福岡県議会の正・副議長ポストを巡る金銭授受疑惑が広がりを見せている。かつて副議長を務めた自民党県議団のベテラン議員が初めて記者会見を開き「500万円を渡した」と証言。一方、県議団の若手議員からは、会派の方針に異論が噴出。また県政の“ドン”の地元では、異例の事態が起きていた。

「500万円を茶色い封筒に入れて渡した」

「しっかりと若い世代の県議たちが今後、後を継いでいく。これを今しかやれないと思って」と記者会見を前にして話すのは、これまで公の場での説明を行ってこなかった自民党県議団の江藤秀之・県議(66・飯塚市/嘉穂郡選出 当選6回)だ。

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県議会の金銭授受疑惑を告発した吉松源昭・県議(58・糟屋郡選出 当選7回)は、会見前に「(2人でやるのは)大変、心強い。江藤さんは、今も自民党県議団に所属しているが、そういう立場のなかで勇気を持って同席頂くのは、大変ありがたい」と話し、会見に臨んだ。

7月27日、福岡県庁で行われた吉松県議と江藤県議の会見。江藤県議は、2020年の副議長就任にあたり中尾正幸元県議(61)に500万円を渡したとする当時の状況について初めて証言した。

▼江藤県議 「中尾元県議(当時・幹事長)の方に12月ぐらい、議会中だったと思うんですが、その時に『500万円要りますよ』ということと、多分1月だったと思うんですが、確実に本人に茶色い封筒に入れて500万円お渡ししております」

更に高級料亭で自民党県議団の幹部らに“お車代”を渡したという状況についても淡々と応えた。

▼江藤県議 「125万ずつ持ってきて、そこで50万の封筒、白い封筒やったと思うんですけど。白い封筒の中に50万ずつ、お店に1時間ぐらい前に行って、いわゆる前室っていうんですかね、控え室みたいなところで。僕はピン札を持って行ってました。125万の新札を。明確に私は、覚えてますんで」

「元県議の言い分は合理性欠く」

一方、会見では、吉松県議が公開した音声データに関する鑑定の結果も報告された。

▼吉松県議 「(鑑定結果は)中尾元県議、本人としか考えられないという結果でございました。編集、改竄が加えられた痕跡はなく、7年前、2019年の10月15日に私のアイフォンのボイスメモアプリで録音されたものに間違いないという評価を頂きました。中尾元県議の言い分は、合理性を著しく欠いていると言わざるを得ません」

その上で、今後の全議員に対する調査は第三者委員会で実施するべきと繰り返し訴えた。

▼吉松県議 「第三者委員会による調査を行う必要があると思いますし、行えば正直に言おうという人も出てくるだろうと期待してます。ここ15、16年の議長、副議長経験者は恐らく金額の大小はあっても、全員要求されている筈だと思っています。これは渡した方も、受け取った方も両方ですが、真実を隠したまま県民の負託を受け続けるということは、私は厳しいと思っております」

そして中尾元県議の辞任にも触れ「トカゲの尻尾切りのように、中尾元副議長の議員辞職をもって幕引きなどということは断じて許されません」と述べた。

自民党県議8人 幹部宛に意見書提出

一方、同日の午後、県議会棟では自民党県議団のメンバーが集まり議員総会が開かれ、金銭授受疑惑への対策などを話し合った。

自民党県議団議員総会(県議会棟・7月27日)
自民党県議団議員総会(県議会棟・7月27日)

「特に若い先生方は、無関係にも関わらず、選挙が近いなか、それぞれの地元で厳しい声が出ていると。また県民の信頼を損ねたことに対して、会派の会長として責任を感じております」と挨拶した自民党県議団の松尾統章・会長(53・北九州市八幡西区選出 当選7回)。

松尾会長の発言の念頭にあるのが自民党の若手議員らの動きだ。その日の午前、当選2回の県議8人が、幹部宛に意見書を提出したのだ。

意見書には、疑惑に対して会派としての公式見解を示すことや解決しないなかでの議会の自主解散は避けること。更に調査にあたり、独立性の高い第三者委員会を設置することが盛り込まれた。

大田満・県議(60・福岡市早良区選出 当選2回)は「より客観性、中立性が保たれる第三者委員会の設置を検討して頂きたいと申し入れた。即答で回答はありませんでした」と記者団の質問に応えた。

元県議「これから法廷で戦っていきます」

また総会には、議員辞職した中尾元県議の姿もみられた。中尾元県議は、記者団からの取材に応じ「これから法廷で戦っていく」と述べた。

記者) どういった気持ちで総会に出たか。

中尾) きょうは県議団のみなさんに最後の挨拶をさせて頂いた。

記者) どういった挨拶か。

中尾) これから法廷で戦っていきます。

記者) 吉松氏と江藤氏と?

中尾) はい。

記者) 何か物証や材料はあるのか。

中尾) これからですから。

県議団会長「泥仕合のようになっている…」

また議員総会後、自民党県議団の松尾・会長は記者団からの取材に応じ、中尾氏の辞任について「びっくりしている」と述べた。

記者団に囲まれた自民党県議団の松尾統章会長
記者団に囲まれた自民党県議団の松尾統章会長

記者) 中尾氏からどんな発言があったか。

松尾) 今まで報道であったようなことでした。記者会見による混乱について重く受け止めていましたので、そのことも踏まえた発言がありました。

記者) 中尾氏の議員辞職はどう受け止めているか。

松尾) それはやはり重く受け止めています。副議長を辞めると思ったら「議員を辞める」と言われ、本当にびっくりしました。

「議員を辞めると言われ、びっくりした」(松尾会長)
「議員を辞めると言われ、びっくりした」(松尾会長)

記者) 中尾氏に対する気持ちは総会でどのように説明したのか。

松尾) 私は中尾先生とは、もう本当に古い付き合いです。人間的に本当に中尾先生のことを信頼していますが、今回の金銭授受の話については、人間関係で判断するものではないと発言しました。事実関係をはっきりさせて、その上で県民の皆さん方の信頼を回復して頂かないといけないといった発言をしました。(中尾氏が)議員辞職という大変重い決断をしたなかで、吉松さんと中尾さんが今、泥仕合のようになっているので、それを議員辞職して司法の場で白黒はっきりつける、といったことに対しては、私自身は見守っていきたい、というような発言をしました。

「吉松さんと中尾さんが泥仕合のように…」(松尾会長)
「吉松さんと中尾さんが泥仕合のように…」(松尾会長)

“県政のドン”の地元で異例の事態が…

そして渦中の蔵内勇夫・議長(72・筑後市選出 当選10回)の地元、筑後市でも異例の事態が起きていた。

『全会一致』で可決となった意見書。そのなかで筑後市議会は県に対し、県や県議会の海外視察などについて第三者委員会で速やかに実態解明するほか、旅費基準を抜本的に見直すよう求めている。

筑後市議会の弥吉治一郎・議長は「一言で言えば、県の行政機関も県議会も(信頼は)地に落ちてる」と語った。

吉松県議の『告発』に端を発した福岡県議会の金銭授受疑惑。その波紋は、今尚、広がりをみせている。

(テレビ西日本)

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