大阪府門真市に本社を置くパナソニックホールディングスは6月に株価の時価総額が初めて10兆円を突破するなど、好調が続いていますが、同時に、2025年から大規模な人員削減を実施していて、早期退職者は1万2000人に上るということです。
黒字企業がリストラをするのは、今、大企業を中心に相次いでいて、「黒字リストラ」と呼ばれます。
経営に問題があるわけではなく、競争力の強化や人員の適正配置を目的に、早期退職者を募集しているのです。
そうなってくると、高齢化社会の中で、“早期退職後”の職業、いわゆる「セカンドキャリア」が重要になります。
今回は関西テレビ・秦令欧奈アナウンサーは、銀行員・公務員という安定した職業を離れた2人のセカンドキャリアを徹底取材。その魅力と課題が見えてきました。
■セカンドキャリア 独立した人・副業に取り組む人も
まず秦アナは、街行く人たちにセカンドキャリアについて調査。ある美容師は「セカンドキャリアではないけど…」と、副業で「養蜂」に取り組んでいると明かしました。
200グラム・2000円で販売していて、年収で20万円から30万円になるそうです。
さらに会社員から独立し、インバウンド向けのフリーペーパーを立ち上げたという男性は、「めちゃめちゃ楽しいんですけど、めちゃめちゃ忙しい。週7で働いている」と話します。
やはり「次の仕事」への注目度が高まっているようです。
■元大手銀行の支店長が「お好み焼き店」開業を決めたワケとは
しかし、安定したキャリアを手放す覚悟を決めるのは簡単ではありません。そんな難しい「決断」をした人が、大阪・十三にいると聞き、秦アナが向かいました。
訪れたのは、4月1日にオープンしたばかりの「お好み焼enjin 康祐」というお好み焼き店。もともとスナックだった店舗を改装した、バーのような雰囲気の空間です。
店主の石田康二さんは56歳。前職はなんと大手の銀行員です。約30年間勤務し、学生時代から取り組んでいた、ラグビーで鍛えた体力を生かして支店長まで勤めました。
もともと石田さんは「本当は65ぐらいになって、定年なってから商売をやりたいなとは思っていた」といいます。50代を迎えて体力の衰えを感じ、「今しかない」と早期退職を決断しました。
■お好み焼きの専門学校で
その後、お好み焼きの専門学校「若竹学園」に入学し、「お好み焼き店開業コース」で学びました。
【店主 石田康二さん】「基本をきっちりやった上で店をやっていきたいと思って。4日間で19万(円)」
【秦令欧奈アナウンサー】「そこそこしますね。(開業は)怖いと思ったことはなかったですか?」
【店主 石田康二さん】「迷ったら難しい方を選んだ方が絶対おもろいんです。しんどいですけど、そういうところをチャレンジするというのが、二度とない人生でめちゃくちゃ面白いです」
■お好み焼きの味は大阪の味にうるさいお客さんにも好評!
秦アナはさっそく石田さんの豚玉(800円)を試食。鉄板ごと提供するスタイルです。
【秦令欧奈アナウンサー】「めちゃくちゃソースの香ばしくて甘い香りがする。鰹節が踊ってるよ…」
一口食べると…。
【秦令欧奈アナウンサー】「食感がすごい。ふわふわなんですけど、口の中に入った瞬間に溶けるような感じもある。
とろとろさもありつつ、ソースとかマヨネーズの味に全く主張が負けないぐらい具材の食感も楽しめる。シンプルなんだけれども、シンプルさを感じさせないような」
お好み焼きにはうるさい大阪のお客さんからも「美味しい。僕らが子供の頃に食べたような、甘いお好み焼き」との声が!
■収入は「3分の1とか4分の1とか。はるかに充実している」
ただ、収入面ではなかなか厳しい現実もあります。
【店主 石田康二さん】「(売上は)大体月40万円ぐらいのところですね。銀行員時代から比べると3分の1とか4分の1とかにはなるんですけど。充実しているか、充実してないかでいうと、もうはるかに充実している」
【秦令欧奈アナウンサー】「お金じゃなかったですよね。ほんとにごめんなさい」
さらに石田さんには障害のある子供がいて、その子供が将来この店で働き、社会人として独り立ちできるようにという夢がありました。「10年ぐらいかけてでもできたらいいな」と語りました。
■「1人でご飯食べるのは寂しい」コロナで決意「場所を作る」
続いて秦アナが向かったのは、奈良市。
【秦令欧奈アナウンサー】「『花ちゃんちのおうちごはん』(店名)。『本日は売り切れました』。まだお昼時なんですけどね」
店に入ると、中は大にぎわい。店主の花村淑子さんは、元市役所職員。55歳で早期退職して、定食屋をオープンしました。
【店主 花村淑子さん】「定食屋をしたいというよりも、場所を作りたいというのがありまして。コロナの時期だったので、一人でみんなご飯を食べていたじゃないですか。
一人でご飯を食べるのは寂しいなと。何人かが一緒にご飯が食べれるようなところがあったらいいなと」
■1時間半ほどで売り切れてしまうほどの人気店に
「シニア世代が気軽に集まれる場所を作りたい」
そんな思いから飲食店でアルバイトしながら経営を学び、2022年にオープン。現在は早い時には1時間半ほどで売り切れてしまうほどの人気店に育ちました。
常連のお客さんからはこんな声も。
【常連客】「バスを2つ乗り継いで来ています。楽しいから」
秦アナは生姜焼き定食をいただきました。
【秦令欧奈アナウンサー】「まずものすごく豚が柔らかい。タレがちゃんとパンチもあってご飯が進む味してるんですけど、どこかに優しさを感じる。極限まで上り詰めた家庭料理っていう」
■収入は半分以下も…「生一度で2度美味しい感じ」
開業するとき、飲食業に詳しい人から「なめんじゃねぇぞ」と言われたという花村さん。やはり収入面では厳しい現実もあります。
【店主 花村淑子さん】「下がりますね。半分以下に」
【秦令欧奈アナウンサー】「半分以下…。売り切れましたってなるぐらい人気の店ですよね」
【店主 花村淑子さん】「体力的にもうこれ以上私は作れないという時もあるので、お昼の営業で14食が限界かな」
【秦令欧奈アナウンサー】「月20万円ぐらいの売り上げになる」
収入は公務員時代の半分以下になりましたが、花村さんはこう言います。
【店主 花村淑子さん】「後悔はしてないですね。楽しいですよ。人生一度で2度美味しい感じ。思ってたような場所にはできたんじゃないかなって気がします」
そして秦アナにこんな問いかけも。
【店主 花村淑子さん】「やってみたいと思います?」
【秦令欧奈アナウンサー】「今ここでやりたいって言ったら僕クビになると思います」
(関西テレビ「newsランナー」2026年7月17日放送)
