ネパールと中国の国境付近で発生した大規模な土石流では死者が492人に上り、いまだ日本人観光客5人を含む1500人以上の安否が分かっていません。
FNNは、特に被害の大きかったネパールの現状を取材するため、土石流のきっかけとされる氷河の崩落現場から55kmほど離れた町に向かいました。
捜索活動が難航する中、現地では二次災害への懸念も高まっています。
大規模な土石流が発生してから2日。
現地では懸命な救助活動が続けられる中、FNNは28日、日本メディアとして初めて被害を受けたネパール・ヌワコット郡の町を取材しました。
杉村祐太朗記者:
この先、土砂によって道が寸断されています。ショベルカーを使って土砂を撤去する作業が行われています。周辺では多くの人が状況を見守っています。上流に住んでいて、住めなくなってこちらに避難してきた人も多いようです。
復旧作業が進む先にある建物は屋根まで泥まみれの状態になっていました。
甚大な被害をもたらした今回の土石流。
その威力がよく分かる、国境付近のラスワ郡で26日に撮影された新たな映像には、危険を知らせる笛が鳴り響く中、濁流が押し寄せ、建設途中の水力発電用のダムに流れ込み、さらに勢いを増して辺りをのみ込む様子が捉えられていました。
登山の名所や巡礼地などが点在するネパール。
下流の町で見られたのは、帰路を断たれた観光客らの姿です。
観光客:
水が一気に吹き込んで、汚れた泥が4階建ての高さまで上がってきました。私たちは命からがら逃げました。
大量の土砂などによって至る所で道路が寸断し、捜索活動は難航しています。
ドローンが上空から撮影したのは一面泥に覆われた街。
川沿いにあった建物は壁が流され部屋の中が見える状態となっていました。
また、重機を使って泥をどかしながら安否不明者を捜す作業や、救助犬を使った捜索活動の様子も確認できました。
28日の取材中にも、ネパール軍の兵士が被災地域に向かう様子がみられました。
土石流が起きた川が見える高台の街に到着し、当時の様子について住民に話を聞くと「前はきれいな川だったが、洪水で濁ってしまった。今回の洪水であの山が削られたわ」と話しました。
被害の大きかった場所に向かうと、土砂で寸断された道路の復旧作業が行われていました。
様子を見守る人の中には友人の家が流されたという人もいて、「子供を迎えに外に出ていたので、友人家族は助かりました」と話しました。
現地当局などによりますと、これまでにネパールと中国で合わせて492人が死亡し、1500人以上の安否が分からなくなっています。
27日、ネパールの首都カトマンズの病院には、家族や友人の安否を確認しようと多くの人が訪れていて、「洪水の直前まで夫と電話していたんですが、その後連絡が取れなくなりました。なんとか見つけたいんです」「買い物に行っていたおいと連絡が取れない。すごく心配です」など、安否を心配する声が聞かれました。
ネパール当局はSNSなどを通じて頻繁に情報発信し、安否不明者や救助された人の氏名などを公開しており、安否確認のための情報提供を求めています。
27日に公表された安否不明者の名簿には、日本人5人も含まれていました。
名簿に記載されていたのはローマ字で、ヤマモト・トシタカさん、ヤマモト・リュウトさん、ヤマモト・カヨコさん、ヤマモト・カナコさん、ヤマモト・ハヤトさんの5人の名前です。
旅行会社によりますと、5人は子供3人を含む一家で、19日に大阪から中国に入り、車でネパールに入国したあと連絡が取れなくなっています。
そのネパールでは二次災害の懸念も高まっています。
今回の土石流をもたらしたきっかけとされるのが、ヒマラヤの山岳地帯で発生した氷河の崩壊です。
東京大学大学院・渡邉英徳教授による衛星画像の分析から、新たなリスクが浮かび上がってきました。
標高6000メートルから7000メートルの峰が連なる辺りを見ると、以前は山に白い氷河が覆っているのが分かります。
しかし、発災後には茶色い岩肌が見え、氷河が崩落したのが分かります。
崩落はどれほどの規模だったのでしょうか。
東京大学大学院・渡邉英徳教授:
幅1km、長さ2km、高さ1.2kmの範囲が一気に崩れ落ちていることが分かる。大変な量が崩れ落ちたってことが言える。
崩落した大量の氷河は水や岩石などを巻き込みながら下流に押し寄せ、中国側の国境検問所の方向へ。
建物を上回る高さの土石流が一気に建物をのみ込み、建物や橋は全て姿を消し、一面土砂で覆われています。
渡邉教授は、場所によっては高さ100メートルの辺りまで濁流や水しぶきが上がったと分析します。
依然、多数の安否不明者がいるネパール。
現地で今、二次災害への緊張感が高まっています。
27日に撮影された国境付近の映像では、今回の氷河崩落によって新たにできた“自然のダム”が確認でき、中国当局は今後、雨が降って水があふれれば決壊するリスクが高まると発表しています。
渡邉教授は、この“自然のダム”は氷河が崩落したエリアのすぐ近くにあると分析します。
東京大学大学院・渡邉英徳教授:
今後、だんだんまた雨が降っているので、上流から水が流れて湖が大きくなっていく。今ふさいでいるものを乗り越えて水が決壊してくると、また(同じ)下流域に大変な災害が起きる可能性があります。
今後、さらに事態が悪化すれば捜索活動にさらなる支障が出る恐れもあり、警戒が高まっています。
