東日本大震災から10年が経ったが、2021年2月には福島県沖を震源とした最大震度6強の地震。
2021年3月には宮城県沖を震源とした最大震度5強の地震と、大きな揺れが続いている。

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取りやめた「余震」の表現

これまで気象庁は、会見で「今回の地震は平成23年、東北地方太平洋沖地震の「余震」と考えられます」と説明を繰り返してきた。

南北に600km・東西に350kmの太平洋沖にある東日本大震災の「余震エリア」。
このエリアで発生した地震が「余震」と表現され、2021年3月までの10年間に1万4,711件の余震が確認されていた。

しかし、2021年4月からは「余震と考えられる」という表現を取りやめた。
震災から10年が経ち、余震と明確に判断できくなったと説明している。

東京大学客員教授・防災行動や危機管理の専門家「防災マイスター」の松尾一郎さん:
理由は、2つあると思うんですよね。余震と聞けば、終わった地震の割れ残りと「もう大きな地震は来ない」と安心してしまう、対策が進まない問題と思っているということ

東京大学客員教授・防災行動や危機管理の専門家「防災マイスター」の松尾一郎さん:
2つ目は、東北沖合の海溝型の大きな地震は、歴史的にも20年~50年周期で起こっている。そうすると、東日本大震災から10年が過ぎて、もう折り返しにある。次の来るべき地震に備えていくという意味合いもあると思う。引き続き、地震はいつ・どこで起こるかわからないし、規模もわからない。そういう意味では、対策は重要だと思います

東日本大震災の「余震」の中でも、最大クラスの規模だったのが、震災からちょうど1カ月後に起きた「浜通り地震」。
震源地となった福島・いわき市では、後世に伝える取り組みが今も続けられている。

10年前の震災から1カ月後の2011年4月11日。
マグニチュード7.0の余震が、福島・いわき市田人地区を襲った。震源となったのが「井戸沢断層」。

そのメカニズムは、3月11日の地震は陸側に押し込まれていた「プレート」がその力に耐えられなくなり発生。その反動で4月の地震では、海側に引っ張られる力に耐えられなくなり、発生したと考えられている。

10年前、大規模な土砂崩れが起きた地区で暮らしていた鈴木景良さん。家の一部が損傷したが、間一髪助かった。

ーー地震は結構揺れた?

10年前の土砂崩れで被害・鈴木景良さん:
いやいや、揺れたところではない。半端じゃなかったからね

この地区では3軒が全壊するなど、4人が犠牲になった。
そのため田人地区では、地震の記憶と教訓を後世に伝えようと断層の周辺にイチョウを植樹する活動を続けている。
月日が経ったが、被害を受けた鈴木さんにも教訓が生き続けている。

10年前の土砂崩れで被害・鈴木景良さん:
(それまでは)地震は頭になかった。これがあってから、家にいても飛び出すようになった。そういう所は頭から離れないな。いや、忘れられないな、やっぱりね

緊急地震速報も間に合わない「内陸地震」

ーー井戸沢断層のような内陸地震はどのような点に注意すべきなのか?

東京大学客員教授・防災行動や危機管理の専門家「防災マイスター」の松尾一郎さん:
私たちは沖合いで起こる地震に目が行きがち。でも私たちが暮らす真下で起こる内陸地震の方が、揺れによる被害が大きい場合がある。それと内陸地震というのは、一番揺れる場所で緊急地震速報が間に合わない。揺れが急に来ても、室内で家族・ご自身がケガしないような日々の対策が重要だということです

気になる地震の発生確率

政府の地震調査委員会は、日本全国の揺れの大きさや確率をまとめた「全国地震動予測地図」を2021年3月に2年ぶりに更新した。
今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率、全国で最も高かったのが水戸市で81%。
一方で福島市は前回よりも2.2ポイント増え、9.3%となっている。

東北の6つ市では、福島県沖での活発な地震活動が続くことなどから、青森市を除き5市で前回よりも高まっている。

ーーこの確率はどのように考えればいいのか?

東京大学客員教授・防災行動や危機管理の専門家「防災マイスター」の松尾一郎さん:
今後30年の間に、大きな揺れが起こる可能性を数字で示したもの。例えば、震度6弱だと棚の食器や本が落ちる。テレビも台から落ちてくる。そのことによってケガをするという事が起こる。これが確率でいうと9.3% 震度5強というのは茶飯事の地震だと思うのですが、これが福島では50% 非常に数字が高い。この数字をどう見るかなのですが、あまり数字に一喜一憂しないという事が重要。いつだって起こるんだと構えておく。これしかないと思います

一度は確認してほしいサイトが「地震ハザードステーション」。
どこのエリアがどのくらい揺れるのか具体的にわかるもので、福島市の場合は阿武隈川の近くの方が揺れやすくなることがわかる。
自分の住んでいる地域がどのくらい揺れるのか一つの目安になりそう。

東京大学客員教授・防災行動や危機管理の専門家「防災マイスター」の松尾一郎さん:
日々の生活の中で、地震のリスクを身近なものにしていくことが重要であると思います。けれど、ホームページを見られる方じゃないと分からないという課題はありますよね

東京大学客員教授・防災行動や危機管理の専門家「防災マイスター」の松尾一郎さん:
日ごろから、こういう情報を市民にどう伝えていくかという自治体の役割も、非常に大きいと思います。例えば、自宅とか学校・会社で地域の揺れはどの程度あるのか、こういうもので確認しておく。ぜひ一度は見ておいていただきたいと思います

(福島テレビ)

福島テレビ
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