先週、長期金利の指標となる10年物国債の利回りが一時3%の大台を突破しました。これはおよそ30年ぶりとなる高い水準です。
影響は金融市場だけにとどまらず、住宅ローンや日々の家計にも大きな影響が及ぶおそれがあるのです。
専門家は金利上昇のリスクを挙げ、備えの重要性に警鐘を鳴らします。
現場では不安の声も上がる中、ローンの見直しや相談窓口の活用といった解決の糸口も見えてきました。
■30年ぶりの高水準、金利上昇が止まらない
かつてバブル景気のさなか、銀行にお金を預けているだけで資産が増えていく“超高金利時代”がありました。その後バブルが崩壊し、景気の悪化とともに金利は低下。長らく続いた“超低金利時代”が、今まさに終わりを迎えようとしています。
しかし、金利が上がれば資産が増えるとは単純にはいきません。住宅ローンの金利も同時に上昇しており、私たちの生活に重くのしかかってくるのです。
関西みらい銀行 個人部の大道紀男さんは「ここ10年、15年に関しては、金利は変動金利と言いながらもう固定化してたというのは事実」と認めつつも、「ここ数年で金利上昇局面という形になった」と現状を説明します。
■金利上昇で住宅ローン「年間でおよそ18万円の負担増」
すでに住宅ローンを抱え返済中の人は、金利上昇の影響による悩みを語ります。
61歳の田中さん(仮名)は15年前に4200万円の一戸建てを購入しました。当初、変動金利で月々およそ9万4000円だったローンの返済額は、ここ数年で月額1万円以上上昇。ボーナス払いも含めると、年間でおよそ18万円の負担増となりました。
「なんとか払ってきたんだけど、(ひと月の返済額が)10万円になった時点で、どうしよう厳しいねって」と田中さんの妻は厳しい返済状況を話します。
さらに物価高や定年後の再就職の難しさも重なり、ローン返済は一層厳しい状況に。
「アルバイトをしよう思ったんですけど、そのアルバイトもやっぱり60歳になっちゃうと限られてしまう」と田中さんは話し、将来への焦りを口にしました
■相談が生んだ新たな選択肢 返済期間を延ばす“リスケジュール”
自宅を売り、借家として今の家に住み続ける「リースバック」も考えたという田中さんは、今年1月、住宅トラブルの支援をする団体に相談。
その結果、1年間はローンを利息払いのみとし、返済期間を延ばす“リスケジュール”を選択。年金の繰り上げ受給も決めました。
家を売らずに自宅に住み続けながら、状況を立て直す道を見つけたのです。
近畿任意売却支援協会の佐野雅史代表は「定年退職という1つのきっかけでやはり計画が狂う方というのはたくさんいらっしゃいますので、かなり多いケースの相談内容」と指摘します。
佐野代表は「相談するところが大切なのかなと思いますね。複数社に相談することによって、やはり自分の選択がどれが一番合うのかなというのはわかると思うので」とも述べ、早期に複数のところに相談する重要性を語りました。
■住宅購入者に広がる不安
これから「住宅ローンを組む」マイホームを夢見る人たちにももちろん、金利上昇の影響は直撃しています。
ある不動産販売会社には多くの来場者が訪れていましたが、聞こえてくるのは「不安はあります」「心配は多少ありますけどその分働けば…」という住宅ローンへの懸念の声です。
購入を決め、打ち合わせをしていた20代の夫婦は、住宅価格そのものも高騰する中、ローンをいかに抑えるかで頭を悩ませたといいます。
【住宅購入者】「『ほんまに家建てて、買っちゃってええんかな』っていう不安はもちろん、物価高とかもあるので、正直なところ不安はありますね。どの銀行が一番自分に合っているのかという難しさはありました」
■「固定金利と変動金利どちらがいいのか?」
住宅ローンを検討するうえで誰もが悩むのが、固定金利と変動金利のどちらを選ぶかという問題です。
住宅ローン比較サービスを運営するモゲチェックの塩澤崇取締役によると、金利上昇が報じられるたびに問い合わせが急増するといいます。
「先週末は、普段の問い合わせの2倍から2.5倍ぐらい増えました」と話し、「固定金利と変動金利どちらがいいのか?」という質問を多く受けているといいます。
【モゲチェック 塩澤崇取締役】「固定金利がおよそ3.2〜3.3%であるのに対し、変動金利は1%ちょっとであり、2.2%ほどの差がある。変動金利の方が計算上は有利といえるのかなとは思います」
ただし、変動金利には将来の上昇リスクが伴います。
【モゲチェック 塩澤崇取締役】「未来というのはなかなか予測が難しいところがあります。我々一般消費者としては、予期せぬものがあったとしてもその備えというところは頭の片隅に置いて、しっかりと実践するというのが大事」
住宅ローンだけでなく、預金や企業活動など、私たちの暮らしのあらゆる場面に影響を及ぼす金利の動向。”超低金利時代”が終わりを迎えようとしている今、かつての常識が通じない局面が訪れています。
(関西テレビ「newsランナー」 2026年9月7日放送)
