東日本大震災の発生から、まもなく10年。
死者1万5000人を超え、いまも2500人以上が行方不明。避難生活を強いられた人は全国で47万人にのぼった。

そして2月13日、再び東北を襲った地震。避難所には新型コロナの感染対策で、仕切りの高いテントが並んだ。避難所での感染リスクと対策を考える。

「卓球用パーティション」の感染防止力

2020年7月の「令和2年7月豪雨」。新型コロナウイルスの脅威にさらされた、初めての大きな災害だった。

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熊本・人吉市の避難所では、当初、高さ75センチの「卓球用のパーティション」で仕切りを作り、避難した人たちは柔道用の畳の上で過ごしていた。

このような仕切りを作った場合の感染防止には、どのような効果があるのか?

実際に避難所として使われる体育館をモデルに、シミュレーションしてみた。

(株)環境シミュレーション提供

300人以上が入る体育館(1280㎡)の通路や家族ごとの間に、高さ75センチのパーティションを置く。

パーティション同士の間に5センチ、床との隙間に2センチ開いている場合、パーティションから少し離れたところを2人が歩くと…

(株)環境シミュレーション提供

通りすぎた後から、ウイルスを表す粒子がほこりと一緒に舞い上がり、パーティションの隙間や上から、寝ている人のスペースへ侵入してくる。

(株)環境シミュレーション提供

避難者が飛沫を直接浴びるのを防ぐことに対しては一定の効果があるが、 床から舞い上がる目に見えないウイルスは防ぎきれない。

「卓球用パーティション」から「段ボールベッド」へ

2020年7月の熊本の避難所では開設から約1週間後、景色が一変していた。「段ボールベッド」がずらりと並んだのだ。

提供:水谷嘉浩氏

生活が床から高さのあるベッドに変わると、どのような効果があるのか?

避難所・避難生活学会 水谷嘉浩理事:
ベッド(の高さ)が35センチあると、ほこりの吸引が一気になくなってせきが止まる。環境を整えることで感染症に対しても有効である。

では、35センチの高さの「段ボールベッド」を入れた場合の感染防止効果を検証してみる。

(株)環境シミュレーション提供

よく見ると、高さがあるベッドでは、ウイルスが顔の周辺まであまり届いていないことがわかる。

床から35センチ。この段ボールベッドの高さによって、ウイルスを吸い込むリスクを低減することができる。

(株)環境シミュレーション提供

段ボールベッドのきっかけは東日本大震災

実はこの段ボールベッド誕生のきっかけは、10年前の東日本大震災だった。

当時、避難所の環境は整っておらず、 体調を崩す人が相次いだ。 その報道を見た段ボール製造会社の社長でもある水谷さんが、段ボールベッドを考案したのだ。

避難所・避難生活学会 水谷嘉浩理事:
避難所で人が亡くなることに疑問を感じた。

水谷さんによると、べッドを導入すると暖かさを保てるほか、床の掃除がしやすくなり、これも感染対策に繋がるのだという。

提供:水谷嘉浩氏

段ボールベッドの課題「人手と運営の仕組み」

日本でようやく認知され始めた「段ボールベッド」の課題の1つが、設営に必要な人手と運営の仕組みだ。

ディレクターが実際に組み立ててみると、1つ組み立てるのにかかった時間は7分。

限られた人数でたくさんのベッドを組み立て、避難所にスムーズに導入するのは簡単ではない。

避難所・避難生活学会 水谷嘉浩理事:
日本から雑魚寝は一刻も早くなくしたい。ばらばらに市町村がやるのではなく、国で標準化することが非常に大事かなと思う。

避難と感染対策の在り方が今後も問われている。

(「Live News days」2月18日放送分より)