菅首相はなぜハンバーガーを食べなかったのか

週末に行われた日米首脳会談。2人だけのサシ会談は20分しか時間が取れなかったので、ハンバーガーを食べるヒマがなかったのはしょうがないが、できれば菅さんはガブリとやって、「ジョー、アメリカのハンバーガーはうまいね!」とか、カンペを読みながらでもいいから英語で何か気の利いた事を言ってほしかった。

バイデン大統領のツイッターより
バイデン大統領のツイッターより
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ただ時差ボケでいきなりハンバーガーは72歳の日本人にはきついと思う。せめて菅さんの好きなパンケーキにするとかバイデンももう少し気を使ってくれても良かったのに…。

今回の日米首脳会談、米側の目的は日本と一緒になって中国にプレッシャーをかけること、つまり「バイデン・菅」のツーショット映像を世界に流し、半世紀ぶりに共同声明に「台湾」の文字を入れることだ。

日本が提案した「両岸問題の平和的解決を促す」という表現が中国に気を使い過ぎていて米側が怒っているという指摘があるが、米国だってケリー気候担当特使を同時期に中国に派遣するなど対決一本鎗ではないので、そこは冷静に構えないとはしごを外される。

会談は時間を超過して行われた
会談は時間を超過して行われた

おじいちゃん2人は孫の話で盛り上がった

一方、日本の目的は両首脳の個人的関係を構築すること。サシの会談ではバイデンが菅さんと同じく地方議員からの叩き上げであることを伝え、また孫の写真を見せてお互い孫を持つおじいさん同士の会話で盛り上がったらしい。

ただコロナだから、たとえマスクを外してハンバーガーをガブリとやっても、「うまい」と言う前にまたマスクを着けないといけない。実はバイデンもハンバーガーは食べなかった。本当のトモダチになるための「ふれあい」はこれからだろう。

4年前、安倍前首相はトランプ当選後、果敢にNYに飛んで会談してトランプとの関係を構築した。そしてその後の世界の首脳外交の主導権を握ったのだが、ゴルフ友達だったシンゾー・ドナルド関係に比べ、ヨシ・ジョー関係というのは全く違った形になるのだろう。

ワシントンでの同行記者団との懇談で菅首相は解散について「時間の制約を前提によく考えていきたい」「政治家は解散して勝たなければ続かない」と述べた。これを聞くと、五輪閉幕後の9月に解散総選挙をし、勝った勢いで総裁選も勝つという流れなのかなと思う。

日米共同記者会見に臨む菅首相
日米共同記者会見に臨む菅首相

ポスト菅の3Kは「無理」「無謀」「無味」

ところで先週のコラムで「原発の処理水の海洋放出が始まる2年後も菅さんはまだ首相をやってる気がする」と書いたところ、鳩山政権で官房副長官を務めた松井孝治慶大教授から「アカンと思いますあの人は」とダメ出しをされたので「アカンと言われても他に誰がいる?」と返した。

松井氏は「自民の3Kは、まだ無理、無謀、無味の3Mなので安倍さんがいい」とのこと。まあ安倍再登板は置いといて、ポスト菅は3Mの3Kということか。すなわち小泉(まだ無理)、河野(無謀)、岸田(無味)。これは面白いかも。

今秋の総裁選にはこのうち誰が出てくるのだろうか。ただ政局が荒れて「菅おろし」にでもなると今はおとなしくしている石破さんや都庁の緑の人なども参戦して来るんだろう。

【執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫】

平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ報道局上席解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て現職。