森会長が辞任表明…しかし後任指名は一転白紙に
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長(83)が2月12日正式に辞任を表明した。
しかし、森会長から後任に指名された川淵三郎氏は一転、起用が見送られることになった。
12日午後行われた組織委員会の評議員会・理事会合同懇談会では3つの点について意見交換が行われたという。
一つは森会長の発言に対して、二つめはジェンダー(男女)平等に対して、三つめは新会長選任に対しての3点。
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焦点となる新会長の選任については今後、選考検討委員会を設けて、御手洗冨士夫名誉会長のもと選考し、委員会の定款のルールにしっかり基づいて、理事会において決定していくことになった。
その懇談会には、森会長も出席した。公の場に姿を見せるのは“女性蔑視発言”の謝罪会見以来、8日ぶり。
その冒頭、会長職を辞任する考えを正式に表明した。
大会組織委・森喜朗会長:
今日をもちまして、会長を辞任いたそうと思っております。オリンピックを開催するための諸準備に私がいることは妨げになるということであってはならないと…
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それを受け、IOC=国際オリンピック委員会のバッハ会長が「IOCは森会長の辞任の判断を尊重し、その理由を理解する」とのコメントを発表し、森会長のこれまでの貢献に対し感謝を述べた。
その森会長から直接、後継指名された組織委員会の川淵三郎評議員(84)だったが、起用は一転見送られることとなった。
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川淵氏後継指名が一転見送り…本人は寝耳に水
理由の一つが“密室人事”への批判。
閣僚経験者:
もめ事を起こした本人が、いくら会長だからといって後任指名に絡んじゃったら意味ないじゃない
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加藤勝信官房長官も今後の会長選びについて、「透明性のある形で対応すべき」と苦言を呈した。
加藤勝信官房長官:
大会組織委員会は公益財団法人でもあります。人事を含めた運営についても透明性のある形で対応されていくべきものと承知をしております
起用見送りの一報は、12日午後1時ごろ自宅を出た川淵三郎氏本人の耳には入っていなかったようで…
記者:
政府から会長起用見送りなどのさまざまな意見が出ていますが?
川淵三郎氏:
ああ本当?それはもう…そういうことが出たのならば、ある程度従わなくちゃいけないんじゃないの?
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記者:
そういうお話は伺ったんですか?
川淵三郎氏:
全然聞いてない…
“密室人事”批判…因果はめぐり
この“密室人事”は皮肉にも、2000年4月に森喜朗氏が首相に就任した時にも批判されたもの。
当時の小渕恵三首相が倒れた後、森氏自身を含む政権与党幹部5人が集まり、後継選びを主導。まさしく“密室人事”で誕生した首相が森氏だった。
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そして今回の失言も、過去と同じ…
森喜朗首相(当時):(2000年5月)
日本の国、まさに天皇を中心にしている神の国であるぞと…
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いわゆる「神の国」発言では多くの批判を浴びた。
「人事権限はない」答弁から一転…政府の介入も
川淵三郎氏の起用が見送られた背景にある、もう一つの要素が政府の介入。
川淵氏後任案について、政府は国民の間に反発する声があると判断。組織委員会などに対し、川淵氏起用の見送りなどを働きかけたのだ。
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菅首相は周辺に次のように話したという。
菅首相:
国の内外で批判がある中で、女性の起用や世代交代をしないと変わったという印象を持ってもらえない…
川淵氏も菅首相の意向について11日、次のように話していた。
川淵三郎氏:
菅さんあたりは「もうちょっと若い人はいないか」とか「女性がいないか」っていうような話はあったと聞いている…
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しかし以前、菅首相は国会での答弁で「人事の権限はない」と強調していた。
共産党・藤野保史議員:(5日)
総理!(森会長を)辞任させるべきじゃないですか?
菅義偉首相:
内閣総理大臣にその権限はないというふうに思っています
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ところが12日、後継人事に異を唱える姿勢に転じたのだ。
焦点は、次の会長が誰になるのか?
政府は女性の起用を含め検討していて、候補には橋本聖子五輪担当相が浮上している。そうした動きに街では…
80代女性:
元アスリートだからね。なんか今すごく動ける感じ。年齢的にも
20代女性:
トップを決めるのに、なんかこんなコロコロ変わったりとか、あいまいな感じで東京オリンピックを成功させたいのかなっていう不安はあります
「ポスト森」に名前があがる橋本聖子五輪担当相は、12日の予算委員会で就任を要請された場合、受けるかどうか問われ、次のように答えた。
橋本聖子五輪担当相:
私はそういった報道等につきましては、全く今の段階では承知しておりません。組織委員会 評議員会・理事会の懇談会の場で、しっかりとした議論がなされるというふうに承知しております
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ただ、橋本五輪担当相が組織委員会のトップに就任するには、オリンピック憲章に政治的中立がうたわれていることなどから、少なくとも大臣を辞める必要があるとの指摘もあり、難しい判断を迫られることになる。
白紙状態となった後任人事。組織委員会には透明性高い手続きが求められている。
懇談会に出席した理事に聞く…中で何があったのか?
「イット!」では、12日夕方終了した東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の懇談会に出席していた理事のヨーコ・ゼッターランドさんと中継を結び、会議のようすを聞いた。
加藤綾子キャスター:
先ほど懇談会が終了しましたけれども、予定では16時半までの予定だったんですが、かなり長引きましたよね。何があったんでしょうか?
大会組織委・ヨーコ・ゼッターランド理事:
やはり冒頭のところで、森元会長のお話があって、多くの方が先だってのご発言について、意見や感想を述べられというところにも、ずいぶん時間が費やされたように思います
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加藤綾子キャスター:
懇談会で新会長の選出方法についても議論があがったんでしょうか?
大会組織委・ヨーコ・ゼッターランド理事:
やはりこういう状況ですので、速やかに空白を作らないように選定をやっていく必要があるだろうということは出ておりました
加藤綾子キャスター:
懇談会の内容としては、森さんの発言についてと新会長の選出方法が話し合われたということですね?
大会組織委・ヨーコ・ゼッターランド理事:
あともう一つは、今回の森元会長の発言を受けて、ジェンダーの問題についても、ずいぶん時間が費やされました。この3点ですね
加藤綾子キャスター:
今後のスケジュールが気になるんですが、新会長の選出は、規定ではまず理事の中から選出しないといけないことになっていて、そのためにはまずは、その方を理事に選んで、その後、理事会を招集して選挙をして新会長を選出する…ということで、少なくとも1~2週間かかるのでは?という見立てなのですが、この時間がない状況の中で、ゼッターランドさんはどのようにお考えですか?
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大会組織委・ヨーコ・ゼッターランド理事:
状況が状況ですので、とにかく空白を作らず、速やかに透明性をもって選出していくのは、もう絶対だということがありましたので、それは多くの皆さまにご理解いただくためにも、きちんとしたプロセスというのは踏んでいくべきではないかなというふうに思います
(イット! 2月12日放送より)