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炎の中で“生き残った酒” 仲間とつないだ絆の味がファンの元へ 「再び、この地から」笹正宗の覚悟

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火災で蔵も母屋も失われた笹正宗酒造。絶望の中で、貯蔵庫のタンクに“生き残っていた酒”が見つかった。仲間と救い出し、覚悟を込めて瓶詰めした“奇跡の酒”が販売され、ファンの元へ届けられた。

■待ちに待った一杯
福島県福島市の居酒屋。客たちは一日働いた後の、自分のための時間を楽しんでいた。思わず笑顔になる格別な一杯は、頑張った自分へのご褒美だ。
この日、常連客をうならせていた日本酒は、福島県喜多方市の笹正宗。あの日の火事を耐え抜いた「奇跡の酒」だ。
「すぐ再建してほしいっていうくらいおいしいお酒です」
そう語る客の声には、蔵への思いと再建への願いがにじんでいた。

■絶望…そして希望
2026年6月、福島県喜多方市の笹正宗酒造を襲った火事。酒蔵から隣接する母屋までがほぼ全焼し、約2万5000本分の酒も焼失した。
笹正宗酒造の社長・岩田悠二郎さんは「全国新酒鑑評会で福島の酒が盛り上がっているところに水をさしてしまって申し訳ない気持ちでいっぱい」と語っていた。

火事は、社長の悠二郎さんと専務の岩田高太郎さんが東京出張中の出来事だった。
その絶望的な状況の中で見えていた希望の光が、火の手を免れた貯蔵庫に残っていた酒のタンクだった。火事の3日後、会津の酒蔵や酒屋の仲間が集まり、救い出された酒。その間、台風の影響で気温が低かったこともあり、奇跡的に品質も保たれていた。

■奇跡の酒
8月7日、カメラの前に悠二郎さんの姿があった。
「私たち自身、何から手をつけて良いのかわからない状況の中、皆様からいただきました温かいお言葉やご支援が私たちにとって大きな支えとなりました」

そこにあったのは、瓶詰めを終えた奇跡の酒。販売する前に感謝の気持ちを伝えたいと、以前から会見を開くことを決めていた。
「かつての蔵で仕込んだ最後のお酒となります。『1818ー2026ー』のハイフンにもあるように、今後も同じ場所で酒造りを行い、我々の覚悟が表れているものと思っております」

■迎えた販売の日
会見から3日後。ついに迎えた「奇跡の酒」発売の日。
専務の高太郎さんは「本当に最後。いま持ってきたお酒が最後の酒なので、もちろん販売できてうれしい気持ちも前向きな感情もあるけど、少し切ないというか…」と語った。

さっそく多くの人が笹正宗を手に取り、「次の蔵でもおいしい酒を造ってくれるだろうから、それを応援していきたい」と話す人もいた。
福島県内限定で販売された奇跡の酒は、各地で飛ぶような売れ行きだったという。
購入した人は「日本酒を飲み始めた頃によく飲んでいたお酒だった。飲んで応援したいという気持ちがあって、それが叶って良かった」と話した。

■笹正宗復活へ
福島市の居酒屋では、笹正宗を楽しむ家族の姿があった。
会津の馬刺しや会津地鶏は、地元同士の“魅惑の組み合わせ”。
「寿命が10年くらいのびそうな奇跡の酒」「飲めた奇跡もあるので、すごく良かった」と会話も弾む。
「絆も感じるようなストーリーを知ると、また違った味わいがありますよね」と話した。

仲間がいないと残すことができなかった、蔵の「最後の味」。それは、支えてくれた人たちの思いが詰まった“絆の味”だ。
社長の悠二郎さんは「今回の火災を乗り越え、再びこの地から皆様にお酒をお届けする。これまで受け継いできた酒造りや歴史を大切にしながら、これから先の50年、100年に繋がる酒蔵をつくっていきたい」と覚悟を口にした。

2026年の火事を乗り越え、その先へ―。新しい笹正宗を、全国のファンが待っている。

福島テレビ
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