11月1日告示、15日投開票の福岡市長選挙。立候補者が戦後最多となる見通しで、これまでに新人13人が出馬会見を開く一方、自民や立憲民主など主だった政党の動きは鈍く、早くも再選挙の可能性が高まっている。“ポスト高島”の行方は?
「少なくとも私が初めて出た(2010年の市長選と同じ)8人は、出るだろうなとは思っていたが、現状は更にその倍というふうになっているので、これは想像していた以上に多いというのが印象です」

記者会見で驚きをみせたのは、今期で退任する高島宗一郎市長。自らの不出馬を明らかにして以降、これまでに立候補を表明する会見をしたのは13人に上り、立候補者は過去最多になる見通しだ。

県議会の“疑惑”影響?自民推薦出さず
10月17日に開かれた自民党福岡県連の執行部会。幹部が市長選への対応を協議した。

出馬を表明している自民党の元市議、調崇史(しらべ・たかし)さんが推薦を求めているが、県連の古賀篤(こが・あつし)会長は、慎重な態度を崩さない。

「ちゃんと体制が組めるのかということを今、重視してるので、別に誰も推薦できないのを避けたいっていうことよりは、当然やる以上は勝たなきゃいけないと思ってますので、その観点で今、調整している」

背景には、福岡県議会における正副議長ポストをめぐる金銭授受疑惑などへの批判や逆風が、今も止む気配がないことが影響していると見られ、告示を目前に迫った10月29日、遂に『党として調さんに推薦は出さないことを決めた』と発表した。

一方、野党側も盤石ではない。
「今回、私は完全無所属で挑戦をいたします。どの政党へも、あるいはどの団体へも推薦のお願いはいたしません」

前衆議院議員の稲富修二(いなとみ・しゅうじ)さんは、2月の衆院選の際、立憲民主党から移った中道改革連合を離党し“完全無所属”を掲げる。

これまで支援してきた立憲民主党の県連は、自主投票とし、連合福岡も推薦をせずに自主的な支援にとどめた。

市議会の第2会派である公明党も、今回は自主投票を決めている。

“新興勢力”は支持拡大に攻勢
主要政党が軒並み組織的な動きを封じる中、“新興勢力”は支持拡大を訴えるチャンスと攻勢を強めている。

「ぜひ福岡でも井上さん、なんとか市長で大活躍して欲しい」
地域政党『減税日本』の河村たかし代表と出馬会見に臨んだのは、井上潔(いのうえ・きよし)さん。

日本保守党の森健太郎(もり・けんたろう)さんは、百田尚樹代表と並んだ。「とりあえず福岡市から政治を一掃したい。クリーンにしたい」

参政党の神谷宗幣代表は、党が推薦する吉富景子(よしとみ・けいこ)さんの会見に同席した。「来年の県議会議員選挙にも30人擁立目標でプロジェクト発表させていただいたこともありますので…」

県議会の問題で全国的に注目される中、2027年春の統一地方選挙を前に九州最大の都市で有権者に浸透を図りたい思惑がある。

現職不在で歴史的な大混戦が確実視される中、高島市長は、現時点で特定の候補への支援は明らかにしていない。

「選挙期間を通して、どれだけ成長していくか。勝つ方というのは、選挙戦を通してどんどん成長する姿が見えていく。成長するというのは、多分、たくさんの声を聞くから演説の内容も変わっていくと思う。たくさんの方に会って話も聞き、それをアウトプットすることを繰り返す中で、候補者自身が大きく成長する」と高島市長は自らの体験を踏まえて語る。
高まる再選挙の可能性
公職選挙法では、地方自治体の首長選挙では、有効投票総数の4分の1に達した候補がいない場合、『当選人なし』として再選挙を行うと規定している。前回、2022年の福岡市長選挙の投票率(34.31%)で考えた場合、法定得票数は、計算上11万票超となる。再選挙への立候補は、1回目と同じ人が出ても、2回目に初めて出馬する人がいても制限はない。
再選挙となれば、スタッフや事務所の維持など選挙費用は更に嵩み、候補者はもちろん、陣営全体の気力・体力を消耗する厳しい戦いとなってくる。

『天神ビッグバン』をはじめ、大規模な福岡市の再開発などをリードしてきた高島市長の後を誰に託すのか?政治とカネの問題をはじめ、福祉、教育、外国人政策など、福岡市民の判断があり方も大きく問われることになりそうだ。福岡選挙は、11月1日告示、15日に投開票が行われる予定。

※10月29日時点で出馬会見を開いたのは以下の13人。出馬の意向を表明していた永澤幹太氏は29日、立候補を取りやめると発表した。
・渡辺久也氏
・荒牧明楽氏
・新村優氏
・調崇史氏
・井上潔氏
・阿部秀樹氏
・佐々木彩乃氏
・森健太郎氏
・神野元基氏
・片山純子氏
・吉富景子氏
・稲富修二氏
・西脇寛樹氏
(テレビ西日本)

