わなにかかっていたのは…
鹿児島県志布志市で暮らすおばあちゃんと、イノシシの子ども“ウリ坊”がとても仲良しで、どこに行くのにも一緒。そのかわいらしい姿にほっこりする。
お茶畑に囲まれた志布志市有明町の住宅。岩根セツコさん(79)を訪ねた。

ーーきょうも遊びに来てますか?
岩根セツコさん:
はい、来ていますよ。ブーちゃん。ブーちゃん、おいで

一見すると犬のように見えるのは、推定2カ月、ウリ坊のブーちゃん。ブーブー鳴くので、こう呼ばれている。

ブーちゃんが岩根さん宅にやってきたのは、約1カ月前のこと。知り合いが仕掛けた「箱わな」にかかっていたが、現在の半分ほどの大きさしかなく、母親と離れては暮らしていけないと、岩根さんが育てることにした。

岩根セツコさん:
小さかったから、かわいそうだからミルクをあげたりして育てた。かわいいよね

そして、そろそろ大丈夫だと思えた先日、近くの山に帰そうと2度ほどチャレンジしたが、戻ってきてしまい、そのまま岩根家に居着いてしまったという。

どこに行くのにも一緒 時には“おねだり”も
ブーちゃんと岩根さんは、どこに行くのにも一緒。
農作業のために畑に向かうと、最近は畑の場所をすっかり覚え、岩根さんよりも先に畑に入っていく。

作業の間は、畑で自由に遊んだり…、時には、岩根さんにヨシヨシをおねだりしたり。

岩根セツコさん:
もう寝るのね?
穏やかな性格のブーちゃん。畑の作物にはいたずらせず、おりこうさんだ。

しかし、ブーちゃんは野生のイノシシ。今は、岩根さんのそばを離れずぴったりとくっついているが、いつかは別れの時がやってくる。
岩根セツコさん:
大きくなったら、山の方にね…(お別れは)寂しいよね

その日が来るまで、岩根さんは、ブーちゃんにたっぷりの愛情を注ぐ。
「母親」と思っている?
どうして岩根さんの元を離れないのか。
鹿児島大学農学部で鳥獣被害を研究し、イノシシにくわしい髙山耕二准教授によると、イノシシは子どものころ、親から離れずに行動するので、餌をくれる岩根さんを母親だと思っているのではないかという。
また、大きくなってからだと、なつく可能性は低いとのことで、小さいころから世話をしていたのがポイントだったようだ。
(鹿児島テレビ)