皆さんの自宅に必ずある“分電盤”。
ブレーカーなどが入る分電盤を巡り、交換する必要がないにもかかわらず工事を行い、高額な費用を請求する詐欺が相次いでいます。
2日送検された松戸陸容疑者ら3人は、「ブレーカーを交換する必要がある」などとうそをつき、金をだまし取ろうとした疑いが持たれています。
狙われたのは、先日の豪雨で冠水被害に見舞われた千葉県に住む男性です。
先ほど男性が「イット!」の取材に応じました。
「憤りしかない。日にちがたてばたつほど、カッカカッカしてますよ」と話すのは、事件に巻き込まれた男性。
被害に遭った男性:
人の弱みにつけこんで金取るなんて、普通の人じゃ考えられない。
その手口に使われたのは、どこの家にもある分電盤でした。
2日、「イット!」が向かったのは千葉・茂原市。
8月の記録的な豪雨で駅周辺の道路が冠水するなどの被害を受けました。
床上・床下浸水は217棟に上り、市内では今も豪雨の爪痕が残る中、事件はこうした被害に便乗する形で起きました。
カメラをにらみつける男。
詐欺未遂の疑いで逮捕・送検された松戸陸容疑者(23)です。
松戸容疑者は同じく逮捕された塩塚恒太朗容疑者(22)と滝口漂容疑者(22)とともに、千葉・茂原市に住む男性からうその工事費320万円をだまし取ろうとした疑いが持たれています。
松戸容疑者は8月30日、自宅が浸水した被害男性の自宅を訪れ、「茂原市役所から依頼されて、床下浸水の被害に遭った家を回っています」と話したといいます。
「今は都合が悪い」と答えると、その翌日、松戸容疑者は他の2人を連れて再び男性宅を訪問。
被害に遭った男性:
スマートフォンで電気つけて(床下)見た。(台所下の)線が漏電の可能性があるって。「火災の可能性があります」って。
その後、男らは男性に対し「ブレーカーに異常があるので交換が必要。床板がブヨブヨになっているので床の工事をしたほうがいい」などと切り出したといいます。
被害に遭った男性:
名刺もよこさない、名前も言わない、業者名も言わない。こりゃ変だなと思った。もうその時点でおかしいと思った。
すると、男らは「320万円を現金でお願いできますか?」などと高額な工事費を要求。
男性は「午後になればお金を下ろしに行ける」と説明し3人を帰すと、市役所へ連絡。
うそだったことがわかり、警察に通報しました。
午後、再び男性宅を訪れた松戸容疑者と塩塚容疑者を、張り込んでいた捜査官が現行犯逮捕しました。
被害に遭った男性:
「お金ね」っていうのが(警察との)キーワード。「お金ね」って言ったの、俺が犯人に。俺と入れ替わりに警察が2人来ておさえていった。
運転役だった滝口容疑者は車で逃走したものの、その後、逮捕されました。
被害に遭った男性:
憤りしかない。日にちがたてばたつほどカッカカッカしてますよ。
広い範囲で浸水被害が発生し、今も復旧作業が続く中、被害に便乗した手口に、街からは怒りの声が上がっています。
浸水被害に遭った牛乳販売店店長:
卑劣としか言いようがないですけど。人の弱みにつけ込んでって形なので。ダメですね。
浸水被害に遭った住人:
本当に困っている人にそういうことをするのは、人間として考えられませんよね。
逮捕された3人は警察の調べに対し、いずれも黙秘を続けているといいます。
豪雨被害に便乗した今回の事件ですが、詐欺の危険は私たちの身近にも潜んでいます。
国民生活センターによりますと、分電盤の点検を巡るトラブルの相談件数は、2020年度から2023年度までは十数件から30件ほどを推移していましたが、2024年度からは1290件と、約33倍に急増。
2025年度は6500件を超え、2026年度も8月末までに3000件近くに上っていて、2025年度を上回るペースとなっています。
分電盤詐欺事件は東京都内でも起きていて、8月、男ら5人が逮捕されました。
5人は江戸川区の女性など6人に対し、必要のない分電盤の交換工事を行い、合わせて300万円以上をだまし取った疑いが持たれています。
さらに、茨城・笠間市の女性に「分電盤の配線が焦げている。原因は2年前の雷と大雨です」などと過去の災害を絡めたうそをつき、工事代金をだまし取ろうとした疑いが持たれています。
今回、千葉・茂原市で起きた詐欺未遂事件でも、災害に便乗し金銭をだまし取ろうとしていたとみられています。
現時点で2つの事件の関連は分かっていませんが、どの家にもある分電盤に対し、「ブレーカーに異常がある」「配線が焦げている」など、被害者の不安をあおる共通点があります。
そうしたうそを見破る方法はあるのでしょうか。
全国の一般送配電事業者10社で構成される送配電網協議会の新留裕也副部長は、「電気事業法に基づいて、各ご家庭の分電盤は4年に1回、点検を行っています。災害時であっても、点検のために急に訪問することはございません」と話します。
送配電網協議会の新留さんによりますと、点検の日時は必ず事前に書面で案内し、原則として電話や直接訪問することはないといいます。
また、点検の際に作業員は必ず身分証を携帯しているため、不安な場合は会社名と名前を確認するのがいいということです。
そして、費用は発生せず点検は無料。
費用を求められたら詐欺の可能性が高いということです。
同じく豪雨の被害に遭った千葉・大網白里市の電気工事業者は、床上浸水の家庭でコンセントを取り換えることはあっても、分電盤の交換を行うことはないと話していました。
茂原市役所は「イット!」の取材に対し、災害時には市役所をかたって詐欺が行われる場合があるので、十分注意をお願いしますとしています。
もし不審に感じた場合はその場でお金を渡さず、地元の自治体や消費者ホットライン188などに確認してください。
