外科医が手術の練習で“スゴ技”披露

何事も極めるためには、練習に練習を重ねることが必要だが、外科医の驚きの手術の練習方法が話題になっている。

一時期、腹腔鏡で鶴を折ることを頑張って練習していました。腹腔鏡手術のかなりいい練習になるのでオススメします。動画は10倍速なので速く見えますが実際はゆっくり丁寧に操作。数千羽折っている先生、3分を切る先生、FBでタイムや完成度を競い合っているコミュニティもあり奥が深いです。

このように投稿したのは、外科医になって5年目だというオペ中 手術を描く外科医(@ope_naka)さん。腹腔鏡手術の練習のために器具を使って、折り紙で鶴を折っているというのだ。

腹腔鏡手術はお腹に数か所小さな穴をあけ、器具を入れて行う手術だが、オペ中 手術を描く外科医さんによると、折り紙での練習はおすすめだという。

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投稿されている10倍速の動画を見てみると、正方形の折り紙は器具により手際よく折られていく。

無駄のない繊細な動きで、細かい部分も難なくクリアし、鶴の形ができあがってきた。

ついに鶴ができあがり、左上に表示された時計を見てみると、5分41秒で完成させている。
早いだけではなく、鶴は手で折ったものと変わりない出来栄えで、完成度も高い。

「手先が器用でないと外科は向いてないなぁと感じました」や「すごいですね! 別な意味でも職人技!!」などのコメントが寄せられ、12万超のいいねが付いている(1月20日現在)

コメントにもあるように器用でなければできないスゴ技であるが、腹腔鏡手術はこうした細やかな技で行われているのだろう。では、外科医は皆同じような練習をしているのだろうか。

腹腔鏡手術を日常的に行っているというオペ中 手術を描く外科医さんにお話を伺った。

外科医全員がやる練習ではない

ーー外科医の方は、腹腔鏡手術の練習として、みんな折り紙を折って練習する?外科医の方は皆できるもの?

外科医全員が取り組む練習ではありません。また、外科医全員が可能なものではありません。そもそも「腹腔鏡のトレーニングに鶴を折る」という方法すら聞いたことがない外科医も多いのではと思います。
 

ーー鶴1羽をどれくらいの時間で折れる?

私の場合は1羽あたり5~6分程度です。最初は1羽1時間ほどでしたが、徐々にタイムが縮まり、現在は正確な数は覚えていませんが、300羽ほど折っていて、5分を切れました。

ーー折り紙での練習は器具を器用に使いこなすための練習?

そのとおりです。道具を使いこなす目的が中心です。その他の効果は、通常の手術と同様に「定型化」を実感できることが挙げられるでしょうか。また、2次元の画面から3次元の物体を認識することにもつながります。
 

実際の手術は感覚もプレッシャーも異なる

ーー投稿で使っている器具は何という器具?

針持器という、腹腔内で針を扱う鉗子になります。強調頂きたいのは、鶴を折ることと実際の手術は感覚もプレッシャーも全く違うということです。腹腔鏡手術を執刀する上で、鶴を折れるくらい自在に鉗子操作ができるとより良いという意味では、トレーニングとしては有用かと思います。

ーー折り紙での練習では補えない部分や実際の腹腔鏡手術と異なる部分はどこ?

腹腔内で糸や針を扱うことがありますので、その練習は実際の糸針を使用する必要があります。生体内はより愛護的な操作を要求されます。鶴は力強く折り目をつけても破れませんが、生体組織に同様の圧力を加えると、損傷をきたします。

ーー折り紙での練習で補えない部分はどのように練習する?

腹腔鏡手術の場合は、実際の糸針を使用して腹腔鏡下での縫合の練習を行ったりしています。

大きな安心を与えられるような医師でありたい

ーーなぜこの投稿をしようと思った?反響はあった?

手術イラストの質問をくださった外科医の先生が折り鶴の練習をされていたのを見て、自分もやってますと紹介したかったためです。また、併せてこの折り鶴のトレーニングが腹腔鏡を扱う医師に広まればと思い投稿しました。
医療者より一般の方からの反響が大きく驚いております。同時に、「外科医全てが鶴を折れる」「鶴を折れないと外科医失格」のような誤った認識を与えてしまったようで、それについては補足という形でツイートしました。

ーー鶴以外に折ったものはある?

鶴以外には折ったことはありません。まだ鶴を極めたとは言えないからです。

ーーどのような外科医になりたい?

手術の腕はもちろん磨きたいですが、それだけではなく不安を抱えて受診される患者さんに、大きな安心を与えられるような医師でありたいと思っています。極めたい分野はまだ決まっていません。目標はシンプルですが一流の外科医になることです。

外科医全員が取り組む練習ではなく、実際の手術は、鶴を折る時と同様の圧力を人体にかけられないことから、感覚もプレッシャーも全く異なるということだった。しかし、鶴を折れるくらい器具を自由に操作できるようになる点では、良い練習になるという。

今回、繊細な技が手術に必要なことが映像でわかったが、技術を日々磨き、執刀してくれている医師たちには改めて感謝したい。