元大阪地方検察庁検事正・北川健太郎被告(67)が、検事正という部下に影響力を及ぼしうる立場で、酒に酔って抵抗できない状態だった部下の検事(当時)・ひかりさん(仮名)に対し性的暴行を加えた罪に問われた裁判。
北川被告は2024年に開かれた初公判で起訴内容を認めたものの、争点の整理などを経て開かれた2年ぶりの裁判で「抗拒不能(抵抗できない状態)であったことは否認し争います」と無罪を主張していました。
きょう=11月6日はひかりさん本人に対する証人尋問が行われました。
ひかりさんは被害を受けた当時のことを涙ながらに語り、「検事正から性的暴行を受けるというあり得ないことが起きているのだから、抵抗したら地位を守るために殺すこともあり得ると思いました。もうあり得ないことが起きているんだから」と訴えました。
※この記事には性被害に関する記述が含まれます。
■当日は「仕事と育児で寝不足で、飲みなれない焼酎で早く酔った」
証人尋問は検察側からの質問がまず行われ、普段や事件があった当日の飲酒の状況についての質問がありました。
ひかりさんは「仕事と育児に追われ、平日の夜は全く飲まない。土日に家族3人とゆっくり食事ができるときは缶入りのチューハイを2本飲むことがある」と説明。
そのうえで、事件当日の懇親会では普段は苦手なビールを飲み、「被告が焼酎を水割りで飲むと言ったので、合わせた」と述べ、「仕事と育児で寝不足で、飲みなれない焼酎で早く酔った」と証言しました。
■「現実とは思えないようというか、夢でも見ているような感じ」
そして懇親会での最後の記憶は、上司への対応を巡って北川被告と口論になったことで、次の記憶は性的暴行を受けているときのことだと話し、被害を涙ながらに供述しました。
【ひかりさん】「眠っていて、だんだん目が覚めていくような感じでした。視界に飛び込んできたのは北川被告の顔と全裸が目に飛び込んできました。私の上に覆いかぶさって、性的暴行を加えていました。
楽しく飲んでいたところから性的暴行まで記憶がなく、なんでこんなことになっているか、現実とは思えないようというか、夢でも見ているような感じでした。
まったく悪い夢でも見ているのかなと思いました。でも夢ではなく、現実であることがわかりました。
検事正が一から育ててくれ、一人前に育ててくれて、大事にしてくれた検事正が、トップが、私に覆いかぶさって性的暴行をしているという現実が受け入れられなくて、全身が、頭が凍り付きました」
■「抵抗したら殺すこともあり得る。もう、あり得ないことが起きているから」
そして「抵抗したら殺されると思った」ことの理由についてなども問われました。
【ひかりさん】「どうすればここから逃げられるか考えました。『嫌だ』と大きい声で言ったら、口封じをされる、私を殺すと思いました。
押入れが開いていて、何の荷物も入っていなかったので、殺されて入れられて埋められると思い、私は夫と娘に会えなくなる。
殺されないように帰りたくて、『今何時ですか?夫が心配しているので帰りたいです』と言いましたが、北川は「これでお前も俺の女だ」と言いました。
私は夫が心配しているので帰りたいと何度も言いました。それを言えば、北川も冷静になってくれて帰してくれると思いました。
(Q.なぜ殺されるとまで思ったのですか?)
【ひかりさん】「検事正から性的暴行を受けること自体があり得ないことでしょう?違いますか?抵抗したら地位を守るために殺すこともあり得ると。もうあり得ないことが起きているんだから」
■検察側「被害者はろれつ回らず抗拒不能」
裁判では、検察側がひかりさんが懇親会で相当な量の飲酒をしていたと述べ、「ろれつが回らず、座ったまま机に突っ伏していた」など、抵抗できない状態だったと指摘。
その上で北川被告について「捜査経験も豊富で、性犯罪の被害者の心理も熟知し、性被害にあった被害者が被害を隠す傾向があるなどと認識できた」などと主張していました。
■弁護側「被害申告まで時間かかり客観証拠失われた」
一方、弁護側は「被害者が抗拒不能であったことや同意の有無を直接立証する客観的な証拠、当日の飲食店付近の防犯カメラ映像やタクシー車内のドライブレコーダー、官舎の防犯カメラなどが被害申告までに時間がかかりすべて失われた」と指摘。
さらに「被害者の供述は、懇親会の途中から性交の途中まで記憶が全くないというもので、抗拒不能、同意の不存在を認定するための最も重要な事実について、供述によっては何ら立証されていません」などと主張していました。
