オンライン専用の新ブランド

スマホの新料金をめぐる価格競争にまた新たな動きがあった。携帯大手のソフトバンクが新たな料金プランを発表。LINEとのタッグで、他社との差別化を図る。

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2月18日、ソフトバンクが発表したのは、手続きなどをオンラインに限った新ブランド「LINEMO(ラインモ)」。(3月17日提供開始)

ソフトバンクが去年12月、春からの新料金を最初に発表した際は、5分以内の国内通話かけ放題つきで通信料20GBで月額2980円としていたのだが…

ソフトバンク・寺尾洋幸常務:
この料金を発表したあとに『LINEフリー(使い放題)なんでしょう?』『だったら電話いらないじゃん』と皆さんの声をいただいて、どんどん改善しようと。新しい料金は20GB、2480円!こちらの料金となります

今回の見直しでは、基本プランから国内通話かけ放題を外し、プラス500円のオプションに変更した。

これは1月にKDDIが発表した定額通話なしの20GB、2480円と同じ。NTTドコモの新プラン「ahamo」には初めから含まれる5分以内の国内通話かけ放題をオプションでつけると、大手3社の料金は2980円で横並びとなる。

LINEサービスは使い放題 

料金はほぼ横並びの中で、一体どんなサービスでメリットを顧客に訴えるのか?ソフトバンクが選んだのは、月間利用者が8600万人にも上るLINEとの協業だった。

ソフトバンク・寺尾常務:
一番大きいのはLINEとのシナジー(相乗効果)だと思います。LINEのデータをギガフリー(使い放題)にすること。きょう発表したLINEスタンプはフリー(無料)という形で、お客さまが一番使われているソフト、アプリであるLINEをもっと使いやすくすることが、一番の差別化ではないかなと考えています

新プランの契約者はLINEのビデオ通話なども含めて無制限で使えるようになる。その上、夏には700万種類以上のLINEのクリエイターズスタンプも使い放題にするという。

ソフトバンクユーザー(20代):
便利だなとは思います。写真とか良いのを電車の中から送りたいときとか、結構ギガ数くっちゃうので…

オンライン手続きも、使い慣れたLINE上からできることで利便性も図る形。料金プラン値下げの春、携帯大手による競争は続く。

健全な市場運営が構築されつつある

三田友梨佳キャスター:
エコノミストで企業ファイナンスを研究している崔真淑さんに聞きます。今回の値下げについて、経済界はどう見ているんでしょうか?

エコノミスト・崔真淑さん:
多くの投資家にとっては、もしかしたら想定内の動きと見ていたのかもしれません。というのも、金融市場でのKDDIやソフトバンクの株価を見てみると、大きな変化はなかったんです。値段に至っては追随してきたかと考えている投資家が多いのかなと思っています。

三田友梨佳キャスター:
通話料金を含めると大手3社が横並びとなった形ですが、他社も含めて、この通信業界はどうなっていくと考えますか?

エコノミスト・崔真淑さん:
一番懸念されていたのが、大手通信キャリアから回線を借りて運営している格安通信事業者=MVNOが価格競争に耐えきれず、淘汰(とうた)されてなくなるんじゃないかという点です。もしそうなってしまえば「大手通信キャリアが再び値上げをするんじゃないか」そんな懸念すらあったんです。しかし、格安通信事業者の一つである日本通信がNTTドコモから借りている音声通信サービスの料金をめぐる交渉で、総務省を入れての協議が行われたんですね。その際に、日本通信側の主張がほぼ受け入れられる形で決着がついたんです

エコノミスト・崔真淑さん:
つまり、今何が起きているかといえば、大手通信キャリアの価格競争をそもそも今まで促してきた格安通信事業者が事業を行いやすい、そういう環境が総務省のケアのもとで行われている。健全な市場運営が今、構築されつつあるのかなと思っています

三田友梨佳キャスター:
値下げの要請を受けて価格は一定程度下がりましたが、今後の課題についてはどんなことが挙げられますか?

エコノミスト・崔真淑さん:
やはり、価格を下げるだけで、このままの事業モデルでは企業の収益は下がってしまいますよね。そうなった場合にサービスの質が低下するのではないか?また、通信キャリアが設備投資を低下させてしまったら日本のマクロなイノベーションが阻害されるんじゃないか?といったことが懸念されています。そのあたりも、しっかり検証は必要かなと思います

三田友梨佳キャスター:
低価格が実現した今、各事業者には低価格を保ちながら、今度は価格以外の部分でどんな付加価値をつけることができるのかが問われているようです

(「Live News α」2月18日放送分)