この時期の夕暮れは”魔の時間帯”とも言われ、交通事故のリスクが非常に高いといわれます。
専門家によると、秋は服装が暗い色になることなどが原因で、白い服の場合、37.6メートル手前で歩行者に気づいたのに、黒い服の場合、さらに10メートル進まないと気づけないという実験結果もあります。
そして秋は日没が早くなり、西日でまぶしい時、方向が変わった直後に油断してスピードが上がり、事故につながってしまうケースもあるそうです。
そして去年、交通事故が全国で最も多い、23件発生した地点である神戸市西区の「西神中央線合流部」は、三宮方面へ向かう二車線道路と一車線道路が合流する地点です。
取材すると、下り坂にカーブが連なり、見通しが悪く夜間や雨天時には状況がさらに悪化することがわかりました。
■ 午後5時から7時が“魔の時間帯” 10月以降は死者数が増加する傾向に
9月30日まで行われている秋の交通安全運動。70年以上続くこの時期の取り組みの背景にあるのが、“魔の時間帯”の事故です。
夕暮れの午後5時頃から午後7時頃は、特に事故が起きやすいことから“魔の時間帯”と呼ばれています。
警察庁の過去5年間のデータでも、この時間帯の死亡事故件数は他の時間帯と比べて突出して多いことが示されています。さらに、10月以降は特に死者が増える傾向にあります。
夕暮れは1年中あるのに、なぜこれからの時期が特に危険なのでしょうか。これまで3万本以上のドライブレコーダーの映像を分析し、交通事故の原因を究明してきたディ・クリエイトの上西一美代表はこう指摘します。
【ディ・クリエイト 上西一美代表】「歩行者(が多い時間)と、車が走行している時間帯が重なる。夕暮れ時になって視認性が悪くなるということが大きな原因」
秋に事故が増えるのは、学校や勤務先から帰宅する人が多くなる時間と、太陽が沈んで暗くなる時間帯が重なるからだというのです。
■ 春と日没時刻が似ているのになぜ秋の方が危ない? 答えは“服の色”
春と秋は日の入りの時刻がほぼ同じであるにもかかわらず、事故件数は秋の方が圧倒的に多いといいます。
上西代表はその理由として、歩行者が着用する衣服の色の変化を挙げました。
【ディ・クリエイト 上西一美代表】「圧倒的に秋の方が事故が多いのは、多分着用してる衣服だと思います。(秋は)暗めの服が多いので」
夜間に歩行者の服の色による運転手の見え方の違いを調べた実験では、白など明るい色の服装では37.6メートル離れた場所で気づくことができました。
一方、黒など暗い色の服装では、10メートル短い27.6メートルまで近づかないと気づくことができませんでした。
この差が、事故の有無を左右することがあります。
実際のドライブレコーダーの映像には、青信号の交差点を通過した直後、道路を横断してきた歩行者に衝突する瞬間が記録されています。その男性も、黒い服装でした。
■ “渡れる”という甘い判断が命取りに
事故が起きた場所は片側2車線の直線道路でした。上西代表は、こうした道路が特に事故を招きやすいと説明します。
【ディ・クリエイト 上西一美代表】「3車線あると多分、人は絶対渡らない、怖くて。でも2車線ぐらいだったら『渡れる』と思ってしまうから、幹線道路で横断歩道じゃない所を横断してひかれてしまう事故が多い」
歩行者側の“甘い判断”が事故を引き起こす構図は、暗くなり始めた夕暮れ時に特に顕著になります。
■ 9月から速度制限が変わった生活道路 子どもの飛び出しに要注意
9月から制限速度が時速30キロに引き下げられた生活道路にも、“魔の時間帯”の危険は忍び寄ります。
ドライブレコーダーに記録されたある映像では、対向車をかわした瞬間、車の陰から飛び出してきた子どもと接触する事故が捉えられています。
狭く見通しの悪い箇所が多い生活道路は、この時期は、より危険な場所となります。
【ディ・クリエイト 上西一美代表】「運転者側は一時停止標識の有無にかかわらず、時速10キロぐらいまで落としておくことを絶対やらないといけません。
歩行者側は飛び出さないことに尽きますが、子どもにそれを教育するのはすごく難しい。だから大人がやっぱり守ってあげないといけない」
さらに、日没前ならではの注意点として“西日”の影響も見逃せません。
上西代表によると、西日でまぶしい道路や幅の狭い生活道路など、注意を必要とする場所から解放された瞬間に、ドライバーは無意識にアクセルを踏んで速度を上げやすくなるといいます。その“油断の一瞬”が事故を招くというのです。
■ 雨の夜に歩行者が“消える” 対向車のライトが引き起こす「蒸発現象」
9月に入って各地で続く長雨も、事故のリスクをさらに高めています。その原因が「蒸発現象」です。
対向車のライトの明るさによって、前方の歩行者や自転車が見えなくなるこの現象。
夜間にハイビームの対向車とすれ違った直後、交差点に進入した車の前方を、人がゆっくりと横断していたという実例もあります。あわや大事故という状況でした。
記者が自動車学校の協力のもとこの蒸発現象を体験すると、対向車とすれ違った直後に左折したところ、歩行者に見立てた人物が全く見えなくなりました。
【記者】「曲がった時点で全然見えないですね。本当に人がいないぐらい」
対向車とすれ違う直前まで接近して、ようやく人の存在に気づいたといいます。
路面が濡れていると光が乱反射し、蒸発現象はより起きやすくなります。ライトをロービームに切り替えたり、なるべく早く減速したりすることでリスクを減らすことができます。
【大阪都島自動車学校副管理者 藤浦隆久さん】「歩行者の方も必ず車が止まってくれない、(運転手が)自分を見つけていないという意識を持って、横断することが大事かなと思います」
“過信しないこと”が事故防止への第一歩です。
なお、上西代表によると、西日や対向車の反射光をカットする「偏光サングラス」の活用もおすすめとのことです。
(関西テレビ「newsランナー」2026年9月28日放送)
