秋田市の上下水道料金を引き上げる条例改正案が28日、市議会で可決されました。委員会が「継続審査」と結論付けたものの本会議で否決され、再度審議された結果、可決に至りました。
これにより、秋田市の上下水道料金は2027年6月の徴収分から値上がりします。
◆一般家庭の負担増はどれくらいか◆
水道料金は約32%、下水道料金は約18%の値上げで、一般家庭の1カ月の上下水道料金は、1人暮らしは534円上がり2728円、2人暮らしは682円上がり3179円、4人家族は1529円上がり7502円となる見通しです。
様々なものの値段が上がる今、なぜライフラインの値上げに踏み切るのか。その背景に迫ります。
◆31年ぶりの大幅改定 値上げの背景◆
秋田市の沼谷純市長は、「値上げ幅自体は市民にとって当然大きなものであることは十分理解しているが、ここまで30年以上にわたって値上げ・改定がなかったということの裏返しになっていることを理解してほしい」と話します。
全国では多くの自治体が、おおむね10年以内をめどに水道料金を見直しています。
一方で、秋田市の水道料金改定は実に31年ぶり。下水道料金は24年ぶりの改定です。
市は、施設の統廃合や事務の効率化で経費削減を図り、長年料金水準を維持してきましたが、社会情勢の急激な変化が上下水道事業に大きな影響を及ぼしました。
秋田市上下水道局総務課・白旗史人課長:
「人口減少の局面の中で料金収入が減少。老朽化施設の更新時期が本格化し、急激な物価高騰により建設費や維持管理費が上昇するなど、上下水道事業を取り巻く環境が非常に厳しくなっている」
◆老朽化進む施設 積立金は2030年ごろ枯渇の見通し◆
市民が支払った料金は、施設を動かすための電気代や水を消毒する薬品代、人件費など上下水道を維持するための費用と、将来の施設更新に備える蓄えの大きく2つに使われます。
ところが、「上下水道の維持費」は2026年度すでに赤字が見込まれています。
また、水道施設は昭和の高度経済成長期に造られたものが多く、更新が必要です。
秋田市の水道水の8割を供給する仁井田浄水場は、稼働開始から60年以上が経過し老朽化が進んでいるほか、耐震性が不足していることから、現在建て替え工事が行われています。
災害に強い施設に変わるのはもちろん、夏場にカビの臭いを引き起こす物質を取り除く設備を導入し、より安全な飲み水を供給できるようになる見込みです。
総事業費は約330億円と、2016年に完成した秋田市役所新庁舎の建設事業費の2倍以上に上ります。
加えて、市内に張り巡らされた水道管も老朽化していますが、更新が思うように進んでいません。
秋田市上下水道局総務課・白旗史人課長:
「約2000キロの水道管を管理している。その1%に当たる20キロを毎年更新する計画で進めているが、ここ数年、工事費の高騰などによってペースがどんどん落ちてきている。こうした状況が続くと日本全国、老朽管による陥没や浸水が見られているが、秋田市でもそういった状況になる可能性がある」
施設の更新は、これまで積み立ててきたもので賄っていますが、このまま取り崩し続けると2030年ごろには資金が枯渇する見通しです。
◆独立採算制の壁 市は負担軽減策を検討◆
大幅な値上げを受け、市民からは「市の税金で補助してほしい」「スタジアムよりも全ての市民が使う上下水道にお金を回してほしい」などの声が上がりましたが、上下水道事業は原則として、税金に頼らず利用者が支払う料金で運営する「独立採算制」がとられています。
市が公共施設の整備や教育・福祉サービスの提供など様々な事業を行うための一般会計とは“別の財布”で管理されていて、自由に予算を振り替えられるわけではありません。
一方で市は、市民の負担を軽減するための支援策を検討しています。
秋田市・沼谷純市長:
「ただ『我慢してください』ということではなくて、どのくらいの激変緩和が今の財政状況の中でできるのか、許されるのか、もう少し時間をもらって検討したい」
市は、対策案を2027年の2月市議会までに示す考えです。
◆将来的には再び値上げの可能性も◆
市は「今回の改定だけで将来にわたり収支が安定するわけではない」としていて、現時点の試算では、2030年度に再び30%程度の値上げが必要と見込んでいます。
私たちは、現在の料金では水道事業の経営が限界だということを理解する必要がありますが、家計が打撃を受けるのは確かです。
物価高が続く中、市民生活をどう維持するか。一人一人が当事者意識を持って考えていく必要がありそうです。
