小児科医の確保や夜間・休日の診療体制の維持が課題となる中、秋田県は2027年1月から子供向けのオンライン診療を始める方針だ。一方、五城目町では6月から妊婦や子育て世帯を対象としたオンライン医療相談サービスを導入した。医療機関が限られる地域で、スマートフォンを活用した新たな支援策が注目されている。
医療機関不足の課題解決へ
秋田県は、小児科医の確保や夜間・休日の診療体制の維持が難しくなる中、子供を対象としたオンライン診療の体制整備を進めている。専用アプリを活用したサービスを2027年1月に開始する考えで、子育て世帯の不安解消と医療サービスの選択肢拡大を目指している。
こうした中、県内の自治体でもオンラインによる医療支援の取り組みが始まっている。
五城目町が医療相談アプリを導入
五城目町は6月1日から、妊婦や18歳以下の子供がいる子育て世帯を対象に、オンライン医療相談アプリの運用を開始した。
町は2026年4月に「子育て支援課」を新設するなど、子育て支援の充実に力を入れている。
アプリを運営するのは遠隔医療サービスを手がける茨城県の企業で、登録する450人以上の医師に対し、スマートフォンから24時間365日いつでも相談できる。
さらに、子供が18歳になる年度末まで、利用料金は町が負担するため、保護者と子供は無料でサービスを利用できる。
五城目町子育て支援課の北嶋有香課長は、「五城目町と近隣市町村には小児科や産婦人科が少ない状況にある。五城目町には小児科も産婦人科もない。気軽に受診する一助となればということでアプリを導入した」と話す。
「病院に行くべきか」がすぐ分かる
町は対象となる333世帯に利用案内と登録番号を発送していて、現在は31世帯63人が登録している。
利用者はまず、ホーム画面から「相談する」をタップし、相談したい人や内容を選び、症状などを入力する。
画像や動画を添付することもできるため、より詳しい状況を医師に伝えられる。
相談内容の入力が完了後、約3分後に回答が届いた。
医師からは症状へのアドバイスに加え、市販薬の提案もあった。
サービス開始から6月24日までに寄せられた相談は16件あったという。
小児科も産婦人科もない町で
五城目町には小児科や産婦人科の専門医院がなく、内科も3軒しかない。
北嶋課長は、「子育て世帯に関しては医療機関がないことで困っている。秋田市まで行くこともある」と地域の実情を説明する。
医療機関までの距離が遠い地域では、子供の急な発熱や体調不良があった際、「すぐに受診するべきか」「しばらく様子を見てもいいのか」と悩む保護者も少なくない。
そうした中、専門の医師に気軽に相談できる環境は、保護者の心理的な負担軽減にもつながっている。
子育て世帯から期待の声
子育て支援課には、実際にアプリを活用している職員もいる。
6歳と2歳の子供を育てる伊藤真理映係長は、「病院に行って先生に直接聞くよりも、手軽にちょっとしたことでも相談できる。この程度だったら病院にすぐに行かないといけないとか、自宅で様子を見られるのかという判断が簡単にできるので、良いなと思った」と利用メリットを話す。
受診の必要性を判断する目安が得られることで、保護者が安心して子供の体調変化に対応できる点が評価されている。
将来的には全町民に拡大も
オンライン医療相談サービスは、医療機関が限られる地域において、子育て世帯の不安を和らげる新たな支援策として期待されている。
北嶋課長は、「いまの段階では妊婦や子育て世帯が対象になっているが、ニーズが増えることによって全町民にアプリを広げていければと考えている」と話す。
五城目町は今後、利用状況や住民ニーズを見極めながら、年齢や性別を問わず多くの人が利用できるサービスへ発展させたい考えだ。
オンライン医療の活用は、地域医療を補完する新たな選択肢として広がりを見せている。
(秋田テレビ)

