました。
陛下がそばにいらっしゃる安心感か、雅子さまも笑顔が絶えず、生き生きと作業に取り組まれたそうです。

美智子さまが引き継がれた当初、上皇さまも作業に同席されていたそうなので、やはり親子2代にわたって夫のさりげないサポートがあったということがわかります

加藤綾子キャスター:
いつも寄り添う姿が印象的じゃないですか

住田裕子弁護士:
本当にすてきですよね。
皇后さまは、今コロナ禍でとても大変な時に心強かったと思いますよ

社会部宮内庁担当・宮崎千歳記者:
本当に心強かったと思います

母から娘へ、祖母から孫へ…受け継がれる伝統

社会部宮内庁担当・宮崎千歳記者:
愛子さまの手にトンボが止まっている写真です。
雅子さまと愛子さまは、母子そろって無類の生き物好きでいらっしゃるんです。

雅子さまの子供の頃の夢は、獣医になることでした。小学生の時は生物部に所属されていて、ご自宅で飼っていたイモリを学校に持って行き、手のひらに乗せてかわいがっていたそうなんです。

結婚された後も、庭で弱っていたクワガタを飼育して繁殖したこともあり、いまご養蚕もとても楽しみながら取り組まれていて、そうした生き物好きが愛子さまにも受け継がれているんです。

実は、愛子さまもご自宅で蚕を飼育されているんです。
小学校3年生のときに学校で蚕を飼育したのがきっかけで、その後 約10年間 毎年育て続けていて、今その数は100頭ほどとかなり本格的になさっています。

実際に愛子さまが2020年に育てられた繭を、ご家族で撮影された写真です。
新聞紙などで手作りした道具をお使いになっていて、雅子さまは以前から愛子さまのご養蚕をフォローされているので、母子ともに蚕に深い愛情を注がれていることがわかります

加藤綾子キャスター:
確かに写真をよく見ると、手作りだなというのがわかりますね

社会部宮内庁担当・宮崎千歳記者:
実は、眞子さまも小学生の頃に自宅で蚕を育てたり、佳子さまと一緒に美智子さまのご養蚕所での作業をお手伝いされたことがあったんです。

かつて美智子さまは、小学校3年生の眞子さまに宛てたお手紙の中で「眞子ちゃんはこのまゆかきの仕事をずいぶん長い時間てつだって下さり ばあばは眞子ちゃんはたいそうはたらき者だと思いました」と記されています

加藤綾子キャスター:
すごく心温まるやりとりですね

社会部宮内庁担当・宮崎千歳記者:
このように皇室に伝わる伝統が、母から娘へ、祖母から孫へと若い世代にも大切に受け継がれています。
雅子さまは初めてご養蚕を終えたご感想を、2020年の誕生日の文書の中で「繭から美しい生糸が紡がれたことを感慨深く思いました」というふうに綴られています。

こうして無類の生き物好きでいらっしゃる雅子さまは、今後もご家族の手助けを受けて楽しみながら、大事な伝統ある皇后陛下のお仕事をこれからも続けていかれるのではないかと思います

(「イット!」5月19日放送より)