10月は乳がんについて啓発する『ピンクリボン月間』。乳がん患者の社会復帰をサポートする新たな取り組みを取材した。
問題は手術後・退院後のサポート
日本人女性が罹るがんの中で、最も発症率が高い乳がん。日本人女性の8人に1人が罹患するとされ、診断される人は年間約10万人と最近は増加傾向にある。

乳がん患者を多く診てきたクリニックの医師は、このところ診断される年齢も幅広くなっていると感じているという。

『さくらウェルネスクリニック』(福岡・新宮町)の山田舞・医師は「40代が、一番多くて、40代後半にピークがあって、そこから減っていくのが日本人の乳がんの傾向だったのが、35歳くらい以降、死ぬまでみたいな感じの病気になっている」と話す。

患者の増加は、食事の欧米化や運動習慣の減少などが要因だと考えられている。その上で、いま問題となっているのが、病床数の不足などに伴い入院期間が短くなり、退院後のリハビリなどサポート。

山田医師も「入院は、いま期間がどんどん短くなっているので、入院中にちゃんとリハビリができなくて、後々から出てくる痛みや突っ張り感もあるので、継続的なサポートが必要なんです」とより重要になっているという。
退院後の患者を理学療法士がサポート
こうしたなか『さくらウェルネスクリニック』で2026年8月、全国に先駆けて始まったのが『乳がん術後の社会復帰サポートプログラム』だ。

クリニックに併設されたフィットネススタジオ『カナエル メディカル フィットネス』。プログラムを担当するのは、九州がんセンターで患者のリハビリを担当していた理学療法士の田中啓一郎さん。

「退院した後の患者の体を誰が、どこが、サポートするかは課題だと感じていた。体の細かいところの不安が積み重なっていって『この後どうなるんだろう』『生活できるのかな』『本当に仕事に戻れるのかな』という不安に繋がっていると思う」と状況を話す。

患者の血液検査の結果や体力、筋力などの状態について山田医師とこまめに共有しながらどのようなケアを行うか決めていく。
37歳のときに乳がんと診断
費用は、週に1回、8週間のプログラムで4万4000円。この日、田中さんが、指導していたのは9月から施設に通っている西森麻衣子さん(38)。

「術後で腕が上がりにくくなりまして。まだここの痺れ、麻痺が抜けなくて、それを早く改善したいというのと乳がんが再発しないように」と話す西森さん。

西森さんは、2025年夏、37歳のときに会社の健康診断のオプション検査をきっかけに『ステージⅠ』の乳がんと診断された。

「これから先、どうなるんだろうっていう、もういままで全く病気もしたことがなかったので、すごい不安でした。結婚したばかりのときに分かったので、子どももどうなるかっていうときだったので」と西森さんは当時を振り返る。

2025年12月に右胸を部分切除して、がんを取り除き、放射線治療を受けた。その後、社会復帰プログラムを始めてからは、体力や体温が上がったほか心理面でもメリットがあるという。

西森さんは「通常のジムだと、健康が当たり前で、更に良くしていこうというところですが、ここは術後の患者さんの話も聞けて『自分だけじゃないんだ』という安心感にも繋がる」と話す。

再発予防のため最近では筋力トレーニングも始めたという西森さん。医師や理学療法士のサポートを受けながら病気になる前より健康な状態を目指している。

西森麻さんは「引き続き運動は習慣化させて、健康を意識した生活をしていきながら、妊活中でもあるので、幸せな家庭を作っていきたいなと思います」と前を向く。

早期で見つかれば、ほぼ完治が見込めるとされる乳がん。乳がん検診は、40歳から2年に1度の定期的な受診が推奨されている。
(テレビ西日本)

