栃木県・那須町の河川敷で2024年4月、夫婦の焼かれた遺体が見つかった事件。

宝島龍太郎さん(当時55)と妻の宝島幸子さん(当時56)
宝島龍太郎さん(当時55)と妻の宝島幸子さん(当時56)
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この事件で殺人や死体損壊の罪に問われた仲介役とされる佐々木光被告(30)、平山綾拳被告(27)の判決が、7月3日東京地裁で開かれる。
事件から約2年。判決を目前に控えた2人は裁判で何を語ったのか。

7人が殺人罪で起訴 事件を巡って初の裁判

事件は2024年4月に発生。栃木県・那須町で東京・上野で飲食店を経営する宝島龍太郎さん(当時55)と妻の宝島幸子さん(当時56)の焼かれた遺体が折り重なった状態で見つかった。

宝島夫婦が遺体で見つかった現場 2024年
宝島夫婦が遺体で見つかった現場 2024年

そしてこの事件をめぐっては、関与したとされる夫婦の長女・宝島真奈美被告(33)、真奈美被告の内縁の夫・関根誠端被告(34)、不動産会社経営の前田亮被告(38)、佐々木光被告(30)、平山綾拳被告(27)、実行役とされる若山耀人被告(22)、姜光紀被告(23)の7人がいずれも殺人などの罪で起訴された。

佐々木被告と平山被告2人の裁判は、この事件をめぐって初の裁判となった。

初公判の廷内 東京地裁 6月22日
初公判の廷内 東京地裁 6月22日

初公判の法廷。佐々木被告は黒のジャージ姿で頭を丸めて現れたのに対し、平山被告は、がっしりとした体格をスーツに包み青のネクタイを締めていた。

いずれも逮捕当時とは大きく印象を変えた2人だったが、裁判長から起訴内容について問われると、佐々木被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた一方、平山被告は「指示されたことによるもので、幇助ではないかと思う」と起訴内容を一部否認。

さらに平山被告の弁護人も「関与は事実だが、幇助で出頭もしている。自首が成立する」と主張した。

検察側は冒頭陳述で、多数の飲食店を営む宝島夫婦の経営を手伝っていた長女の真奈美被告と関根被告が宝島夫婦と次第に対立するようになり、2023年7月ごろから経営方針の違いなどを巡って不満を募らせ、長年の知人で不動産会社社長・前田亮被告と殺害を計画した、と指摘。

その上で、関根被告が佐々木被告に対し実行犯を手配して殺害・死体処分をするよう依頼し、それを受けた佐々木被告が平山被告に殺害計画を伝達。最終的に平山被告が後輩の実行役2人に報酬の支払いを約束した上で、犯行を依頼していたと指摘した。

“上野の路上で夫婦を” 別の殺害計画

佐々木被告は事件の2カ月前の2024年2月に福岡から上京。
関根被告とは知人を介して出会い、関根被告の印象については「こわもての印象だった」と述べた。

関根被告と宝島龍太郎さん
関根被告と宝島龍太郎さん

その上で、実際に関根被告と宝島夫婦が十数店舗を切り盛りしていることから、関根被告に対しては「権力を持っている人」との認識があったという。

佐々木被告の今回の事件の関与は、関根被告から「中国人夫婦の死体を処分してほしい」「死体を処分してくれる人間を探してほしい」と持ちかけられたことにある。

提示された報酬は500~600万円。依頼を断れなかった理由について、佐々木被告は、「家族のことを言われ、断るなら同じ目に遭わす」と脅されたからだ」などと答えた。

そして4月上旬、かつて渋谷のクラブで知り合っていた平山被告にこの遺体処理の件を持ちかけることになる。

年齢こそ佐々木被告の方が上だが、佐々木被告は被告人質問で、平山被告と出会った際、「(平山被告は)暴力団員と聞いていたので自分は敬語で、平山被告は自分に対し、ため口だった」と当時の関係性を振り返った。

平山被告は実行役2人を手配した。

しかし、関根被告からの依頼が「報酬を1500万円に上げる」という条件とともに「殺害もしてほしい」というものに変わった。佐々木被告は断ってほしいという気持ちで、平山被告に再度、話を持ちかけたが、平山被告は「(金額が)でかいですね、やります」と即答したという。

また、当初、別の殺害計画が予定されていたことも明らかになった。

それは、「上野の路上で夫婦を殺害する」というものだったが、人通りが多いことから実際に計画は実行されなかった。このことについても佐々木被告は「ずさんだな」と振り返っていた。

そして、犯行は今回実際に行われた東京・品川区のガレージで殺害するという計画に移る。計画の内容は睡眠薬入りのコーヒーを飲ませて眠らせ、その間にガレージで殺害するというもの。犯行の数時間前に関根被告と落ち合った佐々木被告は、コンビニで購入したコーヒーに関根被告が車内で睡眠薬を混ぜていたと明かした。

犯行後は関根被告から都内を離れるよう指示され、福岡から沖縄へと移動。沖縄で逮捕された。そして現在、関根被告については「自分を事件に巻き込んだことにいらだちを覚えている」と話した。

“報酬目的” 両被告「違います」

事件当時、借金はなかったという佐々木被告だが、報酬目的で引き受けたかを問われると…。

佐々木被告:
違います。報酬はもらっていません。家族に危害が及ぶと思ったからです。

そして、検察官から現在の心境について問われると、涙ながらに次のように語った。

佐々木被告:
……。2人の尊い命を奪ったことに深い後悔と反省しています。

一方、平山被告がこの事件に関わったのは、佐々木被告から持ちかけられたことにある。

その平山被告も被告人質問で言葉を詰まらせ、1つ1つの言葉に間を取り、謝罪の言葉を述べた。

平山被告:
佐々木さんが怖かったとはいえ、先のことを考えられず断れなかった。
被害者の方々に、尊い命・人生を奪い、ご遺族さまの心に決して消えない深い傷を付けてしまったこと、心より深くお詫びを申し上げたいと、大変申し訳ございませんとお伝えしたいです。

平山被告は被告人質問で、謝罪と共に、佐々木被告についてこのように述べているが、「佐々木さんに何をされるか分からず、ため口をきいていたことに負い目を感じていた」などと当時の状況を語った。

また、暴力団への所属についても否定したほか、複数回、「報酬目的だったのではないか?」と問われたが、佐々木被告と同様、一貫して「違います」と断言している。

“仲介役”の両被告に無期懲役を求刑

平山被告は実行役2人ともクラブで知り合い、「遺体の処理」についての依頼を佐々木被告から話を持ちかけられたあと、実行役2人にそれぞれ「リスクがあって危険な仕事」などと伝えていたという。

その後、「殺害の依頼」も持ちかけられると、再度、実行役2人に「上の人から1500万円出すから始末からやってほしいと言われている」旨を伝えた。

実行役の1人、姜被告は「やります」と答えたため、平山被告は「驚いた、辞めるなら今だよ」とも伝えたという。一方、もう1人の実行役である若山被告は当初は悩んでいたものの、最終的には了承した。

平山被告は佐々木被告の指示のもとでガソリンや犯行道具を購入。
また、殺害が行われている間、佐々木被告は、実行役らの間に入って、指示を伝達する役割を担った。

さらに夫婦の殺害後には平山被告は、佐々木被告と共に、高圧洗浄機などを用いてガレージ内を清掃。
犯行後に自身は出頭したが、佐々木被告から、上の存在を隠すよう指示されたことを明らかにした。

論告求刑が行われた法廷 東京地裁 6月30日
論告求刑が行われた法廷 東京地裁 6月30日

6月30日の裁判で、検察側は平山被告について「実行部隊のリーダーとして不可欠な役割を果たした」としたほか、佐々木被告についても「首謀者を隠して完全犯罪を成功させるための共犯者の要」と指摘した。その上で「犯行は入念な計画と分担の基づき実行された」などと非難し、2人に無期懲役を求刑。

判決は7月3日に言い渡される。

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大熊悠斗
大熊悠斗

フジテレビ報道局 社会部記者。
司法クラブ裁判担当。
これまでに警視庁クラブで生活安全部・交通・薬銃などを担当。