9月1日は「防災の日」です。7月に熊本県で震度7を観測し、その後、首都圏でも強い地震がありました。命をつなぐ水の確保、私たちにできる備えを改めて考えます。
今から103年前、1923年9月1日に発生し、10万5000人あまりが犠牲となった「関東大震災」。
教訓を生かそうと定められたのが「防災の日」です。その前後1週間が「防災週間」とされています。
7月28日に熊本で発生した震度7の地震。
厳しい暑さの中、深刻化したのが「断水」による影響です。
熊本県内の各地で水道管が破損し、最大で約10万8000戸が断水しました。(※上水道:8月28日までに解消)
そして…地震の被害を受けたのは水道管だけではありません。
青木稜悟 記者:
こちらでは井戸の洗浄作業が行われています。中に詰まっている砂を排出しているということです
濁った水に混ざりこむ泥。
手に取って泥の状態を確認します。
熊本県八代市では、飲み水や生活用水として井戸水を使っている4400世帯余りで断水が続いています。
市は井戸の洗浄などを急いでいますが、復旧のめどは立っていません。
南海トラフ巨大地震が想定されている静岡県。
内閣府の想定では、静岡県は上水道の断水は被災直後に97%、1週間後で70%、1カ月後で24%とされ、深刻な事態となるおそれがあります。
専門家は…
静岡大学防災総合センター・岩田孝仁 客員教授:
(Q.被害想定より厳しくなる可能性は?)被害想定はごく平均的な普及率を求めて想定している。当然誤差はある。それ以上に(日数が)かかる場合も当然ある。災害時に使える井戸を少しでも確保するのは静岡県内で昔からやってきた対策
公園に設置された手押しポンプや警察署への井戸水タンクの設置など、これまでに県内ではさまざまな対策が取られてきました。
静岡市は民間の力の活用を目指しています。
「災害時協力井戸」の制度を3年前に導入し、これまでに500基あまりが設置されています。
市民にさらに協力を呼び掛けていて、ポンプの購入費などについて5万円を上限に助成しています。
しかし、懸念されるのが今回熊本で明らかになった“耐震性”です。
静岡市の難波市長は八代市の被害を受けて、井戸の弱点を調べる考えを示しました。
静岡市・難波喬司 市長:
地震によって井戸がやられるということを目の当たりにした。災害時協力井戸は大事だが、静岡市の井戸の脆弱性評価をしっかりやる“弱点評価”をやるのは必要
高本圭市 記者:
静岡市内にあるこちらの寺にはこのように井戸が設置されていて、地域住民を支える水になっています。
静岡市葵区にある寺、教覚寺。
2009年に防災対策の一環として井戸を掘りました。
教覚寺・南荘摂 住職:
(父が)境内を整備するときに、1つ防災も頭の中にあったようで、震災・災害が起こった時に水は当然必要になるということで井戸を掘ったいきさつだと聞いている
2025年、非常時に生活用水として使えるよう、「災害時協力井戸」に申請。
静岡市の助成金制度が後押ししました。
飲み水としては使えませんが、生活用水として毎日、境内の水やりに井戸水を使っています。
いざという時、地域住民の支えになりたいと考えていますが、気がかりなのが耐震性です。
寺では設備の更新を終えているものの、揺れが来て初めて分かる「井戸の弱さ」に不安が残ります。
教覚寺・南荘摂 住職:
確かに起こってみないと分からない部分はある。井戸は修復したばかりで、ある程度の揺れには耐えられるのではないか
専門家はさらなる“バックアップ機能の拡充”が必要と話します。
静岡大学防災総合センター・岩田孝仁 客員教授:
なるべくたくさん、いろいろな環境にある井戸を確保することで、少しでも脆弱性を担保する形になる。1本だけに頼るのではなく、活用されている井戸をいろいろな方面で協力してもらうことが良い
一方で、何より重要なのが個人の備蓄です。
静岡市清水区のホームセンターでは災害時に欠かせない保存食などを販売していますが、最近、店では大きな変化がありました。
エスポット清水天王店・岩本夢叶さん:
熊本地震の発生後すぐにお問い合わせがあり、今エスポット(清水天王店)では完売
こちらの店舗では長期保存水が8月中旬に完売。
熊本地震や千葉の豪雨をきっかけに、まとめ買いをする客が増えたといいます。
このため、2年間保存できるミネラルウォーターを多く入荷し、災害時への備えとして販売を強化しています。
季節を問わず必要になる水。
災害は大きければ大きいほど、すぐに救助の手は入りません。
十分な物資は届かないおそれがあります。
静岡大学防災総合センター・岩田孝仁 客員教授:
災害は一旦ことが起きてしまうと、そう簡単に支援は入ってこない。水・食料やトイレ備蓄用の資材がある。1週間は自分たちで生活できるぐらいの準備をしてほしい
いつ、どのような規模で襲ってくるか分からない地震。
“自分事”としてとらえなおし、備えを進めることが求められます。
