東京電力は福島第一原子力発電所3号機で、事故前に核燃料を覆っていた原子炉本体“圧力容器”の底に「直径約3mの穴が開いていることが分かった」と明らかにした。2011年の事故で炉心溶融(メルトダウン)を引き起こした1~3号機で“圧力容器の穴”を確認したのは初。直径約5.5mの筒状になっている圧力容器に対して、底部に直径約3mの穴が確認された形となっている。
福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策最高責任者を務める東京電力の小野明プレジデントは「これだけ大きな穴があいているとは」「私の想像よりも大きかった」とした。
3号機では2037年度以降に燃料デブリの大規模取出しが計画されている。2011年の事故後、原子炉への注水などで格納容器内の水位が高い状態にあり、格納容器につながる経路として整備されているのは比較的高い位置にある内径の小さい配管のみ。このため、約12cm四方の“マイクロドローン”をこの細い配管から格納容器の中に飛ばし、映像取得などの情報収集をしていた。
今回、撮影した映像をもとに内部を三次元で再現・解析した結果、格納容器の内部にある“圧力容器”にあいた穴の存在を確認した。穴は、2011年の事故で核燃料が溶け落ちたことで生じたものと推定される。
また、この穴があったことによりマイクロドローンは一時的に圧力容器の内部を飛行したと考えられている。福島第一原発でドローンが圧力容器の内部を飛ぶのは初。
小野プレジデントはこの穴について「(生成の)メカニズムは我々も考えてみないと分からない」としたうえで、圧力容器底部とみられる構造物が約14cmの厚さを維持されて残っていることを指摘。「溶けた燃料の熱が圧力容器の底をじりじりと(少しずつ)溶かしていくとすると、このまま残っているというのはなかなか言えないと思っている」「底がドンと落ちた状態」と想定を述べたうえで「メルトダウンの進展がどういう形で起こったかを今後詰めていく」とした。
3号機の燃料デブリ大規模取出しをめぐっては、2025年7月に東京電力が原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)に工程案を示し、一定の技術的な成立性が確認されている。
NDFによると東京電力の工程案では、格納容器上部の“上蓋”に穴をあけて工具を入れ、ウォータージェットで内部の構造物や燃料デブリを破砕して細かくしたものを下に落とし、格納容器の横側に設置した装置で吸引、連続回収することを想定。大規模取出しの開始は2037年度以降とされ、これまで掲げられていた目標である「2030年代初頭の着手」の達成は極めて困難な状況となっている。
小野プレジデントは圧力容器の穴を確認したことを踏まえ、「上からアプローチして圧力容器の中のものは下におろして取り出そうと考えているので、デブリを下におろすという面では(穴があいていることで作業が)やりやすくなると思っている」「圧力容器の中にあるものの大きさにもよると思うが、中のものを切ったり崩したりしたときに大きいまま下におろせる可能性が高く、細かく砕く必要があるのか、ある程度の大きさのままおろせるかの設計がしやすくなる」とした。
東京電力は2026年度中に2回目のマイクロドローン調査を行うことを目指していて、燃料デブリの広がりなどを確認したい考え。
福島第一原発には1号機に279t、2号機に237t、3号機に364tの計880tの燃料デブリがあると推計されている。
