広島市植物公園の半世紀の歩みを振り返ります。
TSSのアーカイブに残されたいまから50年前、1976年の映像…。
総工費18億円、後楽園球場の3.5倍の敷地に、東洋一の大温室がある“憩いの場所”として広島市植物公園の歴史は始まりました。
開園当時、一番の自慢としたのが「ラン」。
展示しているランの数、種類ともに“全国トップクラス”を誇り、1987年に広島で「世界蘭会議」が開催された時には世界のラン、2千品種、3万株を展示し、訪れた人を魅了していました。
そして、1989年には…。
沖縄原産の“幻のラン”、「オリズルスミレ」の栽培に初めて成功。
透明のケースで守られたこのランは、ダム建設などの乱開発で野生のものが絶滅し、広島に送られていた2株だけが生き残りでしたが、植物公園が大切に育て当時、20株程度にまで増やしたといいます。
こちらも珍しい開花…。
フィリピン原産の「ジェードバイン」。
フィリピンでは絶滅の恐れがある貴重な植物とされ、日本での開花例も少なかったといいます。
さらに別の年には2枚の葉を千年以上のばし続ける“珍”植物、「キソウテンガイ」が中四国で初めて開花。
つくしのような形をしています。
こうして普段滅多に見ることができない様々な発見や体験を園内で提供してきました。
この年の連休には園内に威勢のいい掛け声が…!
「はい600円!700円!はい!700円!」
家族連れが“花のセリ”に熱中!
開園20周年の節目には…。
熱帯・亜熱帯産で栽培が難しいベゴニア、800種類を展示した温室が完成。
また2005年、2人の女性が指さす先には…。
大温室にある「ココヤシ」の木に開園以来はじめての実が…!職員も驚きを隠せません。
【当時の担当者】
「はっきりした原因はわからないが木が成熟したということが考えられる。去年の(不順な)天候も関係しているのではないか」
時には、日本一背が高い巨大なヒマワリ作りに挑戦したこともありました。
開園30周年の節目にはため池の愛称が『うらら池』に決まり、散策路も開通。
受験シーズンになると…。
【当時の受験生】
「これとお守りを持ってセンター試験を受けます」
葉が枯れても地面に「落ちない」ヤマコウバシの葉をもらおうと長蛇の列が…。
木の前では手を合わせる人の姿もありました。
“楽しめる植物園”を目指して重ねてきた来園者の心をつかむ様々な工夫…。
春にはサクラをライトアップし、夏には“夜に咲く花”のライトアップとイルミネーションで幻想的な空間を演出。
「このような迫力ある葉っぱを身近で触ることができるんですが、実は私が立っているここ、高さ10メートルの通路なんです」
普段は入れない特別なツアーを開いたり…。
【子供たちは】
「怖かった」
「楽しかった」
池に浮かぶ大きな葉、オオオニバスの試乗会…。
恐る恐る、不思議な感覚を楽しむイベントは“夏の名物”として今も親しまれています。
「私の手元の温度計ではすでに35度を超えています」
そんな暑い日でも水を浴びられる植物公園は子どもたちの人気スポット!
そして2018年には大温室をリニューアル。
開園45周年の2021年には入園者数1000万人を達成しました。
「色鮮やかなランのトンネル。甘いにおいも漂ってきます。素敵です。そしてこちら巨大なランのリース。今年のラン展は映えスポット満載で~す」
開園50周年を迎える今年は38年ぶりとなる取り組みに挑戦…。
それが…。
「わあ。ぷっくりとまだ堅そうではありますが、膨らんでいるのがわかります」
本来の時期よりも桜の花を早く咲かせる「開花促成」。
【担当者】
「なかなか思ったようにいかないなという難しさはある」
それでも何とか目標とした時期にピンクの花が咲きました。
植物と向き合い、来園者を癒してきた半世紀…。
現在は施設の老朽化やバリアフリー対策が課題で、次の50年に向けて再整備に取り組みたいとしています。
