水泳の背泳ぎで、インターハイ・国民スポーツ大会と全国2冠を達成した高校1年生を紹介します。その強さの秘訣は、全国でも珍しいという独特の泳ぎ方にありました。
日が傾きかけた平日の夕方。プールのエントランスでもくもくと勉強しているのが…今回の主人公、富山第一高校1年の辻口哲平選手です。
*富山第一高校 辻口哲平選手
「魚津市から富山市に通っていて、なかなか家で勉強する時間が取れないので、できるだけ隙間時間を見つけて勉強している」
富山県魚津市から富山第一高校の特進コースに通う辻口選手。放課後、練習が始まるまでの1時間を勉強の時間に充てるのが日課です。
*富山第一高校 辻口哲平選手
「将来的に水泳だけでは生きていけないので、勉強もしっかりして将来のために頑張っている」
辻口選手の専門は背泳ぎ。今年8月のインターハイでは、自己ベストの55秒47で優勝。
さらに、9月の国民スポーツ大会でも、自己ベストを0秒26更新して優勝。高校1年生ながら全国2冠を達成しました。
*富山第一高校 辻口哲平選手
「優勝すると自分の中で常に唱えていた。インターハイから国スポまでは、もっと感覚を研ぎ澄ませる、そんな練習を意識していた」
週に6日、富山市のスイミングクラブに通っている辻口選手。日本代表や全国大会への出場経験があるメンバーと練習に励んでいます。
その辻口選手の武器が、肩甲骨周りの柔らかさです。
*富山スイミングクラブ 坂本和也チーフコーチ
「身体がしなるほど、彼の場合は大きく水を捉えることができる」
この柔らかい身体を生かしたフォームこそが辻口選手の強さの秘訣。背泳ぎは一般的に肩の延長線上に手を伸ばし、そこから水を掻いて前に進みますが、辻口選手は頭の真上まで手を伸ばし、水を掻くことができます。ひとかきで一気に進むことができます。
*富山第一高校 辻口哲平選手
「自分の体感としては、50メートルで掻くストローク数が減ったり、キックの感覚もより良くなった」
*富山スイミングクラブ 坂本和也チーフコーチ
「体全体をしならせて、腕の力だけではなく、体の側面の力を使ってかくというのが彼の特徴なので、すごく理にかなった泳ぎ」
全国でも珍しいというこのフォーム。指導しているのは、元アジア記録保持者などを育ててきた坂本和也コーチです。
辻口選手の柔軟性をさらに磨くため40、50種類にも及ぶ水中でのストレッチを課しています。
*富山スイミングクラブ 坂本和也チーフコーチ
「体の外側の部分をしっかり開きながら、ストレッチ効果や体操の効果を狙った動き」
坂本コーチは、将来はオリンピックで金メダルを狙える選手になると期待を寄せています。
*富山スイミングクラブ 坂本和也チーフコーチ
「日の丸をつけてほしいという思いが一番強い。将来的にはオリンピック金メダル、世界記録まで見据えられる選手になってくれれば嬉しい」
コーチとともに、独特のフォームで日本一となった辻口選手。周りの選手たちは。
*子どもたち
「かっこいいし、速い。自分も速くなりたいからどんな泳ぎをしているかが気になる」
*富山スイミングクラブ富山東高校3年 杉浦雅人キャプテン
「(全国2冠は)自分からしたらありえない、めちゃくちゃ凄いこと。いじられキャラ。移籍してきたが、すぐみんなとも馴染んだ」
*富山スイミングクラブ 坂本和也チーフコーチ
「どうだった哲平、きょうの練習は?」
*富山第一高校 辻口哲平選手
「急に?」
*富山スイミングクラブ 坂本和也チーフコーチ
「どう上手く泳げた?」
*富山第一高校 辻口哲平選手
「全く、ガチガチで」
*富山スイミングクラブ 坂本和也チーフコーチ
「きょうの辻口くんの泳ぎはどうだった?」
*富山第一高校 辻口哲平選手
「コーチが一番よそ向き」
*チームメイト
「アンダーウォーター(水中に潜った状態)が速かった」
*富山スイミングクラブ 坂本和也チーフコーチ
「いつもはあんな感じじゃない?」
*チームメイト
「きょうはキレてた」
*富山スイミングクラブ 坂本和也チーフコーチ
「きょうは取材があったから、いつも以上に力が出たのかな?」
みんなから愛される辻口選手。将来の目標は…
*富山第一高校 辻口哲平選手
「オリンピックで金メダルとりたい。(一番目標とする)入江陵介選手はとにかく泳ぎがきれいで、僕もあんな泳ぎをしたい。水泳は本当に自分が生きる意味と言ったら言い過ぎだが、そのぐらいとても大事なもの」
辻口選手は国体選手だったお父さんの影響で3歳から水泳を始めたということです。
今回の全国2冠についてお父さんは「ただただ驚いている。本人が頑張ってきたことを誇りに思う。これからも本人らしく頑張ってほしい」とコメントしています。
日本一の高校生から世界一の選手へ。若きスイマーのこれからに注目です。
