宮城を代表する名産品、「笹かまぼこ」について。実は、去年から宮城県内の製造会社の倒産が続いています。原材料の9割以上を輸入に頼る中、円安や輸送コスト、さらに人件費の高騰が直撃し、苦境を迎えています。
白身魚のすり身を型にはめて焼き上げて作る「笹かまぼこ」。豊かな漁場を持つ宮城県では明治時代に「かまぼこの食文化」が生まれ、今も県内ではおよそ40の企業が「笹かまぼこ」を製造しています。
泉区に工場を構える1935年創業の「阿部蒲鉾店」です。
阿部蒲鉾店 阿部賀寿男社長
「(工場の製造枚数は)1日…7、8万(枚)くらいですかね」
3代目の阿部賀寿男社長。阿部社長は全国400のかまぼこ製造会社が加盟する「日本かまぼこ協会」の会長も務めています。
かまぼこの原料となるのはスケトウダラやヒラメなどの白身魚。
阿部社長によりますと、多くのかまぼこ製造会社は原材料の9割以上を海外からの輸入に頼っていると言います。
阿部蒲鉾店 阿部賀寿男社長
「環境の変化とか、あとは最近だと、地球温暖化で揚がる魚も変わってきていますので、そういった意味で、やはり安定した原料を確保するというところでは、海外に依存するしかないような状況」
しかし、取り巻く状況は厳しさを増しています。
国の統計によりますとアメリカ産の冷凍たらのすり身の1キロあたりの価格は、円安や世界的な魚食ブームによる原料の争奪戦を受けて、去年1月の「376円」から上昇し今年7月時点では「483円」で、3割あがっています。
日本かまぼこ協会は今年6月、「緊急声明」を発表。「企業努力のみで吸収できる範囲を超えている」とし、国などに支援を求めています。
こうした中で、県内では去年から笹かまぼこの製造企業の倒産が相次いでいます。
9月には、亘理町に本社を置く1912年創業の老舗、「馬上かまぼこ店」が事業継続を断念。
さらに塩釜市の「カネコ橋沼商店」も9月25日、自己破産申請の準備に入りました。負債額はおよそ4億5400万円に上ります。
経済の専門家は、同じ仙台名物で原材料をアメリカなど海外に依存している「牛タン」を例に、倒産が相次ぐ要因を次のように説明します。
七十七リサーチ&コンサルティング 田口庸友首席エコノミスト1
「牛タンのような商品は、観光客が高くてもそれを消費するといったことがあって、十分ではないですけどカバーできているが、笹かまぼこについては県内の消費者中心で、価格が上がると買い控えが起こってしまって、十分に価格転嫁できないといった状況があります。大変皮肉なんですけれど、仙台名物と言いながら、海外情勢や為替の影響を大きく受けるようになっていることがあります」
「阿部蒲鉾店」では生き残りをかけ、健康志向が高まる中でタンパク質を手軽に摂取できる新商品の販売などを行っています。
阿部蒲鉾店 阿部賀寿男社長
「伝統の食文化でありますので、やはりそれはしっかり守っていきたいと思ってますので、非常に環境としては厳しいがやはり我々もいかに生き残っていくかということを考えながら、ものづくりであったり、販売の方法とかも色々考えながら取り組んでいます」
