兵庫県警に逮捕・勾留された後、衰弱死した16歳の少女の母親が兵庫県などを訴えた裁判が始まりました。
警察幹部を取材すると、身柄拘束と死亡の因果関係を否定し、「全面対決する」姿勢が明らかになりました。
■神戸地裁で始まった裁判 母親が意見陳述
「娘が無実だと、私が訴えます。『やっていない』と訴える人の声を正面から聞いてください。その訴えを身体の拘束を続ける理由にしないでください」
法廷でこう訴えたのは、去年12月に16歳で衰弱死したるなさん(仮名)の母親です。
訴えによると、るなさんは去年2月、勤務する兵庫県内の障害者支援施設のイベントで、利用者が別の利用者に噛みつこうとするのを静止。
その4カ月後、「暴行」にあたる疑いがあるとして兵庫県警明石警察署に逮捕されました。
■少女が被疑者ノートに残した“無実の訴え”
るなさんは勾留中に「被疑者ノート」に状況や思いを記していました。
「私は本当にやっていません」
「ママ大好き早くあいたい」
無実を訴える言葉の多くは涙でにじんでいます。
さらにノートには、取り調べで「本当はやったんだろう しょうじきに言え」、「今言ったら楽になるぞ」、「別に施設を潰したいわけじゃないねん お母さんこまらすな」などと捜査員に言われたとも記されていました。
るなさんが無実を訴えるなか、神戸地検の判断で勾留は延長されます。
勾留のなかで、るなさんは摂食障害を発症しました。
18日間にも及んだ身柄拘束の末、るなさんは不起訴に。
釈放後にPTSDと診断され、衰弱していき体重は20キロまで減少。
去年12月、命を失いました。
逮捕と勾留延長に踏み切った兵庫県警と神戸地検ですが、そもそも逮捕につながった“目撃証言”は誤りだったうえ、逮捕に際して、警察はその“目撃者”以外、イベントで周囲にいた人たちから事情を聴いてもいなかったことなどが明らかになります。
■「悪いことしていないから謝ってもらいたい」 遺された母親が提訴
【るなさんの母親】「(釈放されて)娘が出てきた時に、『悪いことしてないから謝ってもらいたい。謝ってもらいたいね』って。ちゃんと事実を認めて、はっきりさせていただきたいと思っています」
母親は「違法な捜査だった」として、国と兵庫県にあわせておよそ1億円の損害賠償を求め提訴しました。
そして、21日にその裁判が始まり、被告である国と県は全面的に争う姿勢を明らかにしました。
■“被告”となった兵庫県警 幹部は取材に「家族の対応が適切だったのか…」
ランナーは被告である兵庫県警の幹部を取材。
捜査ではなく、「家族に非があったのではないか」と主張すると明かしたのです。
【兵庫県警幹部(取材に対して)】「必要な捜査はしているし、証拠も裁判官に示している。(裁判では)向こうの非も必然的に出てくる。それがネットで叩かれないか心配している」
さらに、るなさんの死亡と逮捕・勾留との因果関係を否定します。
【兵庫県警幹部】「警察でも体重を測っているが、原告側が言う数値とは違う。釈放されてから死亡するまでの5カ月間で、家族の対応が本当に適切だったのか明らかにする予定だ」
■母親「ちゃんと事実に向き合ってくれると信じている」 国・県は年内に詳しい主張内容提出へ
警察や検察が強気の姿勢を示す中、るなさんの母親は「誠実に事実を伝えたい」と話します。
【るなさんの母親(閉廷後の会見)】「(るなさんが)潔白だという事実を私が一番わかっていますので、当日のことも鮮明に覚えています。
(国や県が)ちゃんと事実に向き合ってくれると信じています」
国と兵庫県は、年内をめどに詳しい主張の内容を書面で提出する方針です。
(関西テレビ「newsランナー」2026年10月21日放送)
