お盆の帰省先で、手持ち花火をするという方も多いのではないでしょうか。

しかし今、その手持ち花火がピンチだといいます。
一方で、子供たちの夏の思い出のため、動き始めた自治体も。

関西テレビ「newsランナー」が手持ち花火の今を徹底取材しました。

■ 国産の手持ち花火が”消えていく”

大阪・松屋町にある「人形の天明館」。この時期、およそ600種類もの花火を取り扱うというにぎやかな店内では、子どもたちが目を輝かせながらお気に入りを探しています。

「これ安い!110円!これこそがホンマの花火!」と声を上げる子どもに、父親が「いっぱい持ってくんな!」と苦笑い。活気あふれる売り場の光景は、夏そのものです。

ところが、代表の丹生学成さんは深刻な表情でこう語ります。

【人形の天明館 丹生学成代表】「98%が輸入じゃないですかね。国産がなくなってはきている」

さらに円安や戦争の影響で火薬などの値段が高騰し、去年より2割ほど値上がりしている花火も出てきました。

特に深刻なのが、ねずみ花火やトンボ花火、ヘビ玉といった種類です。丹生さんによると「メーカーさんがない。完全に終わってしまって、今日本に流通してるだけで終わり」という状況。職人の高齢化とともに、国産メーカーが相次いで廃業しているのです。

■” 関西の線香花火”を守る最後の製造所

手持ち花火の定番といえば線香花火ですが、実は関西と関東で形が異なることをご存じでしょうか。

よく目にするのは関東の線香花火ですが、関西のものはワラを芯にして火薬をつけた伝統的なスタイル。現在、国内でつくるメーカーはたった1社しかありません。

福岡県にある「筒井時正玩具花火製造所」です。

【筒井時正玩具花火製造所 三代目・筒井良太さん】「線香花火の火薬とニカワを混ぜた火薬で練り火薬つくる。形を保つためには、乾燥した冷たい風を当てて形を整える。だから製造時期は、真冬ですね」

年間およそ5万本の線香花火を丁寧に仕上げます。

【筒井良太さん】「線香花火は素晴らしい手持ち花火なんです。この花火をなくしてはいけないという思いもあり、後世に伝えるために努力しなければいけない」

■ 「売れない」「できない」負の連鎖

国産メーカーの廃業と並んで、もう一つの深刻な問題があります。それが、”花火をする場所がない”という現実です。

世界や日本の花火の歴史・文化に詳しい“ハナビスト”冴木一馬さんはこう訴えます。

【“ハナビスト”冴木一馬さん】「やはりする所がないから、(花火が)売れないですよね。僕らの子供のころは、どこでもその辺の公園でやってましたけど、今たぶん大都市圏は公園はすべて花火禁止、海岸も禁止で。今の若い親御さんたちが子供に花火をさせようと考えなくなった」

■昭和・平成の頃は夏休み前に「防火教室」

昭和・平成の頃は、夏休み前に消防士が子どもたちに手持ち花火の正しい遊び方を教えていました。

1989年に行われた「幼児防火教室」では、花火の火がマネキンの着衣に燃え移るという衝撃的な実演を交えながら、子どもたちに安全な花火のやり方を伝えていました。

それがいつしか、「花火禁止」の看板が当たり前になり、若い親が子どもに花火をさせる機会そのものが失われていったのです。

場所がない→売れない→メーカーが廃業する。この負の連鎖が、江戸時代から日本人の身近にあった手持ち花火を、じわじわと追い詰めています。

■ 動き始めた自治体 公園を”解放”する実証実験

こうした状況を受け、少しずつ変化の動きも出てきました。

万博記念公園では数年前から週末限定の花火イベントを開催。
入園料さえ払えば広場を無料で利用でき、手持ち花火を楽しめます。利用者からは「近所の公園だと近所迷惑が気になる。大きい公園なら気軽にできる」という声が上がっています。

さらに関西ではこの夏から公園での手持ち花火を認める自治体も。

京都府長岡京市は駅前など一部を除くおよそ290カ所の公園で、手持ち花火を認める実証実験を7月から始めました。

ルールは
・日没から午後9時まで
・水を入れたバケツを準備する
・ゴミは持ち帰る
など、当然のマナーが中心です。

【長岡京市公園緑地課 大田元課長】「手持ち花火に限定し、安全対策や近隣の皆さまに配慮したルールを設けた上で運用を始め、広く地域の皆さまの意見を聞きながら取り組みを進めたい」

■ 3歳 生まれて初めての線香花火

取材班は冴木さんとともに長岡京市内の公園を訪れましたが、午後7時半を過ぎても花火をする人の姿はありませんでした。

ルールが変わったばかりで、まだ浸透していないようで、偶然虫取りに来ていた親子に声をかけてみると、手持ち花火ができるようになったことを知らなかったといいます。

そして、3歳の男の子は花火をしたことがないということで、ハナビスト・冴木さんが全力でサポートしながら、花火に挑戦。

冴木さんはまず、火のつけ方を丁寧に教えるとお父さんも新しい発見が。

火がともると、男の子は少しびっくりした様子。
最初は怖くて自分で持てなかったものの、だんだんと慣れてきて、線香花火を自分で持つことができました。

小さな炎がパチパチと光り始めると…。
「花火でてきた」「きれい」
はずかしそうにうなずく男の子を見ながら、冴木さんはこう語りました。

【冴木さん】「(花火の文化が)なくなっていくと、技術が途絶えてしまうんで、今の子供たちにも、花火を楽しんでほしい」

楽しい思い出がつむいできた夏の風物詩。

みなさんもルールを守って、花火で遊んでみては。

(関西テレビ「newsランナー」2026年8月10日放送

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