データ提供 PR TIMES
本記事の内容に関するお問い合わせ、または掲載についてのお問い合わせは株式会社 PR TIMES (release_fujitv@prtimes.co.jp)までご連絡ください。また、製品・サービスなどに関するお問い合わせに関しましては、それぞれの発表企業・団体にご連絡ください。

プレスリリース配信元:ローランド・ベルガー

日本の上場企業CxO・経営企画責任者向け第5回 意識調査結果を発表(3)

株式会社ローランド・ベルガー(東京都港区、代表取締役:大橋 譲、以下「ローランド・ベルガー」)は、日本の上場企業CxO・経営企画責任者200人を対象に、生成AI時代における戦略実行の難しさについて「第5回 上場企業CxO・経営企画責任者への意識調査」を実施いたしました。

生成AIによって戦略を「描く」コストが劇的に下がったいま、企業価値を分けるのは戦略を描く力ではなく、描いた戦略を実行し成果に変える力です。本シリーズでは、生成AI時代における「戦略実行」をテーマに、なぜ戦略は実行されないのか、着手・完遂できる組織は何が違うのかを、調査データから解き明かします。

第1回|経営課題の重心は「策定」から「実行」へ
第2回|戦略実行を止めるのは「決められない組織」
第3回(本稿)|鍵は「アジャイル組織」への移行
第4回|外部協力会社を「加速装置」として使いこなす

なお、前回「第4回 上場企業CxO・経営企画責任者への意識調査」については、 こちら をご覧ください。
調査結果の主なポイントは2点です。
1. 戦略策定と実行を同時に回すアジャイルな体制の必要性は8割超の企業が認識している一方、実際に構築できている企業は15%にとどまり、多くは実装途上にある。

2. アジャイルな戦略運用には、プロジェクトの目的や優先順位に対する共通認識が不可欠である。一方で、認識が統一されていないプロジェクトは約4割にのぼる。

*本調査における好業績企業とは、本調査において、競合と比較した時の自社の売上成長率に対する認識を「競合より良い」と回答した企業、業績不振企業は「競合より悪い」と回答した企業を指します。

1. 戦略策定と実行を同時に回すアジャイルな体制の必要性は8割超の企業が認識している一方、実際に構築できている企業は15%にとどまり、多くは実装途上にある。
第1回 で述べた通り、戦略を描くコストが低下した現在、「経営が戦略を策定し、その後に現場が実行する」という従来型の分離された進め方では、環境変化に十分に対応できなくなっています。策定が完了した時点で、前提条件となる事業環境がすでに変化しているケースも少なくありません。ここで求められるのが「アジャイル組織」です。アジャイル組織とは、戦略の策定と実行を切り分けず、両者を一体で回し続けられる組織能力を指します。

もっとも、これは策定と実行を単に並行させることではありません。その本質は、(1)策定した戦略を現場の具体的な打ち手に落とし込み、(2)実行の過程で前提の変化や想定とのズレを捉え、(3)それを即座に戦略に反映・修正する--この一連のサイクルを高速で回し続ける点にあります。



この点は、PoC(Proof of Concept:概念実証)との違いを考えると明確になります。PoCは検証を目的とするため、「試すこと」で完結してしまい、得られた知見が経営判断や資源配分に十分に接続されないまま終わるケースも少なくありません。アジャイル組織の価値は、「検証の速さ」そのものではなく、検証から得た学びを戦略や意思決定に迅速に接続できる点にあります。

では、こうしたアジャイル組織はどのように構築すればよいのでしょうか。本シリーズで見てきた要素は、そのまま設計原則として整理することができます。第一に、中期経営計画を固定された計画書としてではなく、環境変化に応じて更新し続ける「仮説の束」として捉えることです。前提を固定せず、常に検証可能な状態に保つことが、アジャイルな運用の出発点となります。第二に、変化に気づいた現場が即座に動けるよう、意思決定権限を適切に委譲し、「誰が何を決めるのか」を明確にすることです。これにより、判断の停滞を防ぎ、戦略と実行の往復を高速化することが可能になります。第三に、目的・決定事項・優先順位といった重要情報を一元管理し、関係者間の共通認識を維持し続ける仕組みを構築することです。

本稿では、この役割を担う中核的な文書を「経典」と呼びます。そして、これらを実際の運用として成立させるためには、経営の意図と現場の実態を接続し、両者を往復させる現場リーダーの存在が不可欠です。

アジャイル組織とは、これらの要素が個別に存在する状態ではなく、権限・情報・リーダーシップが有機的に結びつき、戦略と実行が一体として機能する状態を指します。



既に8割を超える経営者がアジャイル組織の必要性を認識し、構築に向けて動き始めています。一方で、実際に「構築済み」と回答した企業は15%にとどまっており、多くの企業が実装途上にあります。

この差は、単なる認識の問題ではなく、組織としての設計・運用の難しさを示しています。アジャイル組織は、戦略と実行を同時に回すための仕組みとして、権限配分や情報の統合、意思決定のあり方を含めて再設計する必要があります。



実際、アジャイル組織を構築している企業では、そうでない企業に比べて戦略の完遂率が約1.4倍に高まっており、体制の違いが成果に直結していることが確認されます

変化の激しい環境下においては、戦略と実行を分断せず、両者を連動させる体制を構築できるかどうかが、「描いた戦略を成果に変えられるか」を分ける重要な条件となっています
2. アジャイルな戦略運用には、プロジェクトの目的や優先順位に対する共通認識が不可欠である。一方で、認識が統一されていないプロジェクトは約4割にのぼる。



アジャイルな戦略運用と実行・完遂を実現するためには、プロジェクトにおける目的や優先順位に対する共通認識が常に維持されていることが不可欠です。

しかし実態を見ると、「常に認識が統一されていた」と回答した企業は1割強にとどまり、約4割の企業では認識が十分に統一されていない状態でプロジェクトが進められています。



さらに、好業績企業と業績不振企業の間には顕著な差が見られます。前者では「常に認識が統一されている」との回答が後者の約4倍である一方、「認識が統一されていた時はない」とする回答は後者で約10倍に上っています。



また、認識が統一されているプロジェクトは、統一されていないプロジェクトに比べ、完遂率が16ポイント高い結果となっています。



このように、共通認識の有無は戦略実行の成否に直結しています。そのためには、単なるコミュニケーションに依存するのではなく、目的、決定事項、未決事項、優先順位といった重要情報を一元的に管理し、関係者が常に立ち戻ることができる仕組みが必要です。

本稿では、この役割を担う中核的な文書を「経典」と呼びます。“経典”は、単なる議事録やタスク管理表ではなく、プロジェクトの全体像や意思決定の経緯、背景にある論点までを含めて明文化し、関係者が常に参照し、更新し続けるための共通の基盤です。

実際、このような文書が明確に存在しているプロジェクトは2割未満にとどまっていますが、存在する場合には、共通認識の醸成度が存在しない場合の約3倍に高まることが確認されています。



戦略実行・完遂において、“経典”は単なる情報管理の手段ではなく、組織全体の目線を揃え、意思決定の質とスピードを高めるための不可欠なインフラです。


本調査の結果を受け、ローランド・ベルガーの企業変革支援チームの責任者でシニアパートナーの田村誠一は、次のように述べています。

「戦略の賞味期限が短縮する中で、『策定してから実行する』という従来の時間軸では、環境変化に対応しきれなくなっています。求められるのは、戦略と実行を一体として回しながら、学習を通じて更新し続けるアジャイルな組織です。その出発点は、関係者が常に立ち戻る共通の基盤、すなわち『経典』を持ち、組織の目線を揃え続けることにあります。」

ローランド・ベルガーの企業変革支援チームでプリンシパルの神谷洋次郎は、次のように述べています。

「今回の調査では、アジャイルな推進体制の必要性は8割超が認識している一方、実際に構築できている企業は15%にとどまっています。この差を分けているのは、意気込みではなく設計です。中期経営計画を固定された計画としてではなく仮説として扱い、学習を迅速に戦略へ反映する意思決定の仕組みと、共通認識を支える「経典」の運用を、経営の中に組み込むことが求められます。」

調査概要

- 調査時期:2026年5月
- 調査機関:ローランド・ベルガー
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:全国、男女、20~70代、上場企業に属するCxO・経営企画責任者(CEO等の経営者/役員、または経営企画本部長/部長クラス)
- 有効回答数:200名

企業変革は、企業や組織が将来に対応できるよう導くことを目的とするものですが、変革を統括することに加え、組織、人材、およびステークホルダーとのコミュニケーションといった、企業変革に密接に関連する現場における豊富な専門性が求められます。ローランド・ベルガーは、引き続き、あらゆる経営手法を活用しながら、継続的な企業価値の向上に繋がるよう日本の企業をご支援してまいります。

著者

田村 誠一(シニアパートナー)
- 変革参謀として、経営層と協働する企業変革支援に精通。
- 官民ファンドで投融資責任を負い、投融資先企業の再生と変革を主導。
- 経営実務を経験(元JVCケンウッド代表取締役副社長、元ニデック専務執行役員)。JVCケンウッドではCSO/CFOとして中長期戦略策定と実行、事業COOとして事業再構築と実行を主導。ニデックでは買収事業(欧米中)の成長を現地経営陣とともに主導。


兼子 佑樹(シニアプロジェクトマネージャー)
- 変革参謀として、経営層/現場メンバと協働する企業変革支援に精通
- 京都大学卒業後、日系シンクタンクを経て、ローランド・ベルガーに入社
- 通信/IT、電子電機、製造業等を中心に、新規事業開発、事業戦略立案・実行支援など多様な機能軸でのご支援経験を保有

コンサルティングに関するお問い合わせ

ローランド・ベルガーの企業変革支援チームは、事業構造や財務構造の再構築、抜本的な収益改善、企業再生・変革を手掛ける業界横断型専門チームとして、クライアント企業の変革に向けた各種ご支援を行っています。

弊社お問い合わせ、または、お電話(03-4564-6660)にてご連絡ください。

ポッドキャスト配信について

■ローランド・ベルガーは、ポッドキャストの音声によるビジネス番組「変革参謀 -当事者が語るリアル-」の配信を2025年6月に開始いたしました。経営コンサルタントながらも変革をリードしてきた『当事者』としての視点を持つ田村、野本(非常勤)の2人が「企業変革とは何か」「企業変革のリアルとは」について語り合うトーク番組です。
■大企業からスタートアップまで、すべての企業経営者、ビジネスリーダーを支えビジネスの手助けとなる発見や示唆を提供することを目的としています。詳細はこちらからご確認ください。

配信予定
- 毎週木曜 7:00 AM
配信先
-
Spotify
- Apple Podcasts

書籍変革参謀 ― 当事者が語る「リアル」好評発売中
PRESIDENT Online: なぜ今、企業に"変革参謀"が必要なのか。人を、組織を、本気で動かすための極意とは





ローランド・ベルガーについて

ローランド・ベルガーは、世界有数の経営コンサルティングファームとして、幅広い業界と手法に対応するサービスをご提供しています。本社をドイツのミュンヘンに置き、1967年の設立以来、あらゆる業界における、変革、イノベーション、そしてパフォーマンス向上における専門性と実行力に高い評価と信頼を得ています。すべてのクライアント支援でサステナビリティを両立させる理念を持ち、持続的な企業・経済の発展に向け取り組んでいます。
Visit our website|Follow us on LinkedIn

"その決意、前へ" 
ローランド・ベルガー日本法人は、クライアントの現場と共に「変革参謀」となり、企業変革・PMI/バリュークリエーションが進んでいく状態を醸成し、日本企業の経営と変革の実現をご支援しています。

企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ
PR TIMES
PR TIMES