日本列島は熱波に見舞われ、危険な暑さが続いている。こうした中、注意してほしいのが「リチウムイオン電池」の火災や事故。モバイルバッテリーなど充電式の製品に多く使われているが、熱や衝撃に弱く、発火するケースもある。特に気温が高くなる「夏場」の事故が多く、取り扱いには注意が必要だ。
激しい炎…車内に放置はリスク
携帯用の扇風機やスマートフォンの充電に使うモバイルバッテリーなど、身近で便利な充電式の製品。その多くに「リチウムイオン電池」が使用されている。
(記者リポート)
「とても便利な製品ですが正しく取り扱わないと、思わぬ事故につながるおそれがあります」
車のダッシュボードに置かれたモバイルバッテリーから、激しい炎が。これは製品評価技術基盤機構「NITE」が公開した実験の映像だ。
NITE製品安全広報課・清水与也さん:
「モバイルバッテリーなどの(リチウムイオン電池)搭載製品については、熱に弱い特性を持っているので、高温環境となる夏場の車内に放置するといった使用状況だと、事故の発生リスクがある」
モバイル電池の火災が3倍以上に
NITEによると、2021年からの5年間に起きたリチウムイオン電池の火災事故は2140件で年々増加。
特に多いのが「モバイルバッテリー」でこの5年で3倍以上に急増している。
県内でも2026年5月に長野市の住宅の寝室でモバイルバッテリーから出火。
6月には宿泊施設内で、充電中のモバイルバッテリーが破裂し、2人が軽いやけどをした。
「夏の暑さはリチウム電池に影響」
さらに月別でみると8月の事故が最も多く、6月から8月の夏場で全体の36%を占めている。
先ほどの実験では、炎天下で車のダッシュボードに放置したモバイルバッテリーが徐々に膨らみ、破裂音とともに火が上がった。
こちらは2年前にNBSが撮影した車両火災の現場だ。車内に放置されていたモバイルバッテリーから出火したとみられている。
NITE製品安全センター ・川崎裕之所長:
「夏の暑さは人のみならず、リチウムイオン電池にも影響します。その結果、火災・出火にいたる。そのことを十分に認識していただきたい」
充電中の事故が半数 目の届く所で
熱以外に、衝撃にも弱い「リチウムイオン電池」。強い衝撃や圧力が加わると内部でショートを起こし、発火につながる。
NITE製品安全広報課・清水与也さん:
「今までに衝撃とか熱で劣化していたところに最後のトリガー(引き金)として充電中に(事故が)発生してしまう」
特に充電中の事故が半数を超えていて、NITEでは目の届くところで充電するよう呼びかけている。
廃棄物に紛れ込み発火も
一方、リチウムイオン電池を使用した製品は、廃棄の仕方にも注意が必要だ。
長野市の直富商事では多い時で1日約100トンの県内外の産業廃棄物を処理している。
この廃棄物の中にリチウムイオン電池などが紛れ込んでしまうとー。
直富商事 産廃部・井出圭紀課長:
「破砕の時の衝撃で発火してしまう恐れがある。目視では気つかずに破砕機に入れてしまって発火してしまう場面は何度かありました」
作業員も危険 ルール守り処分を
工場では2023年に電池が原因とみられる火事が発生し、廃棄物などが焼けた。
現在は出火時にセンサーが作動し、すぐに放水される「初期消火システム」を導入するなど、対策を講じているが―。
直富商事 産廃部・井出圭紀課長:
「機械で発火の時の対策はできても、作業員の安全面は大変危険ですし、万が一発火してしまった後の処理も、時間をかけて、工場を止めて対応することになるので、われわれとしては苦労がとてもある」
分別されずに捨てられた電池があると、ごみの収集時に火が出たり破裂するおそれもある。
リチウムイオン電池をはじめ、乾電池などの廃棄は自治体ごとに定められたルールにしたがい適切に処分してほしい。
直富商事 産廃部・井出圭紀課長:
「ルールを守っていただいて、適切な分別をして廃棄物を出していただければ」
暑い時期は特に危険性が高まる
注意点は他にも。リコールの対象商品や安全基準を満たした表示「PSEマーク」のない違法な製品を使うことで発火のリスクが高まる。
NITE製品安全広報課・清水与也さん:
「規制は進んでいますが、依然としてよくわからない製品というのも世の中には普及しているところはあるので、購入する前にどういった製品なのか、よく確認していただいて購入するようにしてほしい」
暑い時期が一番、危険性が高まる。NITEでは、リチウムイオン電池を使用した製品は高温の車内に放置しない、強い衝撃を与えない、発熱や膨張などの異常を感じたら使用しないよう呼びかけている。
NITE製品安全広報課・清水与也さん:
「いろいろな製品にもリチウムイオン電池が使われるようになった。リチウムイオン電池搭載製品は、夏場気温の上昇とともに事故が増加する傾向にある。夏場の暑い車内に放置したり、直射日光の当たる場所に放置しないように注意してほしい」

