2027年1月、ロンドンでの「歌舞伎英国舞踊公演」開催が決定し、出演する市川染五郎さんと尾上辰之助さんによる記者会見が24日に開かれた。
上演されるのは「藤娘」「雪の石橋」「男女道成寺」という華やかな舞踊3演目。
歌舞伎の海外公演はアメリカやヨーロッパで何度も行われてきたが、2人にはこれが初めて。
会見会場は日本外国特派員協会で、冒頭、海外プレスからユニークな質問が相次いだ。
――お2人はとてもハンサムですね、ブスは歌舞伎俳優になれないのですか?
染五郎さん:
歌舞伎俳優にブスはいません。
辰之助さん:
歌舞伎化粧は文化です。どんな人もキレイになります。
――ロンドンでは歌舞伎はそれほど知られていないと聞いていますが?
染五郎さん:
(セリフのない)舞踊で、いかにも「カブキ」という美に溢れていますから楽しんでいただけると信じています。
市川染五郎さんは21歳。父は松本幸四郎さん。2歳の初お目見得から歌舞伎の舞台に立ち続ける一方、大河ドラマへの出演、今年春には父や祖父も演じたストレートプレイ『ハムレット』に挑戦、ますますの活躍が期待されている。
尾上辰之助さんは20歳。父は尾上松緑さん。3歳の初お目見得以来、美少年から精悍な青年、可憐な姫まで幅広く真摯に鮮やかに務めて高く評価され、今年5月の歌舞伎座「三代目辰之助」襲名披露は連日大入りとなった。
古典芸能の世界に生きる、特に若者にとって「伝統をいかに現代に提示するか」は大きなテーマだ。
映画「国宝」や公演の配信などで歌舞伎ブームは世界に広がり、近年は歌舞伎座にも外国人観光客が増えている。
一方で、日本の若い世代にもっと歌舞伎を知って観てもらおうと、アニメ等を元にした新作歌舞伎が次々と上演され、人気を博している。
辰之助さん:
ロンドンで新作を上演するという選択肢もありました。しかし私は古典歌舞伎の力を信じています。ブームで終わらせず繋げるために、ロンドンの方にはぜひ生の歌舞伎を観ていただきたいです。
染五郎さん:
日本の文化、美意識、様式美が詰まっている、日本が積み重ねてきたものの象徴が歌舞伎です。日本の方にもっと知って観ていただきたい。このロンドン公演が日本の方が興味を持つきっかけになればと思います。
会見の最後に「BTSや真田広之さんのような国際的なスターになりたいかですか?」という質問が出た。
2人とも「自分と仕事がしたい方がいれば応えられるようでありたい」としながらも、染五郎さんは「私の祖父や曽祖父は海外で歌舞伎を教えていました。いつか海外の方だけでの歌舞伎公演が行われるかもしれませんね」と答えた。
これには、2人若き歌舞伎俳優たちの清々しい矜持を見る思いであった。
