福島第一原子力発電所2号機で、燃料デブリ試験的取り出しに使用するロボットに不具合が生じている問題で、東京電力は8月26日午前9時ごろから不具合が生じている部品の交換作業を開始した。
不具合があったのは燃料デブリの採取に使用する大型の“ロボットアーム”の設備の一部。2号機原子炉建屋で動作試験を行っていたが、アームを動かすモーターの一部に「ブレーキが解除できない」不具合が生じていて、アームが伸びない状態になってしまっている。
交換を実施するのはこのモーターで、ロボットアーム自体は既に現場への設置が完了しているため格納容器の手前の“前室”に作業員が入り手作業でモーターを交換する。東京電力は「線量管理をしっかりして、過剰な被ばくをしないように計画的に作業をしたい」とした。交換や動作確認に数週間かかる見通し。
東京電力は燃料デブリの3回目の試験的取り出しについて「順調にいけば2026年7月以降に作業に着手する」としていたが、この不具合により7月着手は断念し「改めて工程を精査する」とした。現時点でも工程は精査中となっている。
福島第一原発では、事故後13年8か月が経過した2024年11月にようやく、2号機で初めてとなる燃料デブリの採取に成功。その後、2025年4月に2回目の採取を実施した。
格納容器につながる配管の中に、事故の熱で溶けたケーブルなどが固まって詰まっていたため、2回の採取とも、ロボットアームよりも狭い場所を通ることができる“釣り竿型”のロボットを使用していた。
次の採取はこれまでの2回とは違う大型のロボット“ロボットアーム”を使用する計画。ロボットアーム先端が格納容器に入るための弁を通過することが作業への“着手”となり、格納容器内の3Dデータ等の取得を経て、燃料デブリの“採取”作業に入る見通しで、“着手”から“採取”までの間に3~4か月かかるとみられている。
ロボットアームはこれまでの動作確認で同様のトラブルはなかったというが、万全を期すためにモーターはすべて一度取り換えていたという。
78億円をかけて製作した大型の“ロボットアーム”はこれまでにも、一部のケーブルが経年劣化で断線する不具合が生じたことがある。また、ロボットに搭載するカメラを追加して実際の環境を模擬した試験を行ったところ、配管に引っかかるという事象も発生。さらに耐放射線性がメーカーの仕様を満たしていないことが発覚し使用実績のあるカメラに付け替えるなどの対応に追われ、2025年度後半にも投入と予定されていたものの、延期された経緯がある。
福島第一原発に残る燃料デブリは1号機に279t、2号機に237t、3号機に364tの計880tと推計されている。これまで実施された2回の試験的取り出しで採取された燃料デブリは合計約0.9g。ロボットアームでの燃料デブリ採取も数g程度と予定されている。
国と東京電力が掲げる「2051年の廃炉完了」まで残り25年、“廃炉の本丸”燃料デブリへの対応が大きな課題のひとつとなっている。
