長野県南木曽町出身の若者たちが営む駅前カフェです。一度は町を離れて生活していましたが、「故郷を盛り上げたい」とUターン。海外からの観光客も訪れる人気のカフェになっています。
■「故郷がなくならないように」
南木曽町にある「IZUMIYA CAFE(イズミヤ カフェ)」。営業開始の朝8時半から店内はにぎわっていました。
カフェを運営する松原宏汰さん(25)。
松原さんは中学まで町で過ごし、高校からは、松本で生活していましたが―。
IZUMIYA CAFE ・松原宏汰さん:
「南木曽にいつか戻って来ようと思っていて、故郷だからみたいな概念がずっとあって」
町に戻ったのは2024年。カフェを運営していた叔母から誘われて手伝うようになり、2026年7月、店を引継ぎました。
人口約3500人。年々減少している町で、カフェを引き継いだ理由は―。
IZUMIYA CAFE・松原宏汰さん:
「(南木曽町が)なくならないようにあらがいたいなって。あらがうなら今やらないといけないと思うので」
■同級生や後輩も Uターンして集結
店には、ほかにも「町出身者」がいます。
8月からアルバイトとして働く黒木みのりさん(24)は同級生。
1年ほど前、子育てのため町に戻り店ではスイーツの開発を担当しています。
松原さんと同級生・黒木みのりさん:
「ずっと昔から一緒で、地域の人も優しいので、みんなに支えられながら働けて本当にいいことしかない」
■決め手は地元への思いと仲間の存在
小椋悠起さんと山川飛優さんは1つ年下の後輩で、ともに「Uターン」。
小椋さんは松原さんのいとこで、実家の「南木曽ろくろ細工」を継ごうと、修業と両立して働いています。
愛知からUターン・小椋悠起さん:
「(大学時代にいた)愛知県で就職するより、地元にもチャンスがあると感じて帰ってきた」
山川さんは一度東京で就職したものの、地元への思いと仲間の存在が、町に戻るきっかけになりました。
小椋さんの同級生・山川飛優さん:
「小椋と仲が良くて一緒に働いたら楽しいだろうなっていうもあり、(Uターンした理由は)それが結構大きい」
IZUMIYA CAFE ・松原宏汰さん:
「南木曽を盛り上げるために何かしたい人が集まって、その中心にいるのがすごく楽しくて、戻ってきてよかった」
■Uターンの背景に12年前の土石流
松原さんが町に戻った理由はもう一つあります。
12年前の2014年7月9日、町の中心部を流れる梨子沢で土石流が発生。下流の住宅43棟を巻き込み、当時・中学1年生だった榑沼海斗さんが犠牲になりました。
IZUMIYA CAFE ・松原宏汰さん:
「忘れらない日です、あの日は。心の中に常にどこかに『くれ』って呼んでいたんですけど、(彼が)いて」
松原さんは、榑沼さんと同級生でした。同じサッカー部にも所属し、前日の夜は校外学習で同じ部屋で寝ていたといいます。
■亡き友がつなぐ同級生の絆
IZUMIYA CAFE ・松原宏汰さん:
「(同級生は)ほかのところで出会った人とは違うきずなの強さを感じていて、命日に集まって話すと毎年彼のおかげで起点になり1年頑張ろうと。彼の分まで頑張ろうと思いながら、それが今までつながって、南木曽に戻ってきているのかな」
同級生の黒木さんも―。
黒木みのりさん:
「ずっと忘れられない出来事ではあるので。つらい出来事ではあったが、(毎年)1年ぶりに献花台で会って、今年みんなでこのカフェに来て話して。集まるきっかけに、何年たってもなっている」
店は同級生たちの集まる場所に―。
この日も同級生が。
愛知からUターン・同級生:
「イチジクケーキある?」
IZUMIYA CAFE ・松原宏汰さん:
「きょう出せます」
愛知からUターン・同級生:
「毎週来て、抹茶ラテを飲んでいる。南木曽も若い人が減っているので、若い層を盛り上げたい。その一つとしてこのカフェが、いいきっかけになっている」
■外国人観光客にも人気の駅前カフェ
店には、外国人観光客の姿も―。
アメリカからの観光客:
「バスを降りた時にカフェが見えて来た。食べ物、そして人々がいい」
南木曽町の観光スポットといえば、宿場町の「妻籠宿」。世界的なガイドブックにも掲載され、外国人観光客の間で人気が高まっているといいます。
その玄関口がJR南木曽駅で、カフェは駅の目の前にあるため、観光客が立ち寄ります。
オーストラリアからの観光客:
「とってもおいしい。(南木曽は)山や川があって、とても美しい。(駅に近くて)便利、長い旅の終わりに来ると、食べ物や飲み物があってうれしかった」
■インバウンド客を意識したメニュー
そこで、メニューもインバウンド客を意識。こちらは、チャバタパンを使ったサンドイッチです。イタリア発祥のパンで、具材もボリュームたっぷりです。
(記者リポート)
「サーモンとクリームチーズがとてもよく合います。外はパリッと、中はモチっとしているパンともよく合っていて、おいしいです」
IZUMIYA CAFE ・松原宏汰さん:
「妻籠とか馬籠で和食を食べてくる人が多い。たまには洋食を食べたいと思うらしくて旅の疲れをここで癒やしてもらえたら」
■「南木曽を盛り上げたい」
店には、地元の人の姿も。「集いの場所」になっているようです。
地元客:
「居心地が良くて、彼らもいい子たちなので、好きで最近よく来ている。ここにつくってくれてありがたい」
IZUMIYA CAFE ・松原宏汰さん:
「地元の人と、インバウンドの人が交流するところが少なくて、その場所がここになりつつあるので、交流できる場所になって盛り上げられるのでは」
町出身の仲間が力をあわせ、ふるさとを盛り上げる―。カフェの今後が楽しみです。
IZUMIYA CAFE・松原宏汰さん:
「南木曽を盛り上げる、若者が盛り上げるきっかけになるような活動をどんどん増やしたい。楽しいことをやっていたらみんなやりたいって戻ってきてくれるのではないかなと思い、少しずつできる限り頑張りたい」
【IZUMIYA CAFE】
営業:午前8時半から午後5時半まで、水曜と木曜は夜の営業も)
