赤ちゃんがいると「なかなか美容院に行けない」「首や肩が凝っていても我慢している」など、産後のママが必要としている支援を詰め込んだ新しい形の産後サポートサービスが新潟市で始まろうとしている。考案したのは5人の子どもを育てる助産師だ。そのサービスを取材した。
“アロマセラピスト”と“助産師”が2児のママの自宅へ
26年4月に第2子を出産した新潟市中央区に住む田村美香さん。
0歳と3歳の子どもの育児に追われ「1日バタバタして終わっちゃって、自分のことなんて後回しになっちゃう。雨が降っていたり暑かったりする日は子どもを連れて出かけるのは大変だ」と、自分を労わる時間がなかなか取れていないことを吐露する。
しかし、産後3カ月、授乳やおむつ替えなど下向きの体勢を取ることが多く、首や肩の凝りを感じていた。
そんな田村さんの自宅にやってきたのは“アロマセラピスト”と“助産師”だ。
30分間、アロマトリートメントで首や肩の凝りをほぐしてもらう間、赤ちゃんは助産師がお世話する。
産後のママが自宅で必要だと感じるサポートを受けてほしいと、新潟市の助産師・平川幸織さんが考案した『ママサポ+』だ。
育児相談だけじゃない!“ヘアカラー・カット”や“片づけ”などもサポート
ママサポ+は助産師による子どもの見守りや育児相談、アロマトリートメント、訪問美容師によるカラーやカット、そして整理収納コンサルタントによる“暮らしやすい環境づくり”の中から受けたいサポートを自由に選択したり、組み合わせたりできる民間が行う支援。

平川さんがこれまで助産師として多くのママと接してきた中で必要だと感じたサポートを詰め込んでいる。
ママサポ+を考案した理由について、平川さんは「子どもが寝ても心配で携帯で検索するママが増えていて、神経が高ぶって寝られないという話を聞く。アロマの力を借りることでケアにつながるのではないか。また、小さい赤ちゃんがいると美容院にも行けない。前髪が伸びっぱなしでもずっと我慢して過ごした記憶が私もあって、全部提供できたらいいのにと思っていた。助産師ではできない分野だから、助産師だけではなく各専門のプロの力を借りたいと思った」と話す。
取材をした1児の母・杉山萌奈アナウンサーも産後は授乳間隔が短くて出かけるタイミングが難しく、美容院に行ったのは4カ月後だった。
「体が楽になるとまた頑張ろうと思える」
ママサポ+を9月から本格始動させるため、試験的な運用を重ねている。
メンバーの1人・整理収納コンサルタントの高橋まきさんは「片づけ一つで時間が短縮されたり、探し物がなくなったり、危険を回避することができるので、実感のある片づけをしてお母さんたちを楽にしてあげたい」と話す。
また、アロマセラピストの吉田ゆかりさんは「だいたい、皆さん授乳やおむつ替えなどで下向きの体勢が多いので首・肩が凝っている方がほとんど。ちょっとでもつらいところ・痛いところが楽になって緩んでほしい」と意気込む。
施術を終えた2児の母・田村美香さんは「やっぱり肩が楽になった。体が楽になるとよし、また頑張ろうとなれる」と明るい表情を見せた。
「産後ママにゆとりを」5人の子育てで感じた“孤独”が原動力に
田村さんはこの日、子育て中に尽きない悩みごとも相談し、1時間半のママサポ+を終えた。(モニター価格:助産師の見守り・育児相談90分/4000円、アロマトリートメント30分/5000円)

「産後のママの心にゆとりをもたらしたい」と取り組む助産師の平川さんは、5人の子どもを育てるママでもある。
助産師として活動を行いながら5歳の末っ子の保育園の送り迎えも日々の日課だ。
「一番上の子は今年23歳になる。保育園への送り迎えは22年続けている」

その5人の子どもを育てる中で感じてきた“孤独だった気持ち”が活動の原動力になっているという。
「結構孤独な子育てをしてきて、唯一頼れるのが夫だった。親にも頼れる環境ではなかった。しょっちゅうイライラが爆発していたし、それをぶつける先が子どもになったりもしていた。本当にそれは防ぎたかった。だから、そうなる前に私が行くから『ママ、ちょっと休んで。3時間でも寝ると全然違うから』と伝えたい」
“ママの睡眠”サポートする夜間訪問も「安心して眠れた」
26年1月からは、午後11時から午前6時までの夜間に訪問する産後ケアの提供も開始した。

日中だけでなく夜間の「助けて」にも対応するため、出動可能な日は電話に出られる態勢を取って眠っている。
夜間、1時間半おきに授乳し、細切れ睡眠だったという新潟市江南区の女性は、新潟市の産後ケアチケットを使って午前3時から3時間利用した。
「帝王切開で産んだので、お腹が痛くて動けない1カ月を過ごしていたが、赤ちゃんは夜寝なかった。揺らさないといけなかったり、ミルクの吐き戻しもあったりして、夜が心配で夫と交代で見守っていたが、夫の育休が終わってしまうタイミングで夜間の育児がすごく不安で、家に来て産後ケアしてくれる夜間のサービスがないかなと思って利用した」
平川さんが赤ちゃんを見守っている間「別室で見守りカメラから赤ちゃんを見守れる環境をつくってもらったので、安心して気が付いたら眠ってしまっていた。まとめて3時間寝られたのは大きかった。休めたという感じがすごくした」と女性は振り返る。
助け求めやすい環境づくりへ 産後サポートへの理解訴え
産後のママが一人で頑張らず「助けて」と言いやすい環境をつくりたい。平川さんはパパの産後サポートへの理解の必要性も伝える。

「産後サポートは、ママの娯楽のように捉えられてしまっているケースもあるのかな。ママが楽になる、ママが赤ちゃんと向き合えるようにするためのものなので、『いいよ』と快く言ってもらえたらいい」
5人のママ助産師が、これからも利用しやすい産後サポートの形を模索していく。

