「SOCブルーイング」は2002年、前身の「カナディアンブルワリー」として札幌で創業。その後2009年に江別に移転し、江別産の小麦を使用したヴァイツェンや道産ホップを使用した限定ビールなど、こだわりのクラフトビール「NORTH ISLAND BEER」を製造しています。 代表取締役の坂口典正さんに、北海道でのクラフトビール事業と地域活性化への取り組みについて聞きました。
――幼少期はどんな子供でしたか。
「 祖父が広島の中区で飲食店を昭和30年に創業して、サービス業などをやっていた家業の家に生まれました。親父も専務をやってたので、そのうち一緒に仕事するのかなと思っていました」
――社会に出る時はどういう選択をしたのですか。
「 広島に帰るという選択もありましたが、やはり一回は東京で働いてみたいということがあって。子供の頃から海が好きなのでマリンリゾートという業種を探したのですが、そこで見つかった会社に入社しました。残念ながらそのマリンリゾート事業部はなくなってしまって、主幹のゴルフ場事業部に配属され、10年間お世話になりました。すごく勉強させていただいて、20代半ばで200人規模のゴルフ場の副支配人をやらせていただいたので、財務とか人事とか、コンペの企画とか、本当に様々な仕事をさせていただきました」
「北海道のパワーに感動した」ーーテレビがきっかけで決めた移住と創業
――北海道との縁と起業のきっかけは何だったのですか。
「 オープンコンペをやっていた時になかなか集客ができなかったので、たまたまテレビを見た時に北海道の素晴らしさを見て、北海道にちなんだコンペをやろうということでやったら大当たりしました。その時に私も北海道のブランド力に感動していたのですが、そういう時に、うちの同期で営業のトップセールスだった友人が北海道でビール事業を考えているのですが、やらないかという誘いをくれました」
――そんなに簡単に決断できるものですか。
「 ならないです。お互いやめとこうと最初は言っていたのですが、彼がどうしてもニセコにそういう醸造所があるから見に行こうということで、日帰りで日光からニセコまで行って。その事業所を見せてもらったら、自分の手でビールを作る小ロットのビジネスモデルだったので、これは面白いということで、私の方がやろうということになってしまったのです。長女にどう思う?と言ったら、楽しそうだからいいんじゃないかということで背中を押してもらって。妻と子供3人と北海道に2002年の5月に退職してきました」
50リットルを捨てまくった7年ーー試行錯誤の末に全国金賞へ
――創業してからはどういう形でスタートしたのですか。
「 私はどちらかというとビールを飲む方でしたが、カナダのバンクーバーでビールの修業をしていた20代の若者2人との縁があって、4人で創業しました。免許取得に時間がかかり、その間は飲食店としてサッポロビールなどを販売させてもらっていました」
――やっとできたビールはどうでしたか。
「 会社を起こして1年間できなかったのです。2003年の5月にやっとできたのですが、期待して飲んだら激マズでした。アップルジュースが苦い感じ。甘酸っぱいのですが、変な発酵をすると酸味が出るのです。それでホップが効いているので苦いのです。極めて美味しくない。全然無理でした。ほかの地ビールさんの機械は1000リットル単位で最低作るというのが通常でしたが、弊社の場合は、ひと仕込みが50リットルで作るという小さい機械だったので、まずいのができたら捨てる勇気は持てたのです。捨てまくっていました最初の頃は」
――成功だと思えたのはどれぐらいかかったのですか。
「 職人の二人も試行錯誤するじゃないですか。そしたら2009年ですね。6、7年ぐらい経った時に、どんどん味が良くなって、全国的な品評会にも出して金賞をもらえるようになってきました」
江別移転とブランドへの進化ーーレンガ倉庫とコロナ禍を乗り越えて
――その後はどのように事業を広げていったのですか。
「 2009年に江別に工場を移転しました。50リットル窯では量産が難しく、1000リットルへ拡大するためです。江別の特産であるブランド小麦『ハルユタカ』と、趣あるレンガ倉庫という物件に巡り会えたことが決め手となりました。同時に二条市場近くにビアバーNORTH ISLANDもオープンし、当社のビールを知っていただくアンテナショップとして展開しました」
――NORTH ISLANDビールという名前にはどういう思いを込めたのですか。
「 広島県出身なので、北海道といえば『北の大地』、つまりNORTH ISLANDだと思い、単純ですがそう名付けました。地ビールとクラフトビールの違いをよく聞かれますが、中身は同じです。ただ『地ビール』という言葉に高い・美味しくないというイメージがあったため、そこからの脱却としてクラフトビールという呼称を使っています」
――事業を展開する中で大変なことはありましたか。
「 コロナ禍は非常に大変でした。アルコールへの風当たりが強く、直営店も営業できなくなりました。ただ幸運だったのは、コロナ直前の1ヶ月前にBtoC向けのECサイトをオープンしていたことです。これが事業継続の大きな支えとなりました」
「人を一番大事に」ーー経営哲学と北海道への夢
――今、力を入れていることはどういうことですか。
「 弊社はずっと樽生ビールと瓶ビールで展開していたのですが、今も業界全体で缶ビールが風が吹いているので、2024年の10月に助成金もいただきながら缶ビールを詰める機械と、古くなってきた醸造機器の更新をさせていただきました。缶は容器が軽いので物流コストが下がりますし、紫外線が完全に遮断されるので、品質保持については缶の方が向いています」
――ボスとして一番大事にしているところはどこですか。
「 一番はやっぱり人なのです。人がいて初めてビールも作れますし、仲間がいるからこそですから。弊社の経営理念で、私たちは個性を尊重し合い、互いの夢と希望を実現しますというのがありますが、NORTH ISLANDというブランドをみんなが持っている夢や希望を叶えるフィールドに使ってほしいという思いです」
――これからの夢はどのように考えていますか。
「 北海道産の材料をできるだけ多く使って美味しいクラフトビールを提供させていただくと。何を届けているかという本質的なものは、やはり至福の時なのです。そのビールが世界に発信されて、全世界から北海道に飲みに行こうというようになるぐらいの品質を追求して、最終的には日本の観光立国の一翼になるような、そういうブランドにしたいということで思っています」
北海道の活性化を目指すボス達と北海道の未来と経営を楽しく真剣に語り合うUHB「#BOSSTALK」(ボストーク)。廣岡俊光キャスターがBOSSの本音に迫ります。
