2024年11月に鹿児島県伊仙町の住宅で起きた保育士殺害事件の裁判が、10月28日に鹿児島地裁で結審した。殺人などの罪に問われている、事件当時17歳の高校生だった男に対し、検察は懲役22年を求刑した。論告では、検察が裁判長の指摘を受けて求刑の年数を訂正するという異例の事態も起きた。判決は11月9日に言い渡される。
事件の概要と裁判の争点
殺人などの罪に問われているのは、事件当時17歳の高校生で、現在は19歳の男である。起訴状などによると、男は2024年11月20日、包丁を持って伊仙町佐弁の住宅に窓から侵入した。そして、帰宅した住人の保育士・菊池房子さん(55)の胸などを包丁で複数回刺し、殺害したとされている。

初公判で男は起訴内容を認めている。そのため、裁判の争点は、当時17歳の少年だった男に刑罰を科すべきか、更生のための教育を受ける「保護処分」とすべきかという点である。

遺族の母が訴えた悲痛な思い
28日の裁判では、菊池さんの母が意見陳述を行い、悲痛な胸の内を語った。
「たった1人の娘は殺害され毎日泣いてばかりいます。あなたやあなたの母からもいまだに詫びの一言もありません。ただ娘を返してほしい。ただそれだけです。お願いです」
検察は「無差別殺人」と指摘、弁護側は保護処分を求める
その後の論告で、検察は「保護処分で男が更生する可能性は低く、保護処分とする特段の事情もない」と指摘した。そのうえで「犯行は極めて悪質で計画的な無差別殺人」として、懲役22年を求刑した。
一方、弁護側は「犯行には自閉スペクトラム症という男の特性の影響があり、少年院での教育や支援が必要」などと主張し、保護処分を求めた。双方の主張が示され、裁判は結審した。

求刑を訂正する異例の事態
この論告では、異例の事態も起きた。検察は当初、懲役23年を求刑した。しかし、裁判長から「有期刑の上限を超えているのでは」と指摘を受けた。
今回の裁判では、少年法により、殺人の罪の有期刑の上限は20年となる。これに銃刀法違反の2年を足すと、上限は22年ではないかという指摘だった。裁判は一時休廷となり、再開後、検察は求刑を懲役22年に変更した。
鹿児島地検は、この訂正について「有期刑の上限を誤って認識した計算ミス」と説明している。

男は謝罪の言葉、判決は11月9日
最後に、裁判官から言いたいことを問われた男は、次のように述べた。
「自分の身勝手な思いを優先し、理不尽な行いにより大切な人を奪ってしまったことすみませんでした」
男は謝罪の言葉を口にした。刑罰を科すのか、保護処分とするのか。裁判所がどのような判断を示すのか、11月9日の判決が注目される。

