1980年以降で最も高い伸び率

内閣府が発表した7月~9月のGDP速報値は、物価変動の影響を除いた実質で、前の3カ月と比べて、+5.0%で、このペースが1年間続くと仮定した年率換算では、+21.4%だった。

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戦後最悪となった4月~6月の落ち込みから一転し、4四半期ぶりのプラス成長で、比較可能な1980年以降で最も高い伸び率だった。

持ち直しをけん引したのは個人消費で、+4.7%だった。
10万円の給付金の効果もあり、家電製品や自動車などの販売が好調で、「GoToトラベル」も需要を押し上げた。

西村経済再生相:
4、5月を底として、着実に持ち直す動きが続いていると思う。

ただ、GDP全体で見ると4月~6月で43兆円程減少したのに対し、今回取り戻せたのは24兆円程と半分程度に留まっている。

製造業の中国一極集中見直しで日本にチャンス

三田友梨佳キャスター:
早稲田大学ビジネススクール教授の長内厚さんに聞きます。
GDP大幅改善ということですが、どうご覧になりますか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
20%以上は非常に高い伸びを示していますが、コロナの影響で今までが悪すぎた状況でした。
実際には落ち込んだ分の半分ぐらいしか戻っていないとのことで、このまま日本の景気が絶好調になるということは、恐らくないと思う。

コロナの感染拡大が続く中で、まだまだ経済的には先行きが不透明だと思います。
個人消費の伸びという点も、給付金やGoToイート、GoToトラベルの政策が上手くいっているという面もあります。

しかし、これらは税金を投入して需要を先取りしているという面もありますので、そういう意味では収益を先取りしているだけのリスク、将来に対してのリスクになっている可能性もあるかもしれません。

三田キャスター:
まだまだ予断を許さない状況ということですね。

長内さん:
はい、とはいえ、経済的には久しぶりにとても明るいニュースですし、輸出も伸びている点は注目できるポイントだと思います。

特にピンチはチャンスになります。
こういう不確実な時代というのは、ビジネスのゲームのルールが大きく変わるタイミングです。

今まで、製造業は中国一極集中が進んでいて、世界中が中国から物を買っていました。
でも、米中の貿易摩擦もあるし、コロナのリスク回避の意味でも、一極集中はやめようという流れが世界各国で出てきています。

ヨーロッパでも通信インフラを中国だけでなく、日本からも買おうという流れも出てきています。
このチャンスを機敏に捉えて、これまで国内で萎縮していた企業がもう一度海外に出て頑張るというチャンスを逃すべきではないと思います。

三田キャスター:
感染拡大次第では今後の回復にブレーキがかかる恐れもありますが、社会の変化を見据えて、今後新たな成長モデルを構築していく必要があるということのようです。

(「Live News α」11月16日放送分)