大阪府八尾市のマンションの一室に、年齢や性別を問わず多くの人が訪れるネイルサロンがある。
施術を担うのは、「Style y(スタイル ワイ)」のオーナーで、業界では珍しい男性のネイリスト・吉田裕真さんだ。
高齢の女性からコワモテの男性、ニューハーフラウンジで働く人まで。
なぜ、これほど多くの人がここを訪れるのだろうか。
独自の接客スタイルと確かな技術で唯一無二の道を切り開いてきた、裕真さんの思いに迫った。
■ 72歳の書道家が10年通い続けるサロン
この日、「Style y」を訪れたのは、72歳の女性。裕真さんのサロンに通って10年になる書道家・松田峰華さんだ。
この日は展覧会に向けたネイルをオーダーした。涼やかなピンクに、ターコイズブルーのストーンがきらりと光るネイルが完成した。
書道家・松田峰華:自分の爪のように見せる先生の技術がすごいでしょ。
松田さんは裕真さんの技術の高さに惚れ込み、10年間通い続けている。
サロンでは、基本価格は1万円からで、デザインによって変動する形をとっている。

■“コワモテ男性”がネイルを始めたきっかけ
続いて訪れたのは、飲食店を経営する鷲尾淳さん(49)。
一見コワモテな風貌ですが、実はネイルを楽しむ常連客の一人だ。
男性でもネイルをする人が多いとYouTubeなどのメディアで知って興味を持ち、実際に足を運べたのは裕真さんの存在があったからだという。
鷲尾淳さん:ネイリストが男性なので行きやすい。全部提案してくれる。迷ってたら『それもネイルの醍醐味です』って言ってくれるし。
吉田裕真さん:迷うのが楽しいから。
鷲尾さんは、ネイルに気を付けることはいいこと尽くしだと話す。
鷲尾淳さん:細かいとこまで気を使ってる人やって思われるんで、結構評判いいです。

■ なぜネイリストに? 中学1年生のときに芽生えた夢
男ばかり4人兄弟の末っ子として生まれた裕真さんがネイルに目覚めたのは、中学1年生のときだった。
たまたまテレビで見たネイリストの番組に衝撃を受けた。
吉田裕真さん:100均で売ってるネイルのチップに、100均の赤いマニキュアを塗るっていう練習をひたすらやっていました。情報を得る手段が限られた時代だったからこそ、憧れが強かった。
専門学校を卒業後にネイリストとして働き始めたが、女性が多い業界ならではの壁にすぐ直面した。

■ 「男性スタッフ以外で」と断られた過去
心斎橋のサロンに勤めていた当時、男性スタッフを断る予約が入ることは珍しくなかった。
吉田裕真さん:“男性”だからとか、そういうのでNG出たことは何度もありました。
葛藤を抱えながらも、2013年、指名客がまだ2人ほどしかいない中で独立を決意した。
“自分らしさ”を武器にするため、親しみやすさを出そうと打ち出したのが“タメ口接客”だった。

■ 「百億点、百億点で」タメ口と“親身さ”が生む唯一無二の空間
この日のお客さんは、ニューハーフラウンジで働く、れいぴさん。裕真さんは相手が年上でも年下でも基本的に“タメ口”を貫く。
れいぴさん:日曜日にワンチャンデートみたいな。
吉田裕真さん:誰と?
れいぴさん:なんか初めましての人。
吉田裕真さん:やばない?聞いてないねんけど!やば!誰?何者?何歳?どこの人?何してるん?
施術はおよそ6時間に及び、完成したのはオーロラのように光るストーンをふんだんに使ったネイルだ。
れいぴさん:ほんまに親身になって話をめっちゃ聞いてくれる。仕事の話もプライベートの話も。
長時間の施術の中で、会話を楽しみに来るお客さんも多いそうだ。

■毎月欠かさずネイルを 母との特別な時間
裕真さんには、毎月欠かさずネイルをする特別な人がいる。母の清美さんだ。
息子がネイリストを目指すと聞いたとき、ネイルがどういうものかを知ろうと、こっそりサロンを訪れたこともあったという。
吉田清美さん:家に一緒におったとしても、こんな距離でずっと座ったりしないやん。
夢を応援し続けた母は、新社会人になった裕真さんへ手紙を書いていた。
「楽な方を選ばず、厳しい方を選んでください」
そのひと言が、今も裕真さんの背中を押し続けている。

■ 「天職だと思っています」ネイルで日常を彩り続ける
吉田裕真さん:ネイルってよく言われるのが唯一目で見れる美容みたいな。まぁ喜んでもらえたときが1番楽しい瞬間。
裕真さんのサロンを訪れる人たちは、いつも笑顔になっている。
吉田裕真さん:お客さんと一緒に考える時間が好き。仕事であり、趣味であり、好きなことなので、天職だと思っています。
年齢も性別も関係なく、多くの人が足を運ぶ八尾のネイルサロン。
裕真さんはこれからもお客さんの爪と日常を彩る。
(関西テレビ「newsランナー」2026年10月7日放送)


