熊本地震の直後、「イオンモール熊本」で起きた爆発で、29日夕方までに3人の死亡が確認され、1人が心肺停止となりました。

元東京消防庁・特別救助隊の田中章氏が、この爆発事故の感がられる原因や背景を関西テレビ「newsランナー」で詳しく解説しました。


■「どこかの工場が爆発したのかと思った」

公開された「イオンモール熊本」内部の映像では天井材がすべて落下し、床に崩れ落ちています。大型商業施設とは思えない光景です。

田中氏はその映像を見て、「非常に激しい爆発が起きたんだと思う」と述べました。

【田中章氏】「大型商業施設でのこういった例は、まずあまり聞いたことがない。危険物を使っている工場などではたまにこういった爆発現象が起きますので、私は初めて見たとき、どこかの工場が爆発したのかなというような感じがした」

■2階南側の激しい損傷 爆発の”源”は別の場所か

7月29日に行われたイオンモールの社長会見では、最も損傷が大きかった場所は「2階の南側の一角」であることが明らかにされました。一方で、爆発の直接的な原因については言及はありませんでした。

田中氏はこの点について、「建物で一番”爆風が抜けやすかったところ”が2階の南側と解釈していい」と指摘します。

つまり、2階の南側が損傷の大きい場所であることは事実ですが、爆発そのものが発生した場所とは限らない、ということです。

【田中章氏】「何か着火物があった場所は、また別な場所で、大量の爆風が抜けたところが、一番抜けやすかった南側と考えていい」

■なぜ大規模な爆発につながったのか LPガスの特性

爆発の原因として見られているのが、LPG(液化石油ガス)の漏えいです。

イオンモールの会見によると、ガスの供給タンクは最大9367キログラムのLPGを収容できる大型のもので、タンクと各飲食店それぞれに遮断弁が設置されていました。ただし、地震後に遮断弁が正常に機能したかどうかについては明らかになっていません。

LPGには次のような特性があります。

・空気より重いため、低い場所に滞留しやすい\
・無色無臭だが、漏えい時に気づけるよう人工的なにおいが付けられている\
・空気中に1.8%〜9.5%混じったときのみ燃焼・爆発する

【田中章氏】「1.8%〜9.5%というのは、なかなか人間が嗅覚で感じるところではないが、ガスのにおいがあったら”爆発する”と思った方がよい。ただし、ガスは薄すぎても濃すぎても爆発しない特性がある」

■「1時間以上かけてガスが充満していった」

2階の南側に損傷が集中している一方、飲食店が入居する1階のレストランや2階東側のフードコートとは離れた場所が最も被害を受けていました。

LPGは空気より重く、本来は下方向に滞留する性質を持ちます。それでも2階の損傷が激しかった理由について、田中氏は「2階のフロアにかなりLPGが充満していたのではないか」と述べました。

そして爆発の規模については、「空間自体が広いので、時間をかけて、1時間少しかけて少しずつガスが漏れた結果、これだけ爆発範囲に入って何らかの着火物がついて、大きな爆発につながった」と分析します。

また、イオンモールは吹き抜け構造を多く持つ設計であることも、1階・2階を問わず被害が広がった要因の一つと田中氏は指摘しています。

■着火のきっかけは「目に見えないスパーク」の可能性も

今後の調査では、ガス配管のどこで漏えいが発生したかを特定することが最初のステップになるといいます。

【田中章氏】「ガスの配管がどこにあったのか、どこが漏れた箇所だったのかを特定して、着火物は何なのかを調べることになる」

着火のきっかけとして考えられるのは、フードコートのコンロの火だけではありません。

「コンセントを抜き差ししたときにも火花が出ます。また静電気でも火花が発生しますので、そういった目に見えないスパークで爆発する可能性もある」として、原因の特定には時間がかかるとの見通しを示しました。

■なぜ爆発が大火災に発展しなかったのか

爆発が大規模だったものの、火災が発生しなかった点については…。

【田中章氏】「漏れたガスが燃え尽きてしまって、爆風とともに外に出た。大きな爆風で、少し燃えたものがあったとしても消し飛ばされてしまったという考えです。

物が燃えるのには、ある程度高温にならないといけない。ものが高温になる前に、ガスが燃え尽きてしまったという理解でよいと思う」

■安全装置はなぜ機能しなかったか

大型商業施設には、法令上、防災センターの設置と24時間365日のモニター監視が義務づけられているということです。当然、ガス漏れ警報機や緊急遮断弁も設置されているはずです。

【田中章氏】「これが機能しなかったというのは、何か地震によって影響が出ていたと思います」

2016年の熊本地震でも被害を受けたイオンモール熊本は、その後、ガス管を含め新耐震基準に基づいて再開していました。それでも今回の地震が、安全装置の作動に何らかの影響を与えた可能性が否定できない状況です。

詳細な調査の結果が注目されます。

(関西テレビ「newsランナー」2026年7月29日放送)

関西テレビ
関西テレビ

滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・徳島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。